「ご愁傷様です」は使ってはいけない？注意点や言い換え表現も紹介
身内を亡くした方にかける言葉に「ご愁傷様です」があります。しかし「ご愁傷様です」という言葉を、使ってはいけない場面があるのも事実です。本記事では、「ご愁傷様です」の意味や使い方について詳しく解説します。また、葬儀の場で使ってはいけない言葉についても紹介しますので、参考にしてください。
「ご愁傷様です」の意味
結論から申し上げますと、「ご愁傷様です」は日本語として正しく、使ってはいけない言葉ではありません。しかし「ご愁傷様です」を使う場面によっては、失礼にあたってしまうこともあります。「ご愁傷様です」の使い方には注意が必要なため、使ってはいけないのではないかという不安がよぎってしまうこともあるでしょう。
まずは「ご愁傷様です」を使うにあたり、言葉の意味について解説します。
「愁傷」とは嘆き悲しむこと
「ご愁傷様です」は「ごしゅうしょうさまです」と読み、嘆き悲しむ様のことです。「愁い（うれい）」は「嘆きや悲しみ、心配、憂い」という意味の言葉です。
また「傷」は、外傷的な意味合いもありますが、この場合「心を痛めている、感情が失われる」という意味になります。そこに敬意を表す、「ご」「様」と、丁寧表現の「です」をつけた言葉になります。
ご遺族にお悔やみの気持ちを表すための言葉
「ご愁傷様です」は、「大切な人を亡くした方の心配をしている、気の毒に思っている」といった意味の言葉です。ご遺族に対する同情や思いやりの気持ちを表し、悲しみを共有するお悔やみの言葉といえます。
つまり「ご愁傷様です」は、通夜や葬儀などの場でご遺族にかけるふさわしい言葉になります。受付のときや焼香、会食の席などでは、ご遺族に対し「ご愁傷様です」と声をかけるとよいでしょう。
ただし「ご愁傷様です」は、故人が亡くなった直後に使う言葉です。四十九日や一周忌法要などでは使わないよう注意しましょう。
「ご愁傷様です」を使ってはいけないと思われる理由
「ご愁傷様です」は葬儀の場において、ご遺族の気持ちに寄り添う言葉です。しかし、「ご愁傷様です」を使ってはいけない場面があるのはなぜでしょうか。ここからは、「ご愁傷様です」を使ってはいけないといわれる意味や理由について解説します。
葬儀の場以外で皮肉を込めて言う場合もある
「ご愁傷様です」という言葉は、トラブルや不運に見舞われた方に対して使われることもあります。葬儀の際に使う場合は失礼にはあたりませんが、近年「ご愁傷様」や「ご愁傷様です」という言葉が、プライベートやビジネスシーンにおいて、「お気の毒に」という皮肉の意味で使われることが増えてきているのも事実です。「ご愁傷様です」は、使う相手や場所によって悪い印象を与えかねないため、場面に応じて使い分けるようにしましょう。
メールや手紙では使ってはいけない
「ご愁傷様です」は、会ったときに直接口頭で使う言葉です。メールや手紙といった文面で「ご愁傷様です」を使うことは失礼にあたり、不適切だと考える方も多くいます。
後述しますが、メールや手紙でお悔やみを伝える際には、文面にふさわしい言葉に言い換えましょう。
「ご愁傷様です」の伝え方と例文
ご遺族に対し、「ご愁傷様です」と伝えたいけれど、どのように声をかけてよいのか分からないという方も多いでしょう。ここからは、「ご愁傷様です」の伝え方を相手別に紹介します。
葬儀や弔問の際の伝え方
お通夜や葬儀に参列した際は「ご愁傷様です」ではなく「ご愁傷様でございます」とすると、より丁寧な印象になります。また一言だけでなく、相手に寄り添う言葉を伝えるとよいでしょう。
例文
- このたびは、ご愁傷様でございます。何と申し上げてよいか言葉もありません。謹んでお悔やみ申し上げます。
- このたびは、ご愁傷様でございます。突然のことで胸が張り裂けそうです。心からお悔やみ申し上げます。
近所の人が亡くなったときの伝え方
「ご愁傷様です」を近所の人や親戚の方、友人など、親しい間柄の相手に伝える場合は、くだけすぎた言葉にならないよう注意してください。親しい間柄の場合、つい話し込んでしまう場合もあるでしょう。しかし、ご遺族は心身ともに憔悴しているでしょうし、忙しくしています。できるだけ短くすませることも大切です。
例文
- このたびはご愁傷様です。突然のことで、さぞお辛いこととお察しいたします。どうかお力を落とされませんように。
- このたびはご愁傷様です。突然のことで大変でしたね。私にお手伝いできることがあればなんでも言ってくださいね。
ビジネスシーンでの伝え方
上司や取引先の相手など、ビジネスシーンで「ご愁傷様です」と声をかける際には、丁寧な言い回しに言い換えます。「ご愁傷様でございます」や「ご愁傷様でございました」と言い換えましょう。またビジネスの場合、忌引きの手続きや仕事の引継ぎなどが必要になることもあります。できるだけ端的に伝えることが大切です。
例文
- このたびは、誠にご愁傷様でございます。〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
- このたびは、誠にご愁傷様でございました。突然のことで、信じられない気持ちでいっぱいです。
▶︎メールでお悔やみの言葉を伝える詳しい例文についてはこちら
「ご愁傷様です」の言い換えと例文
「ご愁傷様です」は、口頭でのみ使えるお悔やみの言葉のためメールや手紙、弔電など使ってはいけない場面もあります。ここからは、「ご愁傷様です」の言い換えについて紹介します。
お悔やみ申し上げます
「ご愁傷様です」の言い換えのひとつに、「お悔やみ申し上げます」があります。「お悔やみ申し上げます」には、故人を弔う、ご遺族の悲しみに寄り添うといった意味があります。また口頭だけでなく、文面においてもフォーマルな表現として使えます。
「お悔やみ申し上げます」はシーンを選ばず誰に対しても使えますが、キリスト教の葬儀においては「悔やむ」という言葉は使えないため注意してください。
例文
- 【口頭の場合】このたびは心よりお悔やみ申し上げます
- 【文面の場合】ご逝去の報に接し 謹んでお悔やみ申し上げます
哀悼の意を表します
メールや手紙、弔電などで使える言葉に「哀悼（あいとう）の意を表します」があります。しかし「ご愁傷様です」とは違い、口頭で使ってはいけないため注意しましょう。
類似した言葉で「追悼（ついとう）」があります。災害などで大勢の方が亡くなった際、公の場で用いられる言葉ですので、個人の場合は「哀悼の意を表します」がよいでしょう。
例文
- 〇〇様のご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます
- 謹んで哀悼の意を表するとともに 心からご冥福をお祈り申し上げます
誠に残念でなりません
「誠に残念でなりません」とは、故人が亡くなったことを残念に思う、心残りがあるという意味です。口頭でも文章でも使えますし、ほかのお悔やみの言葉とあわせて使いやすいため、覚えておくとよいでしょう。
例文
- 突然の訃報を受け、誠に残念でなりません。
- このたびのご不幸、誠に残念でなりません。
ご冥福をお祈りします
「ご冥福をお祈りします」は、亡くなった方の死後の幸せを祈っているという意味があります。しかし弔電やメールなどの文章のみで使う言葉のため、お通夜や葬儀の際口頭で使うことのないよう、気をつけましょう。
また、「ご冥福をお祈りします」は、仏教の冥土の考えに基づいた言葉です。冥土の概念を持たない神道やキリスト教では使わないようにしましょう。
例文
- 〇〇様のご冥福を心よりお祈りいたします
- ご逝去を悼み 謹んでお悔やみ申し上げますとともに 心からご冥福をお祈りいたします
葬儀の場で使ってはいけない言葉
お通夜や葬儀に参列する際など、弔事の場で使ってはいけない言葉があります。「ご愁傷様です」をご遺族に伝えるとき、使ってはいけない言葉をうっかり口にしてしまわないよう注意してください。
死因について尋ねる言葉
弔事の際、死因について尋ねる言葉は使ってはいけないため注意しましょう。ご遺族に故人が亡くなったときの辛い状況を思い出させてしまいますし、事情があり死因を伏せている場合もあります。
ご遺族の負担になるような言葉
ご遺族の負担になるような言葉も、使ってはいけないため気をつけてください。「頑張ってください」や「早く元気になってね」など、励ますつもりで言った言葉であっても、辛い心情の中の励ましは、ご遺族にとって大きな負担になります。
重ね言葉・忌み言葉
弔事において、「重ね言葉」や「忌み言葉」も使ってはいけない言葉です。重ね言葉とは、「ますます」や「度々」、「くれぐれも」といった重ねる言葉を指します。「続く」や「繰り返す」なども同じ意味合いです。
「ご愁傷様です」とあわせて口にしてしまいそうですが、不幸が続くことを意味するため使ってはいけない言葉になります。また、忌み言葉は、「浮かばれない」や「大変」、「死」などといった、不吉なことを連想させる言葉のことをいいます。不幸や不吉なイメージのある言葉は使ってはいけないため注意してください。
「ご愁傷様です」はご遺族の気持ちに寄り添って言いましょう
この記事のまとめ
- 「ご愁傷様です」は、弔事の場面における正しいお悔やみの言葉
- 葬儀の場以外で使うときは、皮肉を込めて言う場合もある
- 「ご愁傷様です」は口語なため、メールや手紙など文章で使ってはいけない
- 「ご愁傷様です」は、丁寧に言い換えるなど相手によって伝え方を変えるとよい
- 「お悔み申し上げます」「誠に残念でなりません」など言い換えもある
- 「重ね言葉・忌み言葉」など、弔事で使ってはいけない言葉にも注意する
「ご愁傷様です」は、弔事で使うことのできるお悔やみの言葉ですが、時に悪い印象を与える言葉になってしまうこともあります。お悔やみを伝える際は重ね言葉や忌み言葉など、使ってはいけない言葉にも注意しながら、ご遺族に寄り添った言葉をかけてあげましょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
