認知症になりやすい人ってどんな人?特徴や原因、今日からできる7つの予防法を紹介
「認知症は何が原因?」「認知症って予防ができるの?」超高齢社会により、認知症の人も増えてきました。認知症になりやすい人はどのような人なのでしょうか?本記事では、認知症の原因やなりやすい人の特徴、予防方法などを説明します。認知症にならずに健康寿命を延ばしたいと考えている人は、参考にしてみてください。
介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。
認知症とは?
認知症になると記憶や判断力といった認知機能が低下し、日常生活や社会生活にさまざまな支障をきたすようになります。「同じことを何度も繰り返し聞いてくる」「お金の管理ができなくなった」「怒りっぽくなった」などの症状が出ると、認知症の初期症状の可能性があります。
認知症にはいくつか種類がありますが、日本では「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」が多いです。
アルツハイマー型認知症は、脳の神経が変性や萎縮していき発症します。物忘れなどの症状があり、緩やかに進行していく特徴があります。次に多い脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血が原因となり発症する認知症です。脳の障害を受けた場所によって症状が異なり、進行の速度もさまざまです。
認知症の原因は?
認知症は、どのようなことが原因で発症してしまうのでしょうか?一つひとつ解説していきます。
老化
老化は人間の身体にさまざまな影響を及ぼします。顔にシミができたり体力が落ちたりなど、自身でも気づきやすい変化の他に、脳も老化をしていくのです。
高齢になり脳の細胞が老化すると血管や細胞が固くなるため、認知症の原因となるアミロイドβが脳にたまりやすくなります。すると脳細胞が破壊され、その結果、認知症が発症しやすくなるのです。
生活習慣
生活習慣は直接認知症に関係ないように思えますが、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病が認知症の発症に深く関わっていることが分かっています。過剰な塩分や脂質の多い食事は高血圧症の原因となり、糖分を摂りすぎることで糖尿病にもなりやすくなります。その結果、生活習慣病となり、認知症の発症につながるのです。
運動不足も認知症の発症に大きく関係してきます。筋力が低下すると活動量が少なくなり、脳への刺激が低下することにもつながりかねません。
病気やけが
病気やけがが原因で、認知症を発症する場合があります。脳梗塞や脳出血など脳血管障害が原因の場合や、事故などで頭をぶつけたことが原因になることがあります。病気やけがの治療で入院が必要になった場合、環境の変化で認知機能が低下することも多く見られるため注意が必要です。
ストレス
ストレスはさまざまな病気の原因といわれていますが、認知症も例外ではありません。ストレスが多いとストレスホルモンが分泌され、全身の血流を悪くしてしまいます。そのため、脳細胞にも必要な栄養や酸素が届きにくくなるのです。その結果、認知症を発症しやすくなるといわれています。
また、ストレスを継続して抱えている場合うつ傾向になりやすく、引きこもりがちになります。そのため、人と会話することが少なくなり、脳への刺激も少なくなるため認知症を引き起こすことにつながってしまうのです。
認知症になりやすい人の特徴
認知症の原因として老化や生活習慣などさまざまありますが、認知症になりやすい人はどのような特徴があるのでしょうか?
気にしやすい性格
小さなことでも気にしすぎる性格の人は、感情面で不安定になりやすいため注意が必要です。特に対人関係が上手くいかない傾向にある人は、ストレスや不安を感じると人に会いたくなくなり引きこもりがちになります。その結果、うつ傾向となり認知症の原因になるのです。
気が短く怒りやすい
気が短く怒りやすい性格の人は、人とのコミュニケーションが上手くいかないことが多くなります。周りの人も関わりたくないと思い、離れていってしまうことがあるでしょう。
そのため、人と会話することが少なくなり、脳への刺激も少なくなることで認知症の発生リスクが高くなるのです。
生活習慣が乱れている
生活習慣が乱れている人は、生活習慣病になりやすい状況を作っています。生活習慣病は認知症の原因の一つといわれており、注意が必要です。
特に寝不足や不規則な睡眠時間によって適切な睡眠ができていないと生活習慣病に陥りやすく、結果として認知症にもつながりかねません。
遺伝子要素
認知症になりやすい人として、遺伝子要素も関係する場合があります。「家族性アルツハイマー型認知症」と呼ばれており、若年性認知症の1割がこれにあたるといわれているのです。両親のどちらかまたは兄弟姉妹が認知症の場合は、発症リスクが高くなる傾向にあります。
家族性アルツハイマー型認知症の特徴は、発症が早く、進行も速いことがあげられます。
認知症になりやすい人の7つの予防法
認知症になってしまったら進行を遅らせることはできても治すことは難しく、認知症にならないように予防することが大切です。ここからは、認知症になりやすい人の7つの予防法をお伝えします。
①健康診断を受ける
認知症を予防するためには、定期的に健康診断を受けましょう。会社員の場合は、退職後は自分で申し込まないと健康診断は受けられません。
健康診断を受けたら、検査結果をしっかりと確認することが大切です。正常値より外れている項目があったら、かかりつけ医を受診しましょう。
②バランスの取れた食事をする
3食の食事は、認知症を予防するためにとても重要になります。脳の健康を維持するには、バランスの良い食事が効果的です。
認知症予防に効果があると言われている栄養素
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
- ポリフェノール
- カテキン
- カフェイン
- βカロチン
- オレイン酸
これらの栄養素は青魚や緑黄色野菜、果物に多く含まれているため、意識的に摂取しましょう。
③適度な運動をする
適度な運動は、認知症の予防になります。運動をして身体を動かすことにより、体中の血液循環がよくなり、脳に運ばれる血液量も増えるのです。脳内の血液量が増えることで認知症予防になります。また、定期的な運動は精神的に安定する効果を生み出します。
まずは、ウォーキングなどの軽い運動を週1回から始めてみるのがおすすめです。運動が続くか心配な場合は、家族や友人、仲の良い近所の人を誘ってみましょう。
③適度な運動をする
認知症予防には、適切な睡眠を取ることが大切です。最も効果的なのは約6〜7時間といわれています。
認知症の原因物質のアミロイドβは起きている間に脳内で増えていきますが、寝ている間に減少することが分かっています。また、質の良い睡眠は、アミロイドβが脳外に排出されやすい傾向があるといわれているため、量だけでなく質にもこだわりましょう。
⑤やりがいを見つける
認知症の予防には、自身にとってやりがいのある「何か」を見つけることが効果的です。会社で働いていたころは毎日やりがいを持って仕事をしていたけれど、退職したとたんやることがなくなってしまったという人は多くいます。そのため、何かやりがいのあることを見つけるのが大切です。
例えば、地域のボランティアなどの社会参加はいかがでしょうか。小学生が登下校するとき、交通事故に合わないように見守りをしている人もいます。子供から「おはようございます」と挨拶されてよい刺激を受けられるでしょう。
やりがいのあることを見つけて張りのある日常生活を送れば、認知症予防につながっていきます。
⑥他者とコミュニケーションを取る
認知症の予防には、周りの人とのコミュニケーションが重要です。周りの人との交流は脳に刺激を与えることになるため、共通の趣味を持つコミュニティーなどに参加するとよいでしょう。
しかし、元々会話をすることが苦手な人は、話さなければならないと気を張ってしまい、逆にストレスがたまってしまいます。大勢の人と話さなくてもよいので、自分と気の合うタイプの人を数人見つけられるだけでも社会参加になり、認知症予防につながります。
⑦ストレスをためない
ストレスは、認知症だけでなくさまざまな病気の原因になります。日常生活でストレスがあると気持ちが沈みやすくなり、うつ傾向になってしまうことがあるでしょう。その結果、あまり社会に出ることがなくなり、人とのコミュニケーションも不足してしまいます。
人との会話が少なくなることで、認知症を引き起こすことがあるのです。ストレスをゼロにすることは難しいですが、楽しく参加できるような習い事などを見つけて集中できる時間を持つとよいでしょう。
認知症になりやすい人の原因を知って予防しましょう
この記事のまとめ
- 認知症とは、記憶力や判断力が低下して日常生活に支障が出る病気
- 認知症の原因は、脳の老化や病気やけが、不適切な生活習慣などがある
- 認知症になりやすい人の特徴として、気にしやすい人や怒りっぽい人などが当てはまる
- 認知症の予防法として、定期的な健康診断や適切な運動を行うことが大切
- 生活習慣病は認知症の原因の一つなので、健康管理は重要になる
認知症は食生活や運動不足などさまざまな原因があります。一度発症すると治すことは難しく、進行を遅らせるなどの治療法しかありません。
そのため、認知症にならないように予防することが重要となります。今回紹介した①健康診断を受ける③適度な運動をする④適切な睡眠を取る⑤やりがいを見つける⑥他者とコミュニケーションを取る⑦ストレスをためないといった方法を実践して、認知症を予防しましょう。