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お金・お家のこと

独身女性の一人暮らしで必要な老後資金について|生活費の目安や準備すべきことは?

独身女性の一人暮らしで必要な老後資金について|生活費の目安や準備すべきことは?

昔と比べて、独身者が増えている現代、「このまま独身として生きていきたい」と考えている女性も多いのではないでしょうか。しかし、今後もひとりで生活することを考えると、老後の資金は不安ですよね。そこで本記事では、独身女性が一人暮らしをする上で必要な老後資金の額や、備えておきたい特別な費用などについて解説します。

監修者 SUPERVISOR
公認会計士/税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 岸田 康雄

平成28年度経済産業省中小企業省「事業継承ガイドライン」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施作研究調査会「事業継承支援専門部会」委員、東京中小企業診断士委員会「事業継承支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・デリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルネスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業継承から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業継承とM&A業務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業継承コンサルタント業務を提供している。

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一人暮らしの独身女性が生活する上で必要な老後の資金

厚生労働省の令和2年簡易生命表によると、女性の平均寿命は87歳、男性の平均寿命は81歳です。女性の方が平均寿命が長いため、老後の資金においても女性の方が多く準備しておく必要があります。一人暮らしの独身女性の場合は、老後の資金を全て自分で賄わなくてはいけないため、不安を感じることも多いでしょう。

老後には多くの資金が必要になるといっても、実際にどれくらいの支出と収入があるのかを把握しないとその額は計算できません。そのため、ここでは高齢の独身女性が生活する上で必要な老後の資金について、支出や収入の平均額を踏まえて詳しく解説します。なお、本記事の老後とは65歳以上のことを指します。

独身高齢女性の一か月あたりの支出額

総務省統計局の家計調査報告家計収支編(2021年)によると、65歳以上の独身女性(単身世帯)の一か月あたりの消費支出額は13万7653円となっています。消費支出とは、日常生活を送る上で消費する支出のことであり、介護費などの特別な費用は含まれません。以下の表は、一か月あたりの消費支出額の内訳です。

分類

一か月あたりの金額

食料

3万6216円

住居

1万2495円

光熱・水道

1万3156円

家具・家事用品

5686円

被服及び履物

3882円

保険医療

8424円

交通・通信

1万2843円

教養娯楽

1万2006円

その他の消費支出(美容代や交際費など)

3万2944円

13万7652円

住居費が1万2495円と安いのは、持ち家がある一人暮らしの独身高齢女性もこの統計に含まれているためです。したがって、賃貸住宅の場合はさらに家賃代を含めて計算する必要があります。

この消費支出に加えて、税金などの非消費支出も月1万2000円程度かかるため、消費支出の13万7653円と合わせて15万円程度の支出が毎月発生すると想定しておくとよいでしょう。

※非消費支出の金額は、総務省統計局 家計調査 2021年(令和3年)平均結果の概要より算出

独身高齢女性の一か月あたりの収入額

高齢者の場合、老後の主な収入は年金であると考えられるため、ここでの収入額は年金の受給額とします。年金は、厚生年金と国民年金で受給額が大きく異なります。厚生年金は会社に勤めている方が受給できる年金で、国民年金は自営業などの方が受給できる年金です。

厚生労働省年金局の令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、独身女性の一か月あたりの年金受給額は以下の通りとなっています。

年金の種類

平均年金月額

厚生年金

10万9205円

国民年金

5万4112円

上記はあくまで平均額であり、年金の受給額は個人で異なります。より詳細に自分の受給額を知りたい方は日本年金機構のサービスである「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を利用するとよいでしょう。

「ねんきんネット」では、国民年金保険料の納付状況や、自分の生活設計に合わせた年金見込額の試算などをスマートフォンやパソコンから気軽に確認できます。

高齢の独身女性が実際に負担する費用(支出と収入の差)

それでは、高齢の独身女性が老後に負担する費用は実際いくらになるのでしょうか。上述した支出(消費支出+税金などの非消費支出)と収入の差から、一か月の負担額と一年の負担額を計算してみましたので、参考にしてみてください。なお、こちらは女性の平均寿命である87歳までの負担額を計算しています。

一か月の負担額

一年の負担額

65歳から87歳までの負担額

厚生年金を受給する独身女性の場合

4万448円

48万5376円

1067万8272円

国民年金を受給する独身女性の場合

9万5541円

114万6492円

2522万2824円

この表から、国民年金を受給する女性の場合は厚生年金を受給する女性の約2倍の額を負担する必要があることが分かります。また、87歳よりも長生きした場合や年金の受給額が下がった場合など、上記よりも負担額が増えることも考えられるため注意が必要です。

旅行やおしゃれを楽しむ場合はさらに資金が必要

女性の場合は、男性と比べよりおしゃれに気を使いたい方も多いでしょう。また、老後の趣味として旅行を楽しむ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

上述した支出にも美容代や旅行費が含まれていますが、月数千円程度のものです。そのため、美容室でカットやカラー、パーマを定期的に行う場合や、海外旅行に行きたい場合は、別途老後の資金が必要となります。

このように、どのような老後を送りたいかによって必要な資金額は大きく変動するため、実際に老後の生活を細かく想定して資金を準備することが大切です。

一人暮らしの独身女性が老後資金として備えておきたい特別な費用

上述の老後の資金に加え、さらに用意しておきたい特別な老後の資金として、医療費・介護費・葬儀お墓の費用・住居の購入費用があります。どれも準備しておいた方がよい費用のため、いざというときに困らないようしっかり備えておきましょう。

治療費・入院費

厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」によると、女性の健康寿命は75歳となっており、平均寿命の87歳まで12年の差があります。この差は男性よりも大きく、女性は特に健康寿命と平均寿命の差から発生する老後資金について考えなければいけません。

この12年間は日常生活に支障が出る期間とされ、医療サービスを受ける機会も増えることが想定されます。一人暮らしの独身女性の場合は、健康を害してしまっても自分ひとりで対処しなければならないことが多いため、医療費以外で不安が募ることもあるでしょう。

そこで、治療費・入院費の準備をしておくことはとても大切です。上述の消費支出額にも医療費は含まれていますが、個人によって病気の程度はさまざまです。最先端の治療を選択したい場合や、個室に入院したい場合などを考えると、特にしっかり備えておく必要があるでしょう。

また、治療費・入院費のことで不安がある場合は、民間保険に加入するのも一つの選択肢です。年齢を重ねてからでも加入できる保険もありますが、若いうちから加入しておくと保険料が安くなるなどのメリットもあるため、早めに保険の加入について考えておくとよいでしょう。

介護費

老後では、自分ひとりで暮らしていくことが難しくなる可能性も十分に考えられます。そのような場合に必要なのが介護費です。

治療費・入院費と同様に、女性の場合は健康寿命と平均寿命の差が男性よりも大きいことから、介護費についても男性より多くの資金を用意しておく必要があります。その上、一人暮らしの独身女性の場合は、子供や配偶者に介護してもらうこともできず、なおさらしっかりと確保しておきたい費用です。

介護費は、どのようなサービスを利用するかで金額が異なります。一般的には、在宅での介護の方が費用が安く、施設入居といった介護は費用が高くなる傾向にあります。介護費は、介護保険制度によって1~3割負担で利用することができるため、こちらもぜひ覚えておきましょう。

葬儀やお墓の費用

独身女性の場合、葬儀やお墓の費用についても老後の資金として事前に用意しておきたいところです。

葬儀の費用をできるだけ抑えたい場合は、直葬や家族葬がよいでしょう。自分の親族に参列してもらうだけで十分と考える方は、家族葬がおすすめです。直葬は火葬のみを行う葬儀形式のため、通常の葬儀を行いたい方には向いていません。そのほか、自分が元気なうちにこれまでお世話になった方にお礼を言いたい場合は、生前葬も選択肢に入れましょう。

お墓については、一般墓から複数の遺骨を同じ場所で一緒に埋葬する合祀墓(ごうしぼ)まで多くの種類がありますが、独身女性の場合はお墓の跡継ぎいないことも考慮して、お寺などに死後のお墓の管理を任せる永代供養墓がおすすめです。

合祀型の永代供養墓であれば、お墓の費用も安く抑えることができます。さらにお墓の費用を抑えたい場合には、散骨などの埋葬方法も検討しましょう。

住居の購入費

独身高齢者の場合は、賃貸契約ができないことも考えられます。持ち家がない場合は住居(マンション)の購入を検討してみてください。

一人暮らしの独身女性となると防犯面が不安になるため、オートロックや管理人常駐のマンションを希望する方もいるでしょう。また、老後に車を手放すことも想定すると、交通の便がよい立地を選ぶ必要があります。

交通の便がよい立地の場合には住居の価格も高くなるため、できるだけ多くの資金を住居の購入費として確保しておく必要があります。また、購入に際しては内覧や契約に体力を使うため、元気なうちにできるだけ早く購入することをおすすめします。

一人暮らしの独身女性は何歳から老後資金を貯蓄すべき?

一人暮らしの女性は何歳から老後資金を貯蓄しておくべきなのでしょうか。明確に何歳からという決まりはありませんが、若いうちから貯蓄しておくことで毎月の負担額を抑えることができます。

具体的に、将来国民年金を受給するとして老後資金の貯蓄を始めた場合、開始時の年齢によって月々の貯蓄額は以下のように変わります。

30歳から老後の資金を貯める場合の月々の貯蓄額

  • 2522万2824円(老後に必要となる資金)÷35(65歳までの年数)÷12(か月)=6万54円

40歳から老後の資金を貯める場合の月々の貯蓄額

  • 2522万2824円÷25÷12=8万4076円

老後資金として、毎月約6万円を貯蓄するのと、約8万4000円を貯蓄するのでは負担の差が大きいです。老後に備えて緩やかなスタートを切りたい独身女性の方は、できるだけ若いうちから貯蓄を始めることをおすすめします。

一人暮らしの独身女性が老後資金を準備する方法

家計の支出を見直す

老後資金の準備方法として最初に挙げられるのは、家計の支出を見直すことです。特に、一人暮らしの独身女性の場合は、自分のために自由に使える費用が多い傾向にあるため、支出を見直すことで老後の資金を捻出できるでしょう。

さまざまな支出の中でも比較的抑えやすいのが食費や通信費です。外食の回数を減らし、自炊を増やすことで食費を抑えたり、スマートフォンを格安SIMに乗り換えることで通信費を抑えたりできます。

極端に支出を抑えてしまうと、今の生活に楽しみがなくなってしまうこともあるため、無理なく続けられる範囲で支出を抑えることを意識しましょう。

また、家計簿をつけていない方は、これを機に家計簿を始めてみることをおすすめします。自分が実際にどれくらいのお金を使っているかを客観的に把握できるため、支出の見直しにはとても便利です。

貯金をする

家計の支出を見直した後は貯金をしましょう。例えば、30歳から老後資金として毎月3万円の貯金を始めた場合、65歳になったときには1560万円が貯まっていることになります。

給与から好きにお金を消費して、余った額を貯金するという方法もよいですが、毎月の給与から先に3万円などの決まった額を老後資金用の口座に移すといった貯金方法が確実でおすすめです。

資産を運用する

貯金して資金を貯める方法の他に、資産運用もおすすめです。女性は男性よりも所得が低い傾向にあり、支出を見直したり貯金をしたりするだけでは老後の資金を準備できないことも考えられます。そのため、今ある資金を運用して収入額を増やすことも大切です。

比較的簡単にできる資産の運用方法には、NISAやiDeCo(個人型確定拠出型年金)などがあります。

NISAは、株式投資や投資信託などで得られた利益に税金がかからない制度です。NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、それぞれ非課税の投資枠や非課税の期間が異なります。必要に応じていつでも引き出せることが特徴で、ライフプランが変わる可能性のある独身女性にもおすすめです。

iDeCoとは、月々に5000円以上の決まった額を積み立て、その積立金で投資信託などを行う制度です。投資で得た利益は非課税となり、積立金は所得控除の対象とされます。ただし、NISAと違って60歳まで一時金を受け取ることはできません。したがって、資金の管理が苦手な方にもおすすめな資産運用方法といえます。

一人暮らしの独身女性は早めの資金準備で不安のない老後を過ごしましょう

この記事のまとめ

  • 高齢の独身女性の一か月あたりの支出額は13万6212円
  • 高齢の独身女性の一か月あたりの収入額(年金)は厚生年金の場合は10万9205円で国民年金の場合は5万4112円
  • 高齢の独身女性が老後に負担する費用は厚生年金受給者の場合は1067万8272円で国民年金受給者の場合は2522万2824円
  • 一人暮らしの独身女性が老後に備えておきたい特別な資金は治療費・介護費・葬儀やお墓の費用・住居購入費
  • 独身女性の老後の資金は早いうちから貯蓄すると月々の負担額が減る
  • 老後の資金を準備する方法には、家計の支出の見直し・貯金・資産運用などがある
  • 老後資金のための資産運用はNISAやiDeCoがおすすめ

一人暮らしの独身女性の場合は、できるだけ早いうちから老後資金を準備しておくことで、不安の少ない老後を迎えられます。いつまでも楽しく暮らすためにも、前向きな気持ちで老後資金について考えてみましょう。 

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