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健康・カラダのこと

認知症予防はトレーニングが大切|高齢者でも簡単にできる脳の活性化に役立つ方法を紹介

認知症予防はトレーニングが大切|高齢者でも簡単にできる脳の活性化に役立つ方法を紹介

日本は高齢化が進んでいるとともに、認知症になる人の数も増えています。同じ話を繰り返したり昨日食べた物を忘れたりなど、症状もさまざまですが、認知症予防には、トレーニングが有効なのはご存知でしょうか。本記事では、認知症予防にトレーニングが必要な理由や取りかかりやすい簡単トレーニングを紹介します。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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認知症予防とは?

認知症予防とは、認知症の発症を遅らせることや進行を緩やかにするという考えで、発症を止めることではありません。

最近の研究では、認知症の発症には運動不足、喫煙、不健康な食事、アルコールなどの生活習慣が関連していると言われています。さらに、高血圧・糖尿病・高脂血症などの病気も認知症発症の危険性を増大させることが明らかになっています。

WHO(世界保健機関)では、認知症発症を遅らせるために、以下のような取り組みを推奨しています。

WHOが推進する認知症予防の取り組み

  • 身体活動:身体運動は認知症予防の効果が最も高く、脳の構造によい影響を与える可能性がある
  • 禁煙:たばこは脳の損傷を促すため、禁煙することで健康上の利点になり認知症予防にもなる
  • 栄養:栄養のバランスがとれた食事は認知症を予防する可能性が大きい
  • 社会活動:社会参加が少ないことや孤独であることは、高齢者において認知機能障害や認知症の発症率を高める

これらは発表されている取り組みの中の一部です。認知症予防に取り組むことで健康的な日常生活へと改善できるため、認知症の発症を遅らせることや進行が緩やかになると考えられています。

出典:WHOガイドライン「認知機能低下および認知症のリスク低減」

認知症予防になぜトレーニングが必要なのか?

定期的なトレーニングは、認知症予防のために必要と言われています。それだけでなく、運動は生活習慣病と言われる「脳卒中・がん・心臓病・糖尿病」などの予防にもつながります。

生活習慣病は認知症の原因になるとも言われているため、身体の健康を保つことは認知症の予防となるのです。

ここでは、認知症予防のために、運動や脳トレなどのトレーニングが必要な理由を説明していきます。

運動が必要な理由

高齢者が定期的なトレーニングをすることで心身の健康が維持でき、認知症の予防になります。

運動や体操などのトレーニングをすると血液の流れがよくなり、酸素が全身に行きわたることで脳の血流もよくなります。運動や体操などを継続的に続けることでさらに脳への血流が増え、神経細胞や認知機能にもよい影響を及ぼすのです。

例えば、ウォーキング、ラジオ体操、筋力トレーニング、ストレッチなどは継続することにより、身体の健康が維持でき脳を活性化させる効果があります。

運動やストレッチといったトレーニングをすることで、認知症予防につながるのです。

脳トレが必要な理由

脳のトレーニングも、認知症予防に非常に有効です。

本を読むときや問題を解くときには、記憶力・言語能力・判断力・計算力などが必要になるため、脳の機能を多く使います。

ゲームも、認知症予防のトレーニングに有効です。楽しみながら脳を活性化できるため、家族や友人と一緒に取り組んでもよいでしょう。

また、「コグニサイズ」と呼ばれるトレーニング方法があります。体を動かすトレーニングをしながらクイズに答えたり、数を数えたりするトレーニング方法です。脳が活性化し、認知症予防になります。

体を動かすだけでなく脳のトレーニングも一緒にすることで、脳に刺激が与えられ認知症予防になるのです。

認知症予防におすすめな簡単トレーニング

認知症予防におすすめなのは、身体と脳を動かすトレーニングになります。それぞれ別で行ってもよいですが、一緒にトレーニングするとさらに効果的です。

どのような運動でも、無理のない範囲で身体を動かすことで健康維持につながります。また、簡単にできるトレーニングなら継続もしやすくなるため、認知症予防には最適です。

ここからは、おすすめのトレーニングを四つ紹介します。

⒈有酸素運動

有酸素運動とは、ウォーキングや水泳など筋肉への負担が比較的軽く、長時間継続して行うトレーニングです。

トレーニングしているときに体の中の糖質や脂質をエネルギーに変えて筋肉を動かしているため、高血圧症や糖尿病など生活習慣病の予防にもなります。

WHOでは、65歳以上の高齢者は、週に150分から300分の中強度の有酸素運動、または週に75分から150分の高強度の有酸素運動を勧めています。しかし、今まであまり運動をしていなかった人は、最初からこのレベルのトレーニングは難しいでしょう。

おすすめのトレーニング

  • ウォーキング
  • 踏み台昇降運動
  • ハイキング
  • 水泳
  • ジョギング

例えばウォーキングは、毎日の日課として取り入れやすい運動です。背筋をしっかり伸ばして腕を大きく振り、大きめの歩幅で歩くと、より運動効果が出やすくなります。

体調や体力をみながら挑戦をしてみて、ゆっくりと運動量を増やしていけばよいのです。トレーニングは継続することが大切です。まずは無理のない範囲から始めて習慣化していきましょう。

⒉無酸素運動

無酸素運動とは、ストレッチや筋力トレーニングを指します。

筋肉を使うことで脳への血液循環は高まり、脳が活性化し認知症予防につながります。また、筋肉の量が増えることで体をしっかりと支えられるようになり、転倒の予防にもなります。

毎日行うことが難しい場合は、歯を磨きながらや調理をしながらなど日常生活と組み合わせて取り入れると習慣化しやすくなります。

筋力トレーニングを行う際に、急に強い負荷をかけると体を痛める危険性があるため注意しましょう。スクワットやストレッチをまずは少ない回数から始めて、身体の様子をみながら回数を増やしていくのがおすすめです。

⒊脳トレ

脳トレーニングが認知症予防に効果的なことは、広く知られてきました。

書店では、脳トレーニング用の計算問題やパズルといったさまざまなドリルが販売されています。また、スマートフォンでは無料でできる脳トレーニングのアプリが増えてきており、手軽に始められるようになってきました。

ドリルを購入して取り組む場合、ページ数が進んでいく楽しさがあります。スマートフォンのアプリでは、上達していくとレベルが次第に高くなることや、点数がグラフになっているため分かりやすく、意欲的に取り組めるでしょう。

また、スマートフォンでの脳トレーニングはドリルや鉛筆を用意する必要がなく、すき間時間でもできるため、日常生活に簡単に取り入れられます。

⒋コグニサイズ

コグニサイズとは、国立長寿医療センターが開発した認知症予防のためのプログラムです。運動をしながら計算やしりとりなどの脳トレーニングを組み合わせて、脳を活性化させていきます。

脳に刺激を与えながらトレーニングをすることで、より認知症予防になるという研究結果から開発されました。

認知症予防やリハビリに力を入れているデイサービスでは、コグニサイズを取り入れる施設が増えています。コグニバイクと呼ばれる液晶画面がついたバイクに乗り、ペダルをこぎながら前の画面に用意された問題に答えていく方法です。

コグニサイズの一例

  • 4+3などの計算をする
  • ブロックの数を数える
  • 数字を見て偶数を選ぶ
  • 小さな数字からタッチする

このように、運動だけでなく同時に頭も使うトレーニングであり、脳が活性化して認知症予防になります。

認知症予防のトレーニングを習慣づけるためには

認知症予防のトレーニングは簡単で継続できるよう習慣化することが重要です。

トレーニングの重要性は分かっているものの、おっくうになってやめてしまったり、頑張りすぎて体調を崩してしまったりすることがあります。無理なく続けるためには、以下のようなポイントがあります。

トレーニングを続けるためのポイント

  • 初めから頑張りすぎない
  • 体調や体力をみながら少しずつ始める
  • 家族や友人を誘って一緒に行う
  • 日常生活のすき間時間を利用する

今まであまりトレーニングをしたことがない場合、継続するだけでも大変です。ひとりでトレーニングを続ける自信がない場合、集団で行う介護予防教室に参加してみてはいかがでしょうか。

自治体主催の介護予防教室

政府が認知症予防を推進していることもあり、自治体主催の「介護予防教室」が開かれることも多くなってきました。

参加費は無料の場合が多く、さまざまなお題で開催されています。

介護予防教室のお題

  • 高齢者のフレイル(虚弱)を予防するための食事のポイント
  • トイレや洗面台、階段など日常生活の中で取り入れられる体操
  • 認知症予防のための、脳を動かす体操やレクリエーション
  • 歌と体操で目指せ元気度アップ!
  • みんなで頭の体操

認知症予防にもなるような、食事の指導や体を動かすトレーニング、頭を使った体操など多彩な種類のプログラムが用意されています。

地域包括支援センターにはこのような介護予防教室の情報が多くあるため、気になる人は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

スポーツクラブの介護予防プログラム

健康のために幅広い年齢層の人がスポーツクラブに通っていますが、そこでも介護予防プログラムを実施していることがあります。

例えば、下肢の筋力やバランス能力を高める運動や、ステップ台を使い昇降運動をして転倒しにくい身体作りをするトレーニングなどを行います。

トレーニングに詳しい専門家が指導してくれるため、無理をせずに体を動かせるでしょう。

また、集団で行うため他の人と会話をしたり励ましたりと、コミュニケーションを図ることで認知症予防にもなります。

認知症予防には、身体と脳のトレーニングが重要

この記事のまとめ

  • 認知症は、運動と食生活など生活習慣を改善することで予防できる
  • 認知症予防には、運動や脳トレが有効
  • おすすめのトレーニングには、①有酸素運動②無酸素運動③脳トレ④コグニサイズがある
  • トレーニングは仲間と一緒に行うと継続しやすい
  • 自治体主催の教室や民間のスポーツクラブでも、高齢者を対象としたトレーニングがある

認知症予防というと脳のトレーニングが中心と考えがちですが、全身を動かすことも重要です。

ひとりでは続かないと考えているのなら、友人と一緒にウォーキングをすることや、地域の介護教室に通い複数人で行うのもよいでしょう。仲良しの人ができれば会話もするようになり、継続するきっかけとなります。

どの運動や脳トレも継続して行うことが大切です。頑張りすぎると途中で嫌になってしまうため、最初は少ない回数や時間から始めて、徐々に増やしていきましょう。続けるためには、楽しみながら適度に行うことが大切です。

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