数珠の選び方を徹底ガイド!宗派や男女による違いやおすすめの色・素材を紹介
数珠には正しい選び方があるのをご存知ですか?数珠や念珠は、仏式の葬儀において欠かせない仏具です。しかし、「まだ数珠を持っていない」という方もいるのではないでしょうか。本記事では、数珠・念珠の選び方や持ち方などを解説していきます。
数珠は宗派で選び方が異なる
数珠にはさまざまな種類があり、宗派によって数珠の玉数や玉のサイズ、房の形などが決まっているため、信仰している宗派に合わせて数珠を選びましょう。また素材や色には決まりがないため、自分が気に入ったデザインの数珠を購入しましょう。
数珠の選び方
数珠の選び方について6項目に分けて解説していきます。明確な決まりがあるものや、自分の好みによって選べる項目があるため、購入前に確認してみてください。
略式・本式で選ぶ
数珠を選ぶ際は、略式か本式かを決める必要があります。略式数珠とは、自身や故人の宗派を問わずに使用できる数珠です。宗派にあまりこだわりがない方や、初めて数珠を購入する方は、略式数珠を選ぶとよいでしょう。
本式数珠とは、宗派に合わせて作られている本格的な数珠です。略式数珠はどの宗派の葬儀でも使用できますが、本式数珠は基本的にその宗派の葬儀でしか使用できません。本式数珠を購入する場合は、自身や家の信仰している宗派をしっかり確認しておきましょう。
宗派に合わせて選ぶ
冒頭で述べた通り、宗派によって使用する数珠が異なります。数珠のデザインや玉の数、サイズなどが宗派ごとに決まっているため、間違いのないよう注意しましょう。
浄土宗
浄土宗の数珠は「日課数珠(にっかじゅず)」と呼ばれ、二つの輪が一つに重なったような形状です。玉の数が男女で異なるのが特徴で、男性用が27個と20個、女性用は40個と27個となります。
浄土真宗
浄土真宗の数珠は「門徒数珠(もんとじゅず)」と呼ばれ、房が蓮如結びという漢字の「四」の字のような結び目になっているのが特徴です。浄土真宗の数珠は男女によって形状が異なり、男性用は22個の主玉に紐房をつけたもの、女性用は主玉108個、四天玉4個、親玉2個で構成されています。
真言宗
真言宗の数珠は、主玉が108個、四天玉が4個、親玉が2個に梵天房がついたデザインです。男性用は一尺二寸、女性用は八寸ほどのサイズと決まっています。
天台宗
天台宗の数珠は、主玉108個、四天玉4個、親玉1個に加え、平玉か弟子玉20個、丸玉10個、露玉2個で構成されています。大きな輪から梵天房が出ているのも特徴です。
日蓮宗
日蓮宗の数珠は、主玉108個、四天玉4個、親玉2個に加え、弟子玉20個、露玉4個、数取玉10個、浄名玉1個で構成されています。親玉2個に対して、それぞれ梵天房が2本と3本の合計5本ついているのが特徴です。
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗・臨済宗では、主玉108個からなる一連数珠を使用します。曹洞宗と臨済宗では基本的に同じ形状の数珠を使いますが、曹洞宗の数珠には金属の輪がついているのに対して臨済宗の数珠には金属の輪がつきません。
予算で選ぶ
数珠の選び方として、予算に合わせて選ぶ方法があります。数珠の価格は、2千円〜3万円以上のものまで幅広いのが特徴です。数珠の値段は加工の手間や玉の品質、房の素材などによって異なります。数珠は葬儀で故人を偲ぶときだけでなく、法事などのご先祖を尊ぶ際にも使用する大切な仏具です。長く使用することを考えて、予算を決めるとよいでしょう。
房の形状で選ぶ
数珠の選び方として、房の形状で決める方法も挙げられます。数珠の房には梵天房や切房、より房、釈迦梵天房などさまざまな種類があります。房に使われている素材によって値段が大きく変動するため、予算と相談しながら決めるとよいでしょう。
また、房と玉の色味や素材の組み合わせに注目してみるのもおすすめです。玉と房の色味を合わせれば統一感のある仕上がりになり、異なる色味や素材の房を合わせれば個性的な見た目になります。
玉の材質・色で選ぶ
数珠の玉の材質で選ぶのもおすすめです。数珠の玉の素材は大きく木材と石材に分けられます。木材の数珠は木製品や香木、木の実の3種類の素材が使われており、使用するごとに色味が変化するのが特徴です。
石材の数珠は、水晶やオニキス、メノウ、ローズクオーツ、翡翠、オパールなどの素材で作られています。石が持つ意味や色合いによって選ぶのがおすすめです。この素材でなくてはいけないという決まりは基本的にないため、手に取って気に入ったものを選ぶとよいでしょう。
玉のサイズで選ぶ
数珠は男女兼用ではなく、性別によって玉のサイズが異なります。数珠を選ぶ際は、「男性用」「女性用」といった表示を確認してから購入しましょう。
男性用の玉のサイズ
男性は、一つの玉のサイズが10〜18mmほどで作られている数珠を選びましょう。数珠全体のサイズも女性用に比べると大きく、一尺二寸(約36cm)ほどが一般的とされています。
女性用の玉のサイズ
女性は、一つの玉のサイズが6〜8mmほどの数珠を選びましょう。女性用数珠の玉は、男性用に比べると小さめです。数珠を広げたときの大きさも八寸(約24cm)ほどで、小ぶりなサイズ感となっています。
葬儀で使用する数珠に関するマナー
仏式の葬儀では数珠を使用するのが一般的なため、前もって数珠に関するマナーを押さえておきましょう。
貸し借りせずに自分の数珠を使用する
数珠は自分自身の身代わりであると考えられているため、人との貸し借りは避けましょう。専用の数珠を持つことで徳を積めるとされているため、必ず自分の数珠を用意してください。万が一葬儀に数珠を忘れてしまった場合は、家族や友人から借りずにそのまま参列しましょう。
何色の数珠を使ってもよい
数珠は玉や房に使われている素材によって色味が異なりますが、基本的には何色の数珠を使用しても問題ありません。本式・略式を問わず色味の指定はないため、自分が気に入った色の数珠を使いましょう。
パワーストーンで代用はできない
数珠とパワーストーンのブレスレットは形状が似ていますが、数珠の代わりにパワーストーンを使うのはマナー違反です。数珠は仏具の一種でありパワーストーンはアクセサリーとして使用されるため、目的が異なります。
玉の並びや房の形、大きさといった形状も異なるため、数珠がないからとパワーストーンを持参するのは避けましょう。
葬儀での数珠の持ち方
ここからは、葬儀での数珠の持ち方について詳しく紹介します。
左手で数珠を持つ
数珠は左手で持つのが基本とされています。仏教においては、左手が仏様がおられる世界を表しているとされているため、左手首に数珠をかけるのが一般的です。席を移動する際もカバンやポケットなどには入れず、左手に数珠を持っておきます。
宗派によって持ち方が異なる
合掌の際の数珠の持ち方は、宗派によって異なります。自分が信仰している宗派ではなく故人の宗派の持ち方に合わせるのが基本ですので、間違いのないよう確認しておきましょう。
浄土宗
浄土宗では、数珠の二つの輪が一つになるように揃えて両手の親指にかけて持ちます。2本の房が両腕の間にくるよう、手前側に垂らしておきましょう。
浄土真宗
浄土真宗の数珠の持ち方は派によって異なります。本願寺派は、数珠を二輪にしてから手にかけて合掌します。房は下向きに垂らしましょう。大谷派は二輪にした数珠を手にかけ、親指と人差し指で数珠を挟み込みます。このとき、房派左手側に垂らすのが基本です。
真言宗
真言宗では、数珠を両手の中指にかけて持ちます。房は下向きに垂らしておきましょう。
日蓮宗
日蓮宗では数珠を二輪にし、両手の中指で挟むようにして持ちます。右の中指に房が二つの方を、左の中指には房が三つある方をかけましょう。
天台宗
天台宗では、数珠を中指と人差し指の間にかけ、そのまま手を合わせるようにして持ちます。房は下に垂らしておくのが基本です。
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗・臨済宗では、左手に二輪にした数珠をかけて持ちます。房は下に垂らすようにして握りましょう。
焼香の際は房が下を向くように持つ
宗派に関わらず、焼香を行う際は房が下を向くように持ちましょう。このとき数珠は左手で持ち、右手で香をおしいただいて焼香します。
常に数珠を持っておく
葬儀が行われている間は、常に数珠を左手で持っておくのが基本です。数珠は仏様と浄土、持ち主をつなぐための仏具とされているため、大切に取り扱う必要があるためです。床や椅子に置いたり、カバンに入れっぱなしにしたりするのは避け、肌身離さず持ち歩きましょう。
数珠の選び方に関してよくある質問
ここからは、数珠の選び方に関するよくある質問にお答えしていきます。
Q1. 子供の数珠の選び方は?
子供の数珠は、子供の手の大きさに合わせたサイズのものを選びましょう。玉の素材や房の色味、重さなどで選ぶのもおすすめです。
Q2. 数珠を自分で買ってはいけないって本当?
「数珠を自分で買ってはいけない」といわれることがありますが、自身で購入しても問題ありません。むしろ、数珠は自分の身代わりであるため自分で選んで買うべきとされています。
Q3. 数珠を長持ちさせるためのポイントは?
数珠を長持ちさせるには、数珠袋を使って保管するのがおすすめです。数珠袋で保管することで房が傷んだりよれたりするのを抑えられ、長持ちするとされています。
宗派による選び方の違いを踏まえて数珠を用意しましょう
この記事のまとめ
- 数珠は性別や宗派によって選び方が異なる
- 数珠を選ぶ際は、玉の素材や房の形状、予算などで選ぶとよい
- 数珠は他人と貸し借りせず、葬儀に持参するのを忘れた場合もそのまま参列する
- 数珠の代わりにパワーストーンを使うことはできない
- 数珠の持ち方は宗派によって異なるが、左手で持つ
数珠は、仏式の葬儀に参列する際に欠かせない仏具です。大切なものだからこそ、数珠に関するマナーを押さえておきましょう。本記事で紹介した数珠の選び方や持ち方を参考にして、ご自身の数珠を準備してください。