新盆(初盆)とはいつ?必要な準備やマナー、普通のお盆との違いを解説

「新盆」という言葉を聞いたことはあっても、どのようなものか・いつ行われるのか分からない方もいるのではないでしょうか。本記事では、新盆とはいつなのか、どのような準備が必要なのかを紹介します。マナーや注意点とあわせて参考にしてください。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
新盆はいつ?

新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)とは、初盆(はつぼん)とも呼ばれ、故人が亡くなってから四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。忌明け前にお盆を迎える場合は、翌年のお盆が新盆となります。新盆は故人の魂が初めてあの世から自宅へ帰ってくる機会であるため、大切な節目と考えられています。
本来、お盆は7月15日(新暦盆)とされておりましたが、明治の改暦以降は月遅れの8月15日(旧暦盆)が主流となりました。8月のお盆は7月より1ヵ月遅れていることから「月遅れ盆」とも呼ばれます。
2025年(令和7年)は、一部の地域を除いて新暦盆が7月13日(日)~16日(水)、旧暦盆が8月13日(水)~16日(土)となっています。
新盆と通常のお盆の違い
新盆と通常のお盆の主な違いは、供養の規模です。新盆は故人が初めて自宅に帰ってくる大切な時期とされているため、通常のお盆よりも大きな規模で故人をお迎えします。詳細は後述しますが盆飾りの種類も異なり、新盆では「白紋天(しろもんてん)」という白い提灯を飾ります。また、新盆には家族や親族、故人の友人を招いて「新盆法要」を執り行う地域も多いです。
新盆を迎えるにあたって必要な準備

新盆は故人にとっても家族にとっても大切な節目であり、さまざまな準備が必要です。新盆を迎えるにあたり、どのような準備が必要なのでしょうか。
新盆飾りの準備
新盆を迎えるにあたり、新盆飾りの準備を進めましょう。新盆では通常のお盆で使用する飾りのほか、「白紋天」と呼ばれる白提灯が使われます。
白紋天には「亡くなってから初めて自宅に帰ってくる故人の魂が迷わないようにするための目印」という意味があり、玄関前や軒先、部屋の窓際などに飾ります。自宅の事情や玄関のサイズに合わせて、白紋天を準備しておきましょう。白紋天だけでなく、通常のお盆と同じく盆棚や精霊馬(しょうりょううま)といった飾りも準備してください。

お供え物の準備
お供え物の準備も、新盆を迎えるにあたって必要です。以下では、新盆で一般的に準備されるお供え物を紹介します。
日持ちする食べ物
新盆のお供え物としておすすめなのが、日持ちする食べ物です。例えば、長期間お供えしていても傷みにくい乾物やお菓子などが適しています。生ものや冷蔵保存が必要な食べ物、殺生をイメージさせる肉や魚などは、お供え物には不向きなため注意が必要です。
花
新盆のお供え物として、花もおすすめです。生花がお供えされることが多いですが、花を長期保存できるように加工したプリザーブドフラワーでも問題ありません。色は白や紫、ピンク、黄色など淡い色でまとめましょう。
線香・ロウソク
線香やロウソクも、新盆供養のお供え物にふさわしい品物です。通常のお参りで使用しているものよりも、少し高価なものを準備するとよいでしょう。
新盆法要の手配
新盆には、故人と親しかった人や親族を招いて法要を行うことが多いです。新盆法要の手配は、以下のような手順で行われます。
①法要会場と日程を決める
まずは、法要の会場と日程を決めます。会場は自宅になることが多いです。菩提寺がある場合はお寺が会場となることもあるため、確認しておきましょう。
②僧侶や会食の手配
法要会場と日程が決まったら、すぐに僧侶の手配をしましょう。僧侶にとってお盆は繁忙期のため、早めに手配する必要があります。日程通りに手配できなかった場合は、新盆よりも前の日程でお願いしてください。
また、会食を行う場合は、料理の手配が必要です。
③参列者への連絡
法要会場と日程が決まったら、参列者への連絡を行います。往復はがきで案内状を送り、法要に参加するか否かの返事を受け取りましょう。参列者の人数によって準備するべき返礼品の数が変動するため、日程に余裕を持たせて連絡することをおすすめします。
④返礼品の準備
参列者の人数が決まったら、返礼品の準備を行います。直前で人数が増える可能性もあるため、参列者の人数よりも少し多めに返礼品を準備しておくと安心でしょう。遠方から法要に参列する方のことを考え、なるべくかさばらないものを選ぶようにします。例えばそうめんやお菓子といった食品、石鹸などの消え物が定番です。

「消えもの」や和風カタログギフトなど
⑤お布施の準備
新盆法要では、僧侶を招いて読経をしていただきます。この読経へのお礼としてのお布施を準備する必要があります。お布施は3万円〜5万円を目安に用意し、不祝儀袋に包みましょう。香典とは異なり、お布施は「僧侶への感謝」という意味があるため、旧札ではなく新札を使用するのが一般的です。表書きや中袋を書く際も、薄墨ではなく濃い墨の筆ペンもしくは毛筆を使ってください。
また、香典ではタブーとされる偶数や4や9などの金額でも問題ないとされています。新盆法要当日に慌てないよう、早めの準備を心がけましょう。
新盆の過ごし方

新盆は通常のお盆とどう違うのか、どのように過ごすものなのか分からない方も多いでしょう。ここからは、新盆の過ごし方について詳しく解説していきます。
13日(迎え盆)
8月13日は、「迎え盆」「お盆入り」と呼ばれ、故人を迎える日となります。白紋天や盆棚といった飾りは、迎え盆の前日までに準備しておきましょう。
お供え物
13日の迎え盆では、まずお供え物をお供えします。あらかじめ準備していた花や食べ物などのお供え物を、盆棚の中心にお供えします。御霊供膳(故人にお供えする小型の本膳)は家族が食事する前に盆棚にお供えし、食事が終わったら下げるのが一般的です。
お盆の期間中は、御霊供膳以外のお供え物はそのままお供えしておきましょう。線香やロウソクの火はお参り中のみつけるようにし、お参り後は必ず消してください。
お墓参り
13日は故人をお迎えするため、家族でお墓参りをします。「故人をお迎えするのはできるだけ早く」といわれているため、なるべく午前中の早い時間にお参りに行きましょう。お墓参りをした際は、墓のまわりの草むしりや墓石の掃除なども行います。
迎え火
迎え盆では、迎え火を焚く慣習があります。迎え火は、ご先祖や故人が帰ってくる際の目印になると考えられています。おがらと呼ばれる麻の茎を、ホーロクというお皿に乗せて火を焚きましょう。迎え火は13日の夕方以降に、お墓の前もしくは自宅の玄関前で焚くのが一般的です。火はおがらが燃え尽きてから、水をかけて消しましょう。
盆提灯と白紋天に灯りをつける
迎え火を焚くのと同時に、盆提灯と白紋天に灯りをつけます。この二つも故人が自宅に帰ってくる際の目印になるとされているため、忘れずに飾るようにしましょう。自宅の玄関前に飾るのが一般的ですが、スペースの都合で難しい場合は室内で灯りをつけても構わないとされています。

14日・15日(中日)
14日と15日は中日と呼ばれ、故人を偲んで過ごす期間です。
新盆法要
新盆の中日には、新盆法要を執り行うのが一般的です。お寺もしくは自宅にて、親族や故人の知り合いなどを招いて法要を行います。法要は僧侶による読経、焼香、お墓参り、会食という流れで進みます。
16日(送り盆)
お盆最終日となる16日は「送り盆」と呼ばれ、あの世へ帰る故人を見送る日です。最終日まで気を抜かず、きちんと故人を見送りましょう。
送り火
送り盆では、送り火を焚いて故人の魂をお見送りします。迎え火と同じく、夕方になって日が落ちた頃にお墓もしくは自宅の玄関先で送り火を焚きます。お墓で送り火を焚いた場合は、送り火の後にお墓参りをします。
お盆飾りの片付け
送り火の儀式が終わったら、お盆飾りの片付けを行います。祭壇や盆提灯、精霊馬、白紋天などをきれいに片付けたら、お盆は終了となります。16日の間に全てを片付けるのが難しい場合は、翌日以降でも構いません。
新盆を迎える上でのマナー

ここからは、新盆を迎える際のマナーについて解説していきます。お布施や服装、返礼品に関するマナーをまとめているため、目を通しておきましょう。
お布施に関するマナー
新盆法要では、読経に対する謝礼として僧侶にお布施を渡します。お布施は不祝儀袋に包み、袱紗に包んで法要会場に持参しましょう。お布施の金額は3万円〜5万円が相場とされていますが、宗派や寺院によって金額が異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
服装に関するマナー
新盆法要に参列する場合、礼服を着用するのが一般的です。男性はブラックスーツに黒無地のネクタイ、白のワイシャツを着用します。ベルトや靴、靴下も黒で統一しましょう。
女性は黒のスーツやワンピース、アンサンブルなどを選び、バッグやパンプスも黒で合わせます。アクセサリーは結婚指輪もしくはパールのネックレス程度にとどめ、それ以外のアクセサリーは控えます。メイクやネイル、ヘアスタイルも落ち着いたものにしましょう。
新盆法要の施主の場合、参列者よりも格式の高い服を着用するのが一般的です。葬儀のような和装やモーニングコートなどの正喪服である必要はありませんが、準喪服を着用するようにしましょう。
返礼品に関するマナー
参列者への返礼品を一律で用意する場合は、2千円〜5千円の金額で準備するのが一般的です。参列者との関係によって返礼品の内容や金額を変えても問題ありません。返礼品には「志」や「新盆志」「粗供養」と印刷されたかけ紙をかけましょう。水引は白と黒の結び切りを選ぶことが多いですが、地域によっては黄白のものを使用することもあります。表書きの下には、施主のフルネームもしくは「〇〇家」と記載してください。
新盆を家族のみで過ごす場合の注意点

新盆には親族や故人の友人も招いて法要を行うことが多いですが、家族のみで過ごす場合もあります。家族のみで新盆を迎える場合、いくつかの点に注意する必要があります。新盆を家族で過ごそうと考えている方は、こちらで紹介する注意点を参考にしてみてください。
新盆を家族のみで行うことを知らせておく
新盆を家族のみで過ごす場合は、葬儀に参列していただいた方にその旨を伝える必要があります。前もって「新盆法要は行わず、新盆は家族のみで過ごす」と知らせておきましょう。法要への参列や新盆見舞いの用意は不要であること、家族だけで静かに新盆を迎えたいことなどを伝えておくと、丁寧な印象を与えられます。後にトラブルにならないよう、できるだけ早く連絡しましょう。
お礼を準備しておく
家族のみで新盆を過ごすと決めた場合でも、故人の知り合いや親族がお参りに来られることがあります。念のため、お参りのお礼を準備しておくと安心です。金額は2千円〜5千円を目安にして、食品や日用品などのセットを選ぶのがおすすめです。
新盆の過ごし方やマナーを知り、故人をお迎えしましょう

この記事のまとめ
- 新盆は、忌明け後に初めて迎えるお盆のこと
- 新盆と通常のお盆は、供養の規模や盆飾りの種類などが異なる
- 新盆を迎えるにあたり、法要の手配や新盆飾り、お供え物などの準備が必要
- 新盆は13日の迎え盆、14・15日の中日、16日の送り盆に分けられ、それぞれ過ごし方が異なる
- 新盆法要を行う場合、僧侶へのお布施や参列者への返礼品を準備する
新盆とは、四十九日を終えた忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。初めて故人が帰ってくる期間であるため、通常のお盆とは規模や準備する飾りなどが違います。本記事で紹介した新盆の過ごし方や用意するべきもの、注意点などを参考にして、故人を迎える準備をしましょう。