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健康・カラダのこと

【高齢者向け】おすすめのストレッチ15選!安全に簡単にできるものを紹介

【高齢者向け】おすすめのストレッチ15選!安全に簡単にできるものを紹介

ストレッチには、さまざまな健康効果があります。高齢になると活動が低下するため、ストレッチは日常生活機能を維持したいと考える高齢者におすすめです。今回は、足腰に不安がある高齢者でも簡単・安全にできるストレッチや、注意点を中心に紹介していきます。

ストレッチの効果とは

ストレッチ 高齢者

高齢者になると徐々に活動の機会が低下し、筋力が衰え、ひいては転倒や認知機能の低下につながる恐れがあります。そこでおすすめなのがストレッチです。ストレッチは、体に過度な負担をかけることなくさまざまな健康効果を得られるのがメリットです。

具体的には、以下のような効果があります。

ストレッチの効果

  • 筋肉や関節の柔軟性向上
  • 血行促進
  • ケガの予防
  • 姿勢の改善
  • リラックス効果

ストレッチは、一般的に準備運動やクールダウンで行われるイメージがあります。しかし、簡単なストレッチでも日常的に実施することで効果が得られるため、普段運動する機会がない高齢者でも安全にできるのが魅力です。

高齢者にストレッチがおすすめな理由

ストレッチ 高齢者

高齢者が心身機能を維持するためには、ストレッチを定期的に行うことがおすすめです。

なぜ高齢者にはストレッチがおすすめなのか、どのような効果があるのかについて、詳しく紹介します。

柔軟性の向上と怪我の予防

高齢者になると筋肉や関節は硬くなりやすく、可動域も狭くなってきます。ストレッチは、筋肉や関節の柔軟性の維持・向上に役立ち、バランス感覚の改善も期待できます。この効果が転倒リスクの軽減につながります。

転倒による骨折などの大怪我で一時的に動けなくなると認知症が悪化したり、そのまま筋力が低下して日常生活動作が満足にできなくなったりしてしまいます。転倒予防は高齢者の健康寿命を延ばす上で非常に重要です。

筋力維持と日常生活動作の向上

ストレッチによって血行が促進されると、筋肉への酸素や栄養素の供給が向上します。これにより、高齢者になっても筋肉の修復や成長が促され、筋力低下を抑制する効果が期待できます。また、関節や筋肉の痛みがストレッチによって緩和されると、積極的に体を動かす意欲が湧き、活動量の増加にもつながります。

つまり、高齢者がストレッチを行うことで活動性の向上と筋力維持の好循環が生み出され、結果的に日常生活動作の向上につながるのです。

姿勢の改善と腰痛・肩こりなどの軽減

高齢者になると背骨が丸まりやすくなるなど、姿勢が悪くなることがあります。ストレッチは体の歪みを整え、正しい姿勢を保つ助けとなります。よい姿勢は、見た目の印象をよくするだけではありません。体に負担がかかりにくくなって腰痛や肩こりが軽減し、より日常生活を活動的に過ごせるようになるでしょう。

血行促進と冷え・むくみの改善

ストレッチの筋肉を伸ばしたり縮めたりする動作は、血管を刺激して血行を促進する効果があります。高齢者は血行が悪くなりやすく、冷えやむくみを感じやすい傾向がありますが、ストレッチによって体の隅々まで血液が行き渡り、冷えやむくみの改善につながります。血行促進は、高血圧や動脈硬化などの予防にも効果的です。

認知機能の維持

高齢者になると心配になるのが、認知機能の低下です。運動や外出の機会が減少すると認知機能の低下が懸念されますが、ストレッチによって腰痛・肩こり・冷えやむくみが改善して活動性が保たれることで、間接的に認知機能の維持につながります。

また、ストレッチ運動はそれ自体が認知機能の維持や心理面へのよい影響が報告されており、脳への間接的な効果も示唆されています。

リラックス効果や気分転換

ゆっくりとした呼吸でストレッチをすると、心身のリラックスにつながります。筋肉の緊張が和らぐことで、精神的なストレスや不安を軽減する効果も期待できるでしょう。ストレッチをすることで気持ちが切り替わり、気分転換にもなります。

精神的な安定は、高齢者にとって認知症予防や活動意欲の維持にも繋がる重要な要素です。

高齢者におすすめのストレッチ15選

ストレッチ 高齢者

高齢者でも無理なく安全に実施できる簡単なストレッチを、15種類ご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

首・手首・足首のストレッチ

首のストレッチ

  1. 首の右回し・左回しをそれぞれ3回ずつ行う
  2. 首を左右交互に3回ずつ、ゆっくりと倒す

手首のストレッチ

  1. 両手を組んで、手首をくるくると回すように動かす
  2. 手首を左右に10~20回ずつ、交互にゆっくりと動かす

足首のストレッチ

  1. 椅子に座り、片足をもう片方のひざ上に乗せる
  2. 膝上に乗せたほうのつま先をつかみ、足首をゆっくり回す(左右3回ずつ)

腕のストレッチ

上腕のストレッチ

  1. 背筋を伸ばして座り、片方の腕をまっすぐ前に伸ばす
  2. 反対の手で伸ばした腕の肘あたりをゆっくり胸の方へ引き寄せ、上腕の筋肉を伸ばす

前腕のストレッチ①

  1. 片腕を前に伸ばす
  2. 手のひらを上に向ける
  3. 反対の手でゆっくり手首を自分の方へ曲げ、10~15秒キープする

前腕のストレッチ②

  1. 片腕を前に伸ばす
  2. 手のひらを下に向ける
  3. 反対の手でゆっくり指先を下に引っ張り、10~15秒キープする

手足の指先のストレッチ

手指のストレッチ

  1. 両腕を前に伸ばす
  2. ゆっくり「グー」「パー」「グー」「パー」を繰り返す

足指のストレッチ

  1. 椅子に座る
  2. 両足の指で「グー」「パー」「グー」「パー」を繰り返す

もも上げ

もも上げ

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る
  2. 太ももを交互に上げ下げする(上げ下げに合わせて腕を振ると、なお効果的)

※もも上げの際に座位バランスを崩しそうになる場合は、座面に手をついて体を支えましょう。

肩の上げ下げ

肩の上げ下げ

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る
  2. 肩甲骨を真ん中に寄せるようなイメージで肩を上げる
  3. 肩をゆっくりとおろす

胸郭にアプローチして呼吸を楽にするストレッチ

胸郭を広げるストレッチ

  1. 椅子に座って両手を組む
  2. 両手を組んだまま、両手を出来るだけ上げる
  3. ゆっくりと両手を下す(10~20回繰り返す)

体幹のストレッチ

体幹のストレッチ

  1. 椅子に座って背筋を伸ばす
  2. 両手を組んだ状態で体幹を右方向に回す
  3. ゆっくり体を戻す
  4. 両手を組んだ状態で体幹を左方向に回す
  5. 左右交互に10~20回繰り返す

背中のストレッチ

背中のストレッチ

  1. 椅子に座って背筋を伸ばす
  2. 顔を膝に近づけ、体を前に丸めるような姿勢になる
  3. ムリのない範囲まで丸めたら、ゆっくりと姿勢を戻す
  4. 上記を10~20回繰り返す

※高齢者の場合、座位姿勢が安定しないことがあります。バランスを崩して転落しないよう、無理せず行いましょう。

腰のストレッチ

腰のストレッチ①

  1. 椅子に座る
  2. 両手で右膝を抱えるように、胸にゆっくりと引き寄せます
  3. 腰の周辺を意識しながら、10秒ほどキープする
  4. 同様に左右の膝で交互に行う

腰のストレッチ②

  1. 足を肩幅に開いて立つ
  2. 上体を前に倒す(無理のない範囲で)
  3. 手は膝かふくらはぎに置き、腰・背中を伸ばしながら10秒キープする

※高齢者の場合、立位で行うストレッチは転倒の恐れがあります。バランスを崩さないように注意しましょう。

高齢者がストレッチをするときの注意点

ストレッチ 高齢者

高齢者は、強い負荷をかけた運動や現在の身体状態で難しいストレッチをすると、思わぬ怪我をしてしまうリスクがあります。そこで、以下の点に注意しましょう。

反動をつけない

高齢者は、筋肉・腱・靭帯といった組織の柔軟性や弾力性が低下しています。反動をつけてストレッチをすると普段より強い負荷がかかって怪我をするかもしれません。
仮に怪我をしなかったとしても、少しずつ筋繊維や周辺組織に疲労がたまり、慢性的な痛みや機能低下を引き起こすリスクがあります。

呼吸を止めない

ストレッチの際は、呼吸を止めないように意識しましょう。高齢者になると、呼吸機能が低下したり、無意識のうちに呼吸が浅くなったりする可能性があるからです。呼吸がつらくなると、より体が緊張して逆効果となってしまいます。
ゆっくりと呼吸することは、心身の安定にも繋がります。焦らずマイペースで行いましょう。

痛くなるまで伸ばさない

痛みを感じたら、体に強い負荷がかかっているサインです。高齢者は柔軟性が低下している傾向があるため、過度な負荷や普段していない無理な体勢は筋肉と関節を痛めかねません。特に、急に強く体を曲げたり、深く伸ばしたりする動作は危険です。

異常を感じたらすぐに中断する

痛みや不快感などの異常を感じたら、すぐにストレッチを中断してください。普段ストレッチに慣れていない体で無理な動きをすると、かえって筋肉を緊張させたり、柔軟性を損なう危険性があります。簡単な動作から始めながら体のサインに注意深く耳を傾け、無理のない範囲で行うことが大切です。

水分を摂りながら行う

ストレッチをする際は、特にこまめな水分補給を意識しましょう。高齢者になると、体内の水分量が減少しやすく、喉の渇きを感じるセンサーも鈍くなる傾向があるからです。水分不足は血液をドロドロにし、健康に悪影響を及ぼしかねません。簡単な動きだからと油断せず、しっかり水分を摂りながら行ってください。

無理せず継続する

高齢者になってからストレッチを始める場合は、無理せずコツコツと自分のペースで続けることが大切です。少しずつ毎日継続すると、自身の体の状態や反応を丁寧に感じながらストレッチできるため、高齢者の体でも無理なく、安全に続けられるでしょう。

困ったときは専門家に相談する

高齢者の方に関するストレッチの悩みごとは、専門家に相談するのが一番です。以下は、専門家に相談する内容の具体的な例となります。

専門家に相談する内容

  • 地域包括支援センターのスタッフに、介護保険制度などを活用してできるリハビリがないか相談する
  • 整形外科の医師・理学療法士・作業療法士などの専門家に、適切なストレッチ方法を相談する

地域包括支援センターは、地域の高齢者の困りごとを解決するために各専門機関と連携しながら対応してくれる、高齢者のための総合相談窓口です。また、理学療法士は物理療法の面から、作業療法士は日常生活に必須となる動作の面から医師の指示の下でリハビリを考えてくれる専門職です。

高齢者にとって、無理なストレッチは怪我や思わぬトラブルの原因になりかねません。困ったときは専門家に相談し、安全な方法について助言を受けるのがよいでしょう。

注意点に留意し手軽に始められるストレッチで、高齢者になっても元気に過ごしましょう

ストレッチ

この記事のまとめ

  • ストレッチには、高齢者の日常生活に寄与するさまざまな効果がある
  • 簡単なストレッチでも十分な健康効果があるため、高齢者におすすめ
  • 高齢者には、座った状態でもできる部位ごとの簡単なストレッチがよい
  • 高齢者は怪我のリスクが高いため、注意点を意識して無理せず行う

高齢者になっても活動的で健康的な体を維持するためには、日々の生活の中で意識的に体を動かすことが重要です。その点、ストレッチは手軽に始められるだけでなく、座ったままでも無理なく安全に続けられるため、初心者でも安心です。安全に行うためにも、注意点を忘れずに今回紹介したストレッチを、ぜひ試してみてください。

監修者 SUPERVISOR
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級 池田 正樹

東北公益文科大学卒業。その後、介護保険や障害者総合支援法に関する様々な在宅サービスや資格講座の講師を担当した。現在は社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活相談員として、入居に関する相談に対応している。在宅・施設双方の業務に加えて実際に家族を介護した経験もある。高齢者介護分野のみならず、障がい者支援に関する制度にも明るい。

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