要介護2でも一人暮らしできる?使える介護保険サービスやケアプランを紹介
身体機能や認知機能が低下して日常生活での援助が必要になる要介護2の状態でも、一人暮らしを続けられるのか不安な方もいるでしょう。適切な介護保険サービスを利用すれば、要介護2の状態でも一人暮らしを続けることは可能です。本記事では、要介護2でも安心して一人暮らしできるための介護保険サービスや、ケアプランの内容などを詳しく解説します。
介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。
要介護2とは
要介護2とは、身体機能や認知機能の低下があるため、日常生活において身の回りのことに介助が必要な状態を指します。要介護2の具体的な身体状況は、以下のとおりです。
要介護2の身体状況
- 立ち上がりや歩行に見守りや介助が必要
- 食事は一部介助が必要
- 衣類の着脱に一部介助が必要
- 入浴は介助が必要
- 排せつは見守りや一部介助が必要
- 家事は一部介助が必要
- 認知機能の低下が見られる場合がある
要介護2では、ひとりでできることが少なくなってくるため、介助が必要なことが多くなってきます。
要介護2でも一人暮らしは可能か?
要介護2の状態でも、適切な介護保険サービスの利用をすることで一人暮らしは可能です。介護保険サービスを利用すると訪問介護やデイサービスなどの支援が受けられるため、安心して日々の生活を送れます。
必要に応じてケアマネージャーが作成するケアプランを見直し、利用するサービスの種類や量を調整しましょう。要介護2の方が一人暮らしを安心して続けるためには、介護保険を適切に活用するだけでなく、地域のサポートも大切です。
民生委員や近所の方に、一人暮らしをしていることや身体状況を伝えておくとよいでしょう。
要介護2の一人暮らしの方が利用できる介護保険サービス
要介護2の状態で一人暮らしを続けるためには、介護保険サービスを上手に活用することが重要です。以下に、具体的な介護保険サービスを詳しく解説します。
訪問介護
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)が定期的に利用者の自宅を訪問し、日常における生活支援をするサービスです。身体的な機能が低下しているため、訪問介護は要介護2の一人暮らしの方にとって特に重要です。訪問介護により、日常の動作を安全かつ適切にサポートしてくれます。
訪問介護の具体的なサービス内容には、以下のようなものがあります。
訪問介護のサービス内容
- 身体介助:入浴介助や排せつ介助、衣服着脱、食事介助、移動介助など、日常的な身の回りの援助
- 生活支援: 調理や掃除、洗濯、買い物の代行など、日常生活における負担を軽減するための援助
訪問介護を利用すると、要介護2の一人暮らしの方が身の回り援助を受けながら自宅で自立した生活が送れます。
デイサービス(通所介護)
デイサービスは、要介護者が日中に施設に通い、食事や入浴、通所者グループでのレクリエーションなど日常生活上の支援を受けられるサービスです。要介護2の一人暮らしの方にとって、デイサービスは社会的なつながりを保つための重要な手段です。
デイサービスの具体的なサービス内容には、以下のようなものがあります。
デイサービスのサービス内容
- 食事の提供:利用者にバランスの取れた食事を提供する
- 入浴のサポート:入浴介助をおこない、清潔を保つ
- レクリエーション: ゲームや手芸、音楽活動など、利用者の楽しみやリフレッシュのための活動を提供する
- 健康チェック:看護師やスタッフが、利用者の健康状態を定期的に確認する
- 送迎サービス:自宅からデイサービス施設までの送迎をおこなう
デイサービスを定期的に利用すると、要介護2の一人暮らしの方がより充実した日常生活を送れます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が利用者の自宅を訪問し、リハビリをするサービスです。要介護2の一人暮らしの方にとって、身体機能の維持や向上を図るためには訪問リハビリテーションは有効です。
訪問リハビリテーションの具体的なサービス内容には、以下のようなものがあります。
訪問リハビリテーションのサービス内容
- 身体機能の維持・向上:筋力や柔軟性、バランス感覚を高めるためのリハビリを提供する
- 日常生活動作の訓練:立ち上がりや歩行、入浴、食事など、日常生活に必要な動作を訓練する
- 家屋環境の評価・改善提案:利用者の自宅環境を評価し、リハビリに適した環境作りや改善提案をおこなう
- 自主トレーニングの指導:自宅で継続できる自主トレーニングの方法を指導し、自立した生活支援をする
- 家族への介護指導:家族に対して、負担の少ない介護方法やリハビリのサポート方法をアドバイスする
- 健康状態のモニタリング:利用者の健康状態を定期的に確認し、必要に応じて医療機関との連携を図る
訪問リハビリテーションを利用すると、要介護2の一人暮らしの方が自宅での生活を続けながら、必要なリハビリを受けられます。
ショートステイ
ショートステイは、数日から1週間程度の短期間、介護施設に宿泊して必要なケアを受けられるサービスです。要介護2の方が一人暮らしをしている場合でも、自宅での生活が一時的に困難な状況に対応するために利用されます。
ショートステイの具体的なサービス内容には、以下のようなものがあります。
ショートステイのサービス内容
- 宿泊施設の提供:一定期間、介護施設での宿泊を提供する
- 食事の提供:バランスの取れた食事を提供し、利用者の栄養管理をおこなう
- 入浴のサポート:入浴介助を提供し、清潔を保つ
- リハビリテーション:必要に応じて、リハビリ専門職によるリハビリテーションを提供する
- 健康管理:看護師や介護スタッフが、利用者の健康状態をチェックし、適切なケアをおこなう
- レクリエーション活動:利用者が楽しめるレクリエーションや社会交流の場を提供する
- 緊急時の対応:緊急時には、医療機関への連携や必要な対応を迅速におこなう
ショートステイを利用すると、要介護2の方が一時的に自宅での一人暮らしが難しい時に、身の回りのサポートを受けられます。
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが、通院が難しい利用者の自宅を定期的に訪問し、利用者の健康状態をチェックして必要な医療をおこなうサービスです。要介護2の一人暮らしの方が自宅でも安心して生活を続けるためには、医療的なサポートが欠かせません。
居宅療養管理指導の具体的なサービス内容は、以下の通りです。
居宅療養管理指導のサービス内容
- 健康状態のチェック:医師や看護師が、利用者の健康状態を定期的に確認し、必要な医療ケアを提供する
- 医療的指導:利用者や家族に対して、薬の管理や栄養指導、日常生活での注意点など、医療的なアドバイスをおこなう
- 医療機関との連携:必要に応じて、総合病院への受診を手配するなど、医療機関との連携を図る
居宅療養管理指導を利用すると、要介護2の一人暮らしの方が医療的なサポートを受けながら、安全に自宅での生活を続けられます。
住宅改修
住宅改修は、要介護者が自宅で安全に生活を続けるために、住宅の一部を改修する際の費用を助成する制度です。要介護2の一人暮らしの方にとって、自宅内での安全性を高めて身体への負担を軽減するには、住宅改修は非常に有効なサービスといえます。
住宅改修の具体的な例は以下の通りです。
住宅改修の施工例
- 手すりの設置:廊下や階段、浴室、トイレなどに手すりを設置することで、移動や立ち座りがより安全にできるようにする
- 段差の解消:室内や玄関の段差をスロープに変更し移動しやすくする
- 引き戸への変更:ドアを開き戸から引き戸に変更し、車椅子や歩行器でも通りやすくする
- トイレの洋式化:和式トイレを洋式トイレに変更し、立ち座りの動作が楽になるようにする
- 浴室のバリアフリー化:浴槽への出入りを楽にするための改修や、シャワーチェアを設置できるスペースの確保をおこなう
- 床材の変更:廊下やリビングの床を、滑りにくい素材に変更し、安全性を高める
住宅改修をおこなうと、要介護2の一人暮らしの方が自宅での生活を安全かつ快適に送れます。
福祉用具貸与
福祉用具貸与は、自宅での生活を支えるために必要な福祉用具を貸与するサービスです。要介護2の一人暮らしの方が適切な福祉用具を利用すると、日常生活の負担を大幅に軽減でき自立した生活が送れます。
要介護2の一人暮らしの方が利用すると想定される、福祉用具貸与は以下の通りです。
福祉用具貸与の種類
- 歩行器:移動が難しい場合、歩行器を利用すると安全に自宅内を移動できるようになる
- 車椅子:長距離の移動や外出が困難な場合、車椅子を利用すると移動が楽になる
- 介護用ベッド:布団からの寝起きが困難な場合、介護用ベッドを利用すると動作が楽になる
- 手すり:立ち上がりや移動が安全にできるようになる
適切な福祉用具貸与を活用すると、要介護2の一人暮らしの方が自宅での生活を負担が少なく安全に送れるようになります。
要介護2の一人暮らしの方に適したケアプランの例
要介護2の方が一人暮らしを続けるには、適切なケアプランの作成が重要です。ケアプランには利用者一人ひとりの状況に応じて、介護保険サービスがバランスよく組み込まれます。
ここでは、要介護2の一人暮らしの方のケアプランの一例を紹介します。
外出サービスを多く利用したい場合
- デイサービス:週4回
- 福祉用具貸与(介護用ベッド、歩行器)
リハビリをおこないたい場合
- 訪問リハビリ:週2回
- 訪問介護:週2回
- 福祉用具貸与(介護用ベッド、手すり)
ショートステイを定期的に利用したい場合
- ショートステイ:月5日
- デイサービス:週3回
- 福祉用具貸与(介護用ベッド、歩行器)
身体状況や生活環境によって、さまざまなパターンが考えられます。身の回りの生活支援や身体介助など、要支援2の一人暮らしの方が安心して生活できるケアプランの作成が必要です。
要介護2で一人暮らしが難しいと判断するタイミング
要介護2での一人暮らしの継続が難しくなるタイミングがあります。以下のような状況になった場合は、難しいと判断してもよいでしょう。
けがや体調が悪化してきたとき
要介護2の方が一人暮らしを続ける上で、身体の状態が悪化した場合には注意が必要です。けがをしたり体調が急激に悪化したりしたときには、これまでのケアプランだけでは対応しきれない場合があります。一人暮らしの状況の変化に備えて、早めに病院や施設でのケアを検討しておくと安心です。
精神的に不安定になってきたとき
要介護2の方が一人暮らしを続ける中で、精神的に不安定になる場合もあります。孤独感や不安感が増すと、日常生活に支障をきたす可能性があります。要介護2の一人暮らしの方の場合、デイサービスや訪問リハビリテーションの利用を増やすなど、社会的なつながりを保つための援助が必要です。
一人暮らしで精神的な状態が悪化した場合には、病院でのサポートを受けることも検討しましょう。
要介護2で一人暮らしをするには介護保険サービスを利用しましょう
この記事のまとめ
- 要介護2とは、一部介助が必要な身体状況である
- 要介護2でも、適切な支援を受ければ一人暮らしができる
- 要介護2の一人暮らしの方は、介護保険サービスを受けることが必要である
- 要介護2の一人暮らしの方には、社会とのつながりが重要である
- 体調の悪化や精神的不安定の場合、病院や施設でのケアを検討する
要介護2の方が一人暮らしを続けるためには、介護保険サービスの利用が不可欠です。訪問介護やデイサービス、訪問リハビリテーションなど多様なサービスを組み合わせると、生活の質を保ちながら安心して暮らせます。
ケアプランを定期的に見直して状況に応じた援助を受けると、要介護2でも一人暮らしをしながら自立した生活を続けられるでしょう。