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健康・カラダのこと

高齢者の認知症ケアで大切なことは?認知症ケアの必要性や接し方、気をつけるべきことを紹介

高齢者の認知症ケアで大切なことは?認知症ケアの必要性や接し方、気をつけるべきことを紹介

家族が認知症と診断された場合、どのようなケアをしたらよいのか分からない人も少なくありません。認知症ケアを理解しないまま介助すると、認知症の症状が悪化したり介護者のストレスが溜まる原因につながります。本記事では、認知症ケアで大切なポイントや接し方、気をつけるべきことを紹介していきます。認知症ケアで困っている人は、ぜひ参考にしてください。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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認知症ケアとは

認知症ケアとは、認知症の人に対する介護や介助のことです。認知症の人の尊厳を守りながら、認知機能の低下を予防します。また、心身の健康を保つことや、日常生活を安全・安心に送れるように心がけていくことも認知症ケアに当てはまります。

認知症ケアはなぜ必要?

介護者が認知症ケアに関する知識を持っていない場合、介助のやり方に迷いが生じるため介護者自身の精神的な負担になることがあります。また、認知症ケアの方法が間違っていると、認知症の人のプライドや尊厳を傷つける原因になる場合もあります。

認知症に必要なケアを理解しないまま無理に行動などを抑え込むような対応をすると、認知症の人に精神的な負担をかけ、症状が悪化することも少なくありません。認知症ケアをしっかりと理解することで認知症の人は穏やかに生活を送ることができ、介護者自身もストレスを減らすことができるでしょう。

認知症ケアの方法

認知症といってもひとりひとり特徴や状態は異なるため、その人に合わせた対応が求められます。ここからは認知症ケアのあり方や基本的な方法について解説していきます。

認知症の人の見守りや観察をする

認知症ケアには周りの人による見守りや観察が必要です。認知症になると今までできていたことができなくなってしまい、危険な場面に遭遇することもあります。記憶力や判断力が低下しているため、自分自身で危険と判断できないためです。

具体的には、お茶を飲もうとしてやかんでお湯を沸かそうとするものの、その場から離れたことをきっかけにお湯を沸かしたこと自体を忘れてしまうなどの症状が見られます。

ただし危険だからといって、本人ができることをすべて取り上げてしまうのは、自立を妨げることになってしまいます。本人ができることは自分で行わせるようにして、近くで見守るようにしていきましょう。

認知症の人の健康管理をする

認知症ケアには健康管理が必要です。認知症になると、思っていることを口に出して表現することができなくなります。体調が悪くても、どこがどのように悪いのか介護者に詳しく伝えられません。

また便秘が続いている場合は、お腹の周りに不調を感じて落ち着きがなくなり、徘徊につながる場合もあります。水分はしっかり摂っているのか、食事量は減っていないかといった目線で健康管理をすることが大切です。

認知症の人とコミュニケーションを取る

先述の通り、認知症になると、自分の欲求や意見を周囲へ上手に伝えられないことが多くなります。辻褄の合わない発言をすることもあるため、周囲の人は認知症の人に話しかけることを、億劫に感じてしまう場合もあるでしょう。

認知症の人はコミュニケーション不足になると孤独を感じ、症状が進行してしまう場合があります。何を話しているのか理解しにくい場合でも、周囲の人はしっかりと顔を見ながら話を聞くことが大切です。

またコミュニケーションを積極的に取ることで、何が言いたいのかや何をして欲しいのか分かるようになってくることも多いため、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

認知症の人のリハビリテーションをする

リハビリテーションには、身体を動かしたり手先を使った作業などさまざまな方法があります。脳トレなども、多くの高齢者が取り組んでいるリハビリテーションです。リハビリテーションの実施には、認知症の進行を抑える効果や、現在どのくらいの能力があるのか把握できるメリットがあります。

リハビリテーションを行う際には、認知症の人に負荷をかけすぎないことが大切です。つらく嫌な記憶が残ると、次回のリハビリテーションを拒否してしまう恐れがあります。認知症の人が何に興味を持っているのか調べ、取り組みやすく簡単な内容から始めてみるのがおすすめです。

認知症の人の周りの環境を整える

認知症になると環境の変化によってストレスを感じやすくなるため、安心できる環境作りが必要です。

住み慣れている自宅でも模様替えをすることで別の家のように感じてしまい、落ち着きがなくなりストレスにつながることもあります。落ち着ける環境を作ることは、認知症ケアにおいて重要なことの一つです。

認知症ケアで大切なこと

認知症ケアをしていると、暴言を吐かれたり嫌な行動をされることもあります。病気が引き起こしている行動だと分かっていても、繰り返し起こるとストレスは溜まってしまいます。介護者自身の心身の健康を守るためにも、下記のような対応を取ることが必要です。

ひとりで抱え込まない

認知症ケアは、いつまで続くのか先の見えないことが多いです。そのため、常に介護者がストレスを溜めやすい状況になります。認知症ケアを続けるためには、介護者自身のケアも大切なことです。

例えば「認知症カフェ」は、認知症高齢者やその介護者、地域住民などが集まってお茶を飲みながら話ができる場所です。認知症について気をつけることや心がけなどを学ぶこともできます。同じ境遇の人たちと話すことで、気持ちが軽くなることもあるでしょう。

また自治体が運営する介護者のための会に参加するのもおすすめです。「介護家族の会」「介護者の会」など自治体によって名前が異なり、在宅者が、悩みや不安を話したり、情報交換をしたりすることができます。

介護サービスを利用する

認知症ケアは、介護サービスを利用することも大切です。認知症の人は、症状によっては目が離せないことがあり、付きっきりになると介護者も疲れが溜まります。

デイサービスやデイケア、ショートステイなどの介護サービスを利用することで、認知症の人と距離を置くことができます。また、認知症の人も他の利用者や介護職員とコミュニケーションを取ることができるため、認知症の進行予防にもなります。

家族の認知症ケアをするときに気をつけること

ここでは、家族の認知症ケアをするときに気をつけることを紹介していきます。

本人のペースに合わせる

認知症になると本人の行動がゆっくりになるため、先回りをして介助したくなります。しかし、残存機能を活かすためにも着替えや家事など、自分でできることは基本的に自分で行ってもらうとよいです。

また、認知症の人は自分のペースを乱されると興奮しやすくなるため、本人のペースに合わせることを意識しましょう。

間違っていても否定しない

認知症ケアで大切なことは、認知症の人を否定しないことです。認知症の人は、理解力や判断力が低下することにより、以前は簡単にできていたことができなくなっています。しかし、自分は正しい行動をしていると思っているため、「間違っている」と否定してしまうとプライドを傷つける危険性があります。

認知症の人に対しては、本人の話を丁寧に聞いて理解しようとする姿勢が必要です。このように寄り添った態度を取ることは、安心感を与えて尊厳を守ることにもつながります。

分かりやすい言葉で短く話す

認知症になると、長い会話を理解できないことがあります。基本は、ゆっくりはっきりと短い言葉で話しましょう。一度に多くの内容を話しても忘れてしまうため、内容は一つずつ伝えていきます。

気をつけることとしては、背後から話しかけないことです。話しかけられたことに気づかなかったり驚かせてしまったりすることがあるため、しっかりと本人の前に立って顔を見ながら話しましょう。

声掛けやスキンシップで孤独を感じさせない

認知症高齢者が孤独を感じると、精神的なストレスや不安を引き起こしてしまいます。これは、認知症の症状を進行させる原因となるため注意が必要です。安心感を与えて孤独感を軽減するためには、声掛けが効果的です。話しかけられることで大切にされていると感じ、精神的な安定をもたらします。

声をかける際に、スキンシップをとるのもよいでしょう。手を握ったり肩を触ったりすると、気持ちが穏やかになります。しかし、触られることを嫌がる人には逆効果になるため注意しましょう。

環境の変化を避ける

環境の変化が原因で、認知症の症状が進行してしまう恐れがあります。初めてショートステイを利用する場合などは、まずは1泊2日など短期間から始めることがよいでしょう。

他にも、人混みが苦手な人もいます。これは、目から入ってくる情報量が多いために混乱してしまうことが背景にあると考えられます。環境を変化させる必要がある場合には、精神的に混乱する恐れがあることを理解した上で行いましょう。

危険を予防する

認知症になると予測不能な行動を取ることがあり、さまざまな危険を引き起こす恐れがあります。日常的に使用するものが、認知症の人にとっては大きなリスクをもたらすこともあるため注意が必要です。

例えば、包丁やライターのようなけがの原因となる物品や、洗剤や漂白剤のように誤飲すると危険なものは、簡単に手に取れない場所へ保管しましょう。介護者が認知症の人を一日中見守ることは、非現実的です。介護者が不在時の事故リスクを減らすためにも、危険物の保管方法を工夫していきましょう。

認知症ケアを適切に行って認知症の人と穏やかな毎日を送りましょう

この記事のまとめ

  • 認知症ケアとは認知症の人に対する介護や介助のことで、認知症の人の尊厳を守りながら、認知機能の低下を予防すること
  • 認知症の人を見守ることや、安全に過ごせる環境を整えることが大切
  • 認知症ケアを理解しないまま介護をすると、認知症が進んだり介護者のストレスが大きくなったりする恐れがある
  • 認知症ケアをするときの基本は、本人のペースに合わせ否定しないこと
  • 声を掛ける際に、手を握ったり肩を触ったりと、スキンシップを取りながら分かりやすく話すことも大切

家族が認知症になると、介護者も負担が大きくなります。認知症ケアの方法を知らないと、本人の認知症が進行するだけでなく介護者のストレスも溜まっていきます。適切な対応方法を身につけることにより、認知症の人も穏やかに過ごせるようになるでしょう。

また、介護者はひとりで抱え込まず、周りの助けを求めることが大切です。介護サービスなどを利用して休息を作るようにしましょう。認知症ケアについて分からないことや困ったことがあれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することをおすすめします。 

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