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お金・お家のこと

老後に固定資産税が払えない!滞納すると起こる事や、納付できない場合の対処方法を解説

老後に固定資産税が払えない!滞納すると起こる事や、納付できない場合の対処方法を解説

不動産の所有者は、毎年固定資産税を払わなくてはなりません。老後を迎えて収入が年金のみになると、経済的な理由で納税が困難になる人もいます。固定資産税を払えない場合は、どうすればよいのでしょうか。今回は、固定資産税を滞納するリスクや払えないときの対処方法を解説します。

監修者 SUPERVISOR
公認会計士/税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 岸田 康雄

平成28年度経済産業省中小企業省「事業継承ガイドライン」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施作研究調査会「事業継承支援専門部会」委員、東京中小企業診断士委員会「事業継承支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・デリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルネスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業継承から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業継承とM&A業務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業継承コンサルタント業務を提供している。

固定資産税とは

固定資産税とは、保有する土地や家屋などの固定資産を所有している人にかかる地方税です。毎年1月1日現在の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人に納税義務が生じます。持ち家に住んでいる人は、住宅ローンを完済した後も固定資産税を払い続ける必要があります。

固定資産税の対象資産

固定資産とは、土地、家屋(建物)、償却資産を総称したものです。固定資産税の課税対象となる固定資産の具体例をまとめました。

固定資産税の課税対象となる主な固定資産

土地

宅地、田、畑、山林、牧場、原野

家屋

住家、店舗、工場、倉庫

償却資産

構築物、機械・装置、工具・器具・備品などの事業用資産

個人の場合、戸建住宅やマンションなどの持ち家が対象となります。持ち家以外に所有している田や畑、倉庫、事業用資産も課税対象となります。

固定資産税はいくらかかる?

固定資産税額は、「固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%」で計算します。固定資産税評価額は、価格の変化を反映するために、3年に1回のペースで評価替えが行われます。

土地や家屋の固定資産税評価額は、売買価格の70%程度に設定されるのが一般的です。住宅用地については、さらに課税標準額が引き下げられる特例もあります。固定資産税の税額は自治体が通知してくれるため、自分で計算する必要はありません。

固定資産税の納付方法

固定資産税は、自治体から送付される納税通知書を使って納付します。年4回に分割して納めますが、第1期に1年分をまとめて納付をすることも可能です。金融機関の窓口やコンビニでも払えますが、手間をかけたくない場合は口座振替を利用するとよいでしょう。

老後に固定資産税が払えない事例

老後に固定資産税が払えなくなる代表的な事例は次の二つです。

年金のみで収入が少ない

老後の収入が年金のみの場合、受取額が少ないと家計が苦しくなり、固定資産税を払えなくなる可能性があります。
日本年金機構によると、令和5年4月分からの年金額は以下の通りです。

令和5年4月分からの年金額

国民年金(1人分の満額の老齢基礎年金)

月額6万6,250円

厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)

月額22万4,482円

※平均標準報酬(月額換算43.9万円)で40年間就業した場合の給付水準

一方、生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人分の老後の最低日常生活費は月額で平均23.2万円となっています。標準的な年金額を受け取れたとしても、家計は毎月約8,000円の赤字です。

無職期間がある人、個人事業主で国民年金のみの人は年金額が少ない傾向にあるため、毎月の赤字はさらに拡大します。生活を維持するのが精一杯で、固定資産税を支払うのは難しくなるかもしれません。

まとまった預貯金があれば、それを取り崩して納税することも可能です。しかし、高齢化が進み老後の生活期間が長くなっているため、貯金が底をついて固定資産税を払えなくなる恐れもあります。

親族から空き家を相続した

両親などの親族から空き家を相続し、固定資産税の納付が必要になった場合です。

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に対して課税される税金です。自分が住んでいなくても、不動産を所有していれば毎年固定資産税がかかります。

不動産は実物資産となるため、部分的に現金化して納税資金に充てることはできません。相続は突然発生することもあります。何も準備ができていない状態で不動産を相続すると、固定資産税が家計を圧迫する恐れがあるため注意が必要です。

老後に固定資産税が払えないと何が起こるのか

固定資産税が払えないからと未払いのまま放置してはいけません。ここでは、老後に固定資産税を払えないと起こる事について説明します。

自治体から支払いを催促される

納期限までに固定資産税を納めないと、自治体から督促状が届きます。督促状とは、税金の滞納者に対して納税の履行を請求する書面のことです。固定資産税を滞納すると、納期限から1ヵ月以内に届くのが一般的です。

督促状を発送した際の行政手数料として、本来の納税額とは別に督促手数料もかかります。
督促状の納期限は、督促状発送日から起算して10日を経過した日(11日目)となっています。地方税法において、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、滞納者の財産を差し押さえなければならない」と定められていることが理由です。

延滞金がかかる

固定資産税を滞納すると、本来納める税額とは別で延滞金がかかります。延滞金は法律で定められており、期限までに税金を納めなかったことに対する罰則の意味合いもあります。

延滞金の割合は、納期限の翌日から1ヵ月を経過する日までは2.4%、1ヵ月経過後は8.7%です。(令和4年1月1日から令和5年12月31日まで)

例えば、納期限が令和5年6月30日の固定資産税10万円を、令和5年12月26日に納める場合の延滞金は以下のように計算します。

①納期限の翌日から1ヵ月を経過する日まで
10万円×31日×2.4%÷365=203円(1円未満切り捨て)

②納期限の翌日から1ヵ月を経過した日以後
10万円×148日×8.7%÷365=3,527円(1円未満切り捨て)

③延滞金の額
203円+3,527円=3,730円→3,700円(100円未満切り捨て)

納税が遅くなればなるほど、延滞金の額は増えていくため注意が必要です。

財産を差し押さえられる

督促状を無視していると、電話や訪問などで納税の催告が行われます。自治体によっては、催告状が送付されることもあります。
それでも滞納を続けると財産調査が行われ、財産の差し押さえが実行されます。預貯金や不動産はもちろん、給料や保険、その他金銭的価値のあるものが差し押さえの対象です。

ただし、最低限の生活を営むために必要な衣服や寝具、3ヵ月分の食料・燃料などは差し押さえの対象外となっています。

公売にかけられて自宅を失う

差し押さえられた財産は金銭に換金され、滞納している税金に充当されます。自宅を差し押さえられた場合は公売にかけられ、買い手が見つかったら売却されてしまいます。現在の自宅は自分のものではなくなるため、速やかに退去しなくてはなりません。

老後に固定資産税が払えない場合の対処方法

国民には納税義務があるため、固定資産税の支払いを免れることはできません。払えないときは放置せず、早めに対策を講じることが大切です。ここでは、老後に固定資産税が払えない場合の対処方法を五つ紹介します。

自治体に相談する

経済的な事情で固定資産税を払えない場合、まずは自治体に相談しましょう。

自治体から届いた納付書や督促状を無視すると、「税金を納付する意思がない」と判断され、強制的に財産を差し押さえられる可能性があります。

しかし、固定資産税が払えない事情を説明し、納税する意思があることを伝えれば、自治体から解決策を提示してもらえるかもしれません。 自治体では、納税が困難となった場合の相談窓口を設けています。固定資産税を払えないと感じたら、早めに自治体の担当部署に相談することが大切です。

分納する

自治体に相談すると、固定資産税の分納に応じてくれる可能性があります。

分納とは、税金を分割して納めることです。電話や窓口で手続きが可能で、いくらずつ納税するかは自治体と相談して決定します。分納を認めてもらえれば、自治体の担当者と決めた計画に沿って少額ずつ納税していきます。

ただし、本来の納期限に間に合っていないため、延滞金も含めた金額を払わなくてはなりません。分納に応じてもらったにもかかわらず、計画通りに納税できない場合は、財産を差し押さえられる場合もあるため注意しましょう。

減免や徴収猶予の申請を行う

経済的な事情で固定資産税を払えない場合は、申請によって減免や徴収猶予を受けられることがあります。

減免とは、納めるべき税金を軽減または免除する制度です。生活保護を受けている人や災害で被害を受けた人などは、税の減免が認められる可能性があります。

徴収猶予とは、一定期間にわたって納税の猶予を受けられる制度です。病気やケガ、廃業、事業の損失、災害や盗難などの理由で、固定資産税の納付が困難な場合に認められます。

減免や徴収猶予が認められる理由はさまざまです。自治体に相談した上で、可能であれば減免や徴収猶予の申請を行いましょう。

換価の猶予の申請も選択肢

換価の猶予とは、すでに差し押さえを受けている財産の換価(売却)が猶予される制度です。納税すると生活の維持が困難となる場合、他の税金に滞納がない場合などに認められることがあります。

換価の猶予を受けるには、財産目録や収支明細書などの必要書類を準備して申請書を提出しなくてはなりません。また、原則として担保が必要です。

減免や徴収猶予を受けられない場合は、換価の猶予の申請を検討しましょう。

不動産を売却する

固定資産税を払えない場合は、不動産を売却する方法もあります。売却して買主に所有権が移転すれば、固定資産税を納める必要はなくなります。

差し押さえを受けて公売にかけられるより、通常の不動産取引のほうが高値で売れる可能性は高いでしょう。売却してまとまった資金が手に入れば、当面の生活費を確保できます。

ただし、物件によっては、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあります。まずは不動産会社に査定を依頼し、売却する場合は早めに対応しましょう。

「リースバック」は売却後も自宅に住み続けられる

住み慣れた自宅を手放したくない場合は、「リースバック」が向いています。

リースバックとは、自宅を売却した後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。不動産会社が買主であるため、比較的短期間で売却できます。自宅の所有権が買主に移転するため、売却後は固定資産税がかかりません。

一方で、リースバックの売却価格は、通常の不動産取引よりも安い傾向にあります。また、売却後は家賃を払い続けなくてはなりません。メリット・デメリットを理解した上で、リースバックを検討しましょう。

不動産を担保に融資を受ける

固定資産税を払えない場合は、不動産を担保に融資を受ける方法もあります。

銀行やノンバンクが提供している不動産担保ローンは資金使途が原則自由であるため、調達した資金を生活費や固定資産税の支払いに利用できます。

ただし、借りたお金は返済しなくてはなりません。返済できなくなると、金融機関に担保不動産を処分されてしまうため、無理のない範囲で利用することが大切です。

「リバースモーゲージ」は自宅を担保に資金調達できる

リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受け、契約者が死亡したときに担保不動産を売却して借入金を返済する高齢者向けのローンです。

利息のみを返済するため、毎月の返済額を抑えられます。資金使途は原則自由で、老後の生活費や固定資産税の支払いに利用できます。一定の条件を満たすと、契約者が亡くなった際に配偶者へ契約を引き継ぐことも可能です。

一方で、返済中に土地や建物の価値が下がると、融資限度額が見直される可能性があります。変動金利のため、市場金利が上昇すると返済額が増える点にも注意が必要です。

固定資産税を払えない場合は放置せず、対処方法を探そう

この記事のまとめ

  • 固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税される
  • 老後に固定資産税を払えない代表的な事例は、「年金のみで少ない」「空き家を相続した」の二つ
  • 固定資産税を滞納すると延滞金がかかり、最終的には財産を差し押さえられる可能性がある
  • 老後に固定資産税を払えない場合は、自治体に分納や徴収猶予、換価の猶予などを相談する
  • 不動産を売却すると買主に所有権が移転するため、売却後は固定資産税がかからなくなる
  • 不動産を担保に融資を受け、調達した資金を生活費や固定資産税の支払いに充てる方法もある
  • 固定資産税を払えないが、住み慣れた自宅を手放したくない場合は「リースバック」「リバースモーゲージ」を検討する

国民には納税義務があるため、固定資産税の支払いを免れることはできません。滞納すると延滞金が発生し、財産を差し押さえられる恐れがあります。老後を安心して過ごせるように、固定資産税を払えない場合は放置せず、対処方法を探しましょう。

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