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卒婚とは?別居や離婚との違い、メリット・デメリットを詳しく解説

卒婚とは?別居や離婚との違い、メリット・デメリットを詳しく解説

夫婦のあり方を見直して、自分らしく生きるための方法のひとつに「卒婚」というものがあります。卒婚は、離婚とは異なり、婚姻関係を継続した状態でパートナーと距離をおくことです。本記事では、卒婚の定義やメリット・デメリットを解説します。気になる方はぜひ参考にしてみてください。

卒婚とは?

卒婚について考える女性

卒婚は、まだ世間ではあまり浸透していないため、どのような関係なのか疑問に思っている方も多いでしょう。まずは、卒婚の定義や離婚・別居との違いについて解説します。

卒婚は婚姻関係を解消せずに夫婦の関わりを減らすこと

卒婚とは、法的な婚姻関係を維持したままで、夫婦がお互いに干渉することなく自立して生活することです。夫婦関係が険悪になって離れるといったネガティブな意味合いだけでなく、結婚生活を卒業してお互い自由に生きるというポジティブな意味も込められています。

卒婚の考え方は夫婦によって異なり、家庭内で別居をする方法もあれば、別々に暮らす方法もあります。お互いの生活に関わる頻度もさまざまで、ほとんど干渉しない夫婦もいれば、月に一回は食事をするといった場合もあります。法的に定められた制度ではないため、夫婦間で自由に対応できることも卒婚の特徴です。

離婚や別居との違い

卒婚は離婚とは異なり、婚姻関係を解消せずに夫婦間の距離を置くことです。戸籍上の記載は変わらないため、法的な手続きは必要ありません。戸籍上では夫婦のままというのが離婚との大きな違いです。

卒婚と別居は似ている点もありますが、卒婚では必ずしも住居を分ける必要はありません。また、家庭内別居で卒婚をする方法もあります。別居か同居かは夫婦で話し合って決められることも、卒婚の特徴です。

卒婚のメリット

卒婚した女性

卒婚には、離婚や別居にはないメリットが存在します。具体的にどのようなメリットがあるのか順番にご紹介していきます。

お互い干渉せずに自由な生き方ができる

卒婚の最大のメリットは、結婚生活の形を見直すことで、お互い自由な時間を確保できるようになる点です。パートナーと長く共に生活をしていると、相手の都合に合わせる機会が多くなり、煩わしく感じることもあるでしょう。

そうした場合は、卒婚をして夫婦間の関わりを減らすことで、仕事や趣味など自由に過ごせる時間を増やすことができます。子供が自立した家庭や、定年後は自分のために時間を使いたいという方にとっては、卒婚はメリットが大きいでしょう。

離婚とは異なり面倒な手続きが必要ない

卒婚は、離婚届の提出や氏名変更といった面倒な手続きは不要です。戸籍上の記載は変わらないため、会社への届け出も必要ありません。卒婚して別居する場合に限り、住所変更の手続きが必要になります。

また、卒婚は当人同士で進めるのが一般的なため、調停などの法的手続きもありません。夫婦間で条件を話し合って、穏便に済ませられることも魅力といえるでしょう。

配偶者の遺産を相続できる

卒婚では婚姻関係が続いているため、配偶者が亡くなった場合に遺産を相続できます。一方、離婚すると配偶者としての相続権が失われるため、遺産を受け取ることはできません。この点が、卒婚と離婚の大きな違いです。

将来的に遺産を相続することを考えているのであれば、卒婚の方がメリットは大きいでしょう。卒婚には法的な効力はないため、遺産の法定相続分も通常の夫婦と変わりはありません。

卒婚のデメリット

杖を持った女性

卒婚にはメリットも多い反面、婚姻関係が継続しているがゆえのデメリットもあります。トラブルを回避するためには、デメリットについてもあらかじめ確認しておきましょう。

新しいパートナーと再婚できない

卒婚では、配偶者との婚姻関係が続いているため、新しいパートナーと再婚することはできません。再婚を望んでいる場合は、卒婚よりも離婚を選択したほうが良いでしょう。

また、卒婚は法的な夫婦関係が継続しているため、配偶者以外と肉体関係を持つと不貞行為にあたる可能性があります。夫婦間の取り決めによっては自由に恋愛できるわけではないことも、卒婚のデメリットです。

別居をすれば生活費が増える

卒婚で別居をする場合は、住宅費・食費・光熱費などの出費がかさみます。配偶者と一緒に暮らしている時よりも金銭的負担がかかることは、卒婚のデメリットといえます。

お互いが経済的に自立していなければ、卒婚して別居するのは難しいでしょう。金銭的に不安がある場合は、まず家庭内別居の卒婚からはじめるのも一つの方法です。

法律上は扶養義務が生じる

卒婚では戸籍上は夫婦のままのため、扶養義務が発生します。配偶者が扶養を希望すれば、収入の高い方が生活費を援助しなければなりません。

扶養義務から逃れたい場合は、卒婚だとデメリットが生じる可能性があります。夫婦としての関係は断っているのに金銭的な援助だけは求められるという状況を避けるためにも、あらかじめお金に関する取り決めをしておくことが大切です。

卒婚を決断するケース

喧嘩をした夫婦

卒婚は、具体的にどのような理由で決断することが多いのでしょうか。ここからは卒婚を決めるきっかけでよくあるケースをご紹介します。

お互いの生活スタイルが異なってきた

お互いの生活スタイルが合わなくなってきた時には、卒婚を決断することがあります。とくに夫婦それぞれが仕事で責任のある立場になったり、趣味に打ち込むようになったりした場合、生活スタイルが合わないことで卒婚に踏み切る場合も多いでしょう。

無理して一緒に過ごしていても負担を感じてしまうため、お互いが自由に生きるために卒婚を選択するのも一つの方法です。

配偶者に振り回されて疲れた

配偶者に振り回されて疲れてしまった場合も、卒婚に踏み切ることがあります。女性にありがちなのは、夫から家事を任せきりにされてストレスが溜まるケースです。食事の支度や掃除など、配偶者から都合よく使われることに嫌気がさした結果、夫婦間の距離を置く選択をするケースもあります。

このような理由であれば、完全に関係を絶ち切る離婚よりは、お互いへの干渉をやめる卒婚の方が上手くいく場合もあります。

価値観の不一致が目立ってきた

長年連れ添った夫婦でも、年を重ねるにつれて価値観が合わなくなることもあります。とくに定年後など夫婦で過ごす時間が多くなると、考え方の違いが原因でストレスを感じることもあるでしょう。

価値観の不一致で喧嘩が増えてきたようであれば、卒婚で距離を置くのも一つの方法です。一緒に過ごす時間を減らすことで、気持ちに余裕が生まれて相手を尊重できる可能性もあります。

卒婚を始める前に決めておくこと

卒婚について相談する夫婦

卒婚を円滑に進めるためには、事前に決めておくべきことがあります。夫婦間できちんと話し合って、納得した状態で新たな生活を始めましょう。

生活費や貯蓄に関するルールを決めておく

卒婚をした後の生活費の分担については、ルールを定めておく必要があります。特に引き続き同居する場合は、住宅費の折半や日用品購入の分担などを具体的に話し合っておきましょう。

共同の貯蓄がある場合は、どのように分割するか話し合う必要があります。お金に関することは後々トラブルに発展しやすいため、書面に残してルールを決めておきましょう。

別居か家庭内別居か決めておく

卒婚後の住まいに関しては、法律で定義されているわけではありません。別居にするか家庭内別居にするかは、夫婦で話し合って決めていきます。

別居するかどうかを決める際には、お互いの経済力や健康面なども考慮する必要があります。それぞれが自立しているのであれば、別居という方法をとっても問題はないでしょう。

家族の理解を得る

卒婚をするにあたって、子供や親族の理解を得ることも大切です。理解を得られないまま卒婚を進めることで、親族から非難されたり、子供にショックを与えてしまったりする可能性があります。

まずは、卒婚の定義や距離を置く理由などを説明して、離れることがお互いにとって幸せである旨を伝えてみましょう。卒婚はなじみが薄いため、理解を得にくいかもしれませんが、あらかじめ話をしておくことで家族や親族とのトラブルを回避できます。

病気や介護が必要になった時のことを考えておく

卒婚を考えている時点では健康だったとしても、数年後に病気を患ったり介護が必要になったりする可能性があります。そういった場合の対処法についても、あらかじめ夫婦で話し合っておくとよいでしょう。

婚姻関係がある間柄では、配偶者が要介護になった場合に援助をする必要があります。しかし、これはあくまで一般的な夫婦の場合のため、卒婚後は介護や生活費の援助についてそれぞれの夫婦間で取り決めができます。

卒婚に関するよくある質問

卒婚するか迷う女性

ここまで卒婚の定義などを解説してきましたが、まだ分からないこともあるでしょう。ここからは、卒婚に関するよくある質問にお答えします。

卒婚をしたら年金の支給はどうなるの?

老後にもらえる年金の受給額は、卒婚をしても変わりません。支給される年金が減ることはないため、ご安心ください。

ただし、卒婚では年金分割の制度は利用できません。年金分割とは、離婚した場合に適応される制度で、婚姻期間中に配偶者が納付した保険料の一部を年金として受け取れるものです。卒婚は離婚とは異なるため、配偶者の年金が分割されることはありません。

不倫をした場合に慰謝料請求できるの?

卒婚は婚姻関係が継続しているため、第三者と肉体関係を持った際に配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。慰謝料請求が認められるかは、夫婦関係が破綻しているかどうかがポイントになってきます。

卒婚後も同居をしていたり、頻繁に連絡をとっている場合は、夫婦関係が破綻しているとはみなされず慰謝料請求が認められる可能性があります。ただし、婚外恋愛にお互いが合意していることがはっきり証明できれば、慰謝料請求が認められないこともあります。

卒婚はお互いの自由を尊重する夫婦の形

卒婚をした夫婦

この記事のまとめ

  • 卒婚は、婚姻関係を維持したままで結婚生活を解消すること
  • 離婚とは異なり、お互いが自由に生きるというポジティブな意味がある
  • 卒婚では、戸籍上の記載は変わらないため、法的な手続きがない
  • 卒婚は婚姻関係が継続しているため、配偶者の遺産を相続できる
  • 卒婚では新しいパートナーとの再婚はできない
  • 卒婚を始める前には生活費や住居などを話し合って決めておくことが重要

卒婚は、離婚とは異なる新しい夫婦関係のあり方です。配偶者に振り回される日々にストレスを感じる場合や、生活スタイルが合わなくなってきたときに選択されることがあります。

卒婚は、書類の手続きが不要である手軽さもありますが、婚姻関係が継続しているがゆえのデメリットもあります。卒婚をはじめる際には、夫婦間でルールを決めておき、お互いが納得できる状態でスタートしましょう。

監修者 SUPERVISOR
1級葬祭ディレクター 志岐 崇

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。

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