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葬儀のあと

四十九日まで飾る後飾り祭壇とは?飾り方やお供えの置き方などを紹介

四十九日まで飾る後飾り祭壇とは?飾り方やお供えの置き方などを紹介

故人の葬儀を終えた後は、四十九日までの間「後飾り祭壇」を飾るのが一般的です。しかし、飾る意味や正しい飾り方などを知らない方も多いでしょう。本記事では、四十九日まで飾る後飾り祭壇について、飾る意味や正しい飾り方などを解説します。

監修者 SUPERVISOR
1級葬祭ディレクター 志岐 崇

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。

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四十九日まで飾る「後飾り祭壇」とは?

四十九日 祭壇 仏壇

四十九日まで飾る「後飾り祭壇」とは、火葬した後の遺骨を自宅で安置する際に使用する祭壇のことです。地域によっては「仮祭壇」や「中陰壇(ちゅういんだん)」とも呼ばれており、追善供養のためだけでなく故人を偲ぶ際のよすがとして、葬儀や法要に参列できなかった人が弔問時に手を合わせるために飾られます。

後飾り祭壇を飾る期間は宗派によって異なります。仏教の場合は葬儀や火葬を終えた後から、忌明けにあたる四十九日までの期間に自宅で飾られることが一般的です。四十九日後であっても納骨が終わるまで自宅で飾られる場合もあります。

なお、後飾り祭壇は自分で用意して自宅に飾れますが、葬儀や火葬を任せる葬儀社のプランに組み込まれていることが多いです。

四十九日まで飾る後飾り祭壇の飾り方

四十九日まで飾る後飾り祭壇は、丁寧に故人を供養するためにも正しい飾り方を踏まえることが大切です。ここからは、四十九日まで飾る後飾り祭壇の正しい飾り方を解説します。

仏式では祭壇の段数や宗派によって飾り方が異なる

仏式において四十九日まで飾る後飾り祭壇は、お供え物や仏具を置いて飾るのが一般的です。一方で、二段型や三段型などの段数や宗派によって少しずつ飾り方が異なります。仏具やお供え物を置く順番も細かく違うため、故人や家の宗派に合わせて飾るようにしましょう。

後飾り祭壇は白木で作られることも多いですが、白木以外の木材で作られたものや段ボール製のものが使われる場合もあります。その場合は、祭壇の上から白い布で覆ってから飾るのが一般的です。

三段型祭壇の飾り方

三段型祭壇の場合、一番上の段に遺骨と遺影を配置し、二段目に位牌、下段に花立や線香、お供え物などを配置するのが一般的です。

三段型祭壇は、四十九日まで飾る後飾り祭壇の中でも設置スペースが広いため、仏具を置く場所にゆとりを持たせたいときや、たくさんのお供え物をおきたいときなどに用いられる場合があります。

【仏式】四十九日まで飾る三段型祭壇の飾り方

  • 最上段…遺影、遺骨(骨壷)
  • 中段…白木位牌
  • 下段…香炉、花立、線香立て、仏飯器や湯飲み、おりん、お供え物 など

二段型祭壇の飾り方

二段型祭壇の場合、三段型祭壇に比べて設置スペースが限られることから、遺骨や遺影を上段にまとめて配置します。下段には香炉や花立などの仏具を置きます。お供え物の置き方については、別途用意した小机に置くのが一般的です。

【仏式】四十九日まで飾る二段型祭壇の飾り方

  • 上段…遺影、白木位牌、遺骨(骨壷)
  • 下段…香炉、花立、線香立て、仏飯器、おりん など

一段型祭壇(浄土真宗)の飾り方

浄土真宗の場合、四十九日まで一段型祭壇に遺骨などを飾ることが一般的です。遺骨を入れた骨壷と遺影を配置します。なお「魂は死後すぐに阿弥陀如来によって極楽浄土へ導かれる(=往生即成仏)」という浄土真宗の考え方に基づき、後飾り祭壇にお供え物は置きません。

同様の考え方により浄土真宗では位牌を作成しない傾向にありますが、真宗高田派をはじめとした一部宗派では位牌を安置してよい場合もあります。位牌を飾る場合の置き方は、遺骨と遺影の間に設置するのが一般的です。

神道の後飾り祭壇は霊璽・榊などを一緒に飾る

神道における後飾り祭壇は「仮霊舎(かりみたまや)」と呼ばれており、仏式と異なり霊璽(れいじ)や榊(さかき)などを一緒に飾るのが一般的です。霊璽や榊とは、故人の魂が宿る依り代であり、仏式における位牌にあたります。

下段には平次(へいし)や水玉など、水やお酒をお供えするための神具に加え、お供え物にあたる神饌(しんせん)や儀式の際に使う玉串を配置する場合もあります。

なお、祭壇には八足台という専用の台を置くのが正式な使い方ですが、仏式と同じ祭壇を使うことも可能です。また、神道では後飾り祭壇を飾る期間も異なっており、仏教における四十九日にあたる「五十日祭」まで飾られることが一般的です。

【神道】五十日祭まで飾る後飾り祭壇の飾り方

  • 上段…遺影、遺骨(骨壷)
  • 中段…霊璽、榊
  • 下段…平次(お神酒をお供えする神具)、水玉(水をお供えする土器)、火立 など

四十九日まで飾る後飾り祭壇にお供えするもの

四十九日 祭壇 線香

四十九日まで飾る後飾り祭壇には、仏具や遺骨と一緒にお供え物を置くことが一般的ですが、具体的に何をお供えしたらよいのか分からない人もいるでしょう。ここからは、四十九日まで飾る後飾り祭壇にお供えするものについて、具体的に紹介します。

五供

四十九日まで飾る後飾り祭壇におけるお供え物とは、一般的に「五供(ごく)」のことです。五供とは、香・花・灯燭・浄水・飲食の五つを指し、故人の供養のために毎日お供えします。五つの要素はそれぞれ違う意味を持っており、宗派によってお供えの仕方が異なるものもあるため確認しておきましょう。

線香

五供における「香」は線香のことであり、四十九日まで飾る後飾り祭壇には香炉を使ってお供えするのが一般的です。仏教において線香は故人と心を通わせるためのものであるため、日常的に拝むときや法要の際などにお供えします。

線香をお供えする際には、火を手で仰いで消すのが一般的です。人の息には汚れがあると考えられているため、口から直接息を吹きかけて火を消すのは避けるべきとされています。

四十九日法要などでお供えする線香の本数は、曹洞宗や臨済宗であれば一本、真言宗や天台宗の場合は三本といったように宗派で異なるため、事前に確認しておきましょう。

五供における「花」は、故人への尊敬や感謝の気持ちを表すためにお供えされます。お供えする際には花立を使用することが一般的です。なお、仏教において四十九日まで飾る後飾りに置く花は菊が一般的ですが、白いユリやカーネーションなどの花をお供えする場合もあります。

また、トゲや毒性のある花をはじめ、花の中にはお供えにふさわしくないとされるものもあるため、お供え用の花を選ぶ際には各宗派の考え方なども踏まえて選ぶことが大切です。

▶︎詳しい仏花の選び方はこちら

灯燭(とうしょく)

五供における「灯燭」はロウソクのことです。四十九日法要まで飾る後飾り祭壇の灯りとしての役割だけでなく、仏様の智慧と慈悲を象徴したり、人々の煩悩という闇に光を当てたりする意味もあります。線香と同様に、日常的に拝むときや法要を執り行うときなどにロウソクに火を灯します。

ロウソクの火の消し方も線香と同じく、口で直接吹き消すのは避けるべきとされており、手で仰ぐか、専用の火消しを使用するようにしましょう。

浄水

五供における「浄水」は、水やお茶のことを指しています。故人の喉を潤すためだけでなく、清らかな水を通して「仏様のように心が浄化されますように」という願いを込めてお供えされます。

本来は水入れや湯飲みなどに自然水を入れてお供えされていましたが、現代では水道水、お茶は一番茶を入れてお供えされることが一般的です。日常的に拝む際や法要の際だけでなく、一日一回中身を交換する必要があります。

なお、浄土真宗では、極楽浄土に「八功徳水(はっとくどくすい)」という功徳を備えた水があふれていると考えられているため、現実世界の水やお茶をお供えする必要はありません。

飲食(おんじき)

五供における「飲食(おんじき)」は、自分たちが普段から食べている主食と同じもので問題ありません。普段食べているものをお供えすることで、ご先祖や仏様とのつながりを感じ、感謝の気持ちを伝えるといった意味があります。毎日、炊きたてのご飯を自分が食べる前にお供えするのが一般的です。

ご飯だけでなく、故人が生前好きだった食べ物なども一緒にお供えするのもよいでしょう。四十九日法要やお彼岸などの特別な日には、専用の精進料理をお供えすることもあります。

華瓶・樒(浄土真宗のみ)

浄土真宗では、四十九日まで飾る後飾り祭壇には五供の代わりに、華瓶(けびょう)や樒(しきみ)を飾ります。樒には邪気を払ったり死者を悪霊から守ったりする力があるとされており、浄土真宗では四十九日まで飾る後飾り祭壇はもちろん、仏壇やお墓にも日常的にお供えされています。

華瓶に少量の水を入れてから、樒をさしてお供えするのが一般的です。この置き方は、浄土真宗において極楽浄土に流れるとされる「八功徳水」を表現しているとされています。

後飾り祭壇におけるお供えの置き方

四十九日 祭壇 供物

四十九日まで飾る後飾り祭壇にお供え物を供える際には、状況に合わせた置き方を踏まえておくことも大切です。ここからは、四十九日まで飾る後飾り祭壇におけるお供えの置き方を紹介します。

祭壇の下段または小机に置くのが一般的

四十九日まで飾る後飾り祭壇にお供え物を置くときには、できるだけ祭壇の下段または別途用意されている小机に置くようにしましょう。上段側は遺影や遺骨などを置くスペースであるため、一緒に置くのは避けるのが一般的です。

できるだけ祭壇に置くのがよいとされていますが、お供え物が多いと四十九日法要などで線香をあげる妨げになります。祭壇のスペースが少ない場合は一部だけを置き、残りは別の部屋で管理しても問題ありません。

床や畳へ下ろす場合はお盆・半紙を敷く

祭壇のスペースの都合により、やむを得ずお供え物を床や畳へ下ろす際にはお盆や半紙を敷いた上に置くのが望ましいとされています。直置きしてしまうと床や畳が汚れたり匂いが移ったりするため、避けましょう。

お供えを持参した場合は喪主・ご遺族にお供えしてもらう

四十九日法要や弔問の際にお供え物を持参する場合は、喪主やご遺族に渡して代わりにお供えしてもらいましょう。持参したお供え物を勝手に祭壇へお供えすることは、ご遺族や故人に失礼とされています。どうしても自分でお供えしたい場合は喪主やご遺族に一声かけ、お供えしてよい場所などの指示を仰ぎましょう。

四十九日まで飾る後飾り祭壇に関する注意点

四十九日 祭壇 線香

四十九日まで飾る後飾り祭壇は、お供え物だけでなく祭壇自体の飾り方にも注意が必要です。ここからは、四十九日後飾り祭壇に関するさまざまな注意点を紹介します。

後飾り祭壇の置き方は仏壇の傍に置くのが一般的

後飾り祭壇を置く場所は、仏壇の前や周辺に置くのが一般的です。自宅に仏壇がない場合は部屋の北側または西側に設置することが望ましいですが、設置できない場合は方角を気にせず、お参りしやすい場所を選びましょう。

しかし、直射日光や水回りなどの場所は遺骨やお供え物の状態が悪くなりやすいため、避けるべきとされています。

飾る際には「必ず祭壇の上に置くべきもの」に注意する

祭壇のスペースによっては、飾る際に仏具やお供え物の一部を畳や床の上に置かざるを得ない場合もあります。しかし、必ず祭壇の上に置くべきものがある点には注意しましょう。

床や畳に置いてはいけないものの例としては、遺骨や位牌、遺影が挙げられます。また、香炉やロウソク立てなど、倒れると火事などのトラブルにつながる可能性があるものも同様です。

お供え物は長く日持ちするものを選ぶ

四十九日法要や弔問などでお供え物を置く場合は、できるだけ長く日持ちするものを選ぶことが大切です。特に生ものや冷蔵庫での保管が必要な食べ物などは、お供えしている間に腐ったり溶けたりする可能性があります。故人の好みも考慮しながら、長く楽しめるものを選んでみましょう。

▶︎詳しいお供えの選び方はこちら

四十九日までの間は、正しい置き方で後飾り祭壇を飾りましょう

四十九日 祭壇 合掌

この記事のまとめ

  • 後飾り祭壇とは、火葬後から四十九日までの間、遺骨を安置する祭壇のこと
  • 後飾り祭壇の飾り方は、宗派や祭壇の段数によって異なる
  • 仏教の場合、上段には遺骨や遺影、位牌、下段にはお供え物や仏具を飾る
  • 神道の場合、霊璽や榊などを飾るのが一般的である
  • 浄土真宗の場合、お供え物の代わりに華瓶・樒を飾る
  • お供え物には、香・花・灯燭・浄水・飲食の「五供」が一般的である

後飾り祭壇は四十九日までの間、故人の遺骨を置く場所であるため、故人に失礼がないように正しい飾り方をすることが大切です。本記事で紹介した飾り方やお供えできるものなども参考にしながら、後飾り祭壇を飾りましょう。

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