閉じる メニュー
特集

【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選05】ニューヨーク眺めのいい部屋売ります〜家とともに築く人生〜

【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選05】ニューヨーク眺めのいい部屋売ります〜家とともに築く人生〜

ひとたびの「シニアが活躍する映画10選」では、シニア世代が主役として活躍する映画を紹介します。今回は、40年間住み続けたマンハッタンの部屋を売り出すことになった老夫婦のお話です。部屋の売却を決めてから数日の間に起こる微笑ましい出来事や新たな気づき、2人のターニングポイントを、住み続けた部屋とともに振り返る映画です。全編92分と短いながらも、テンポのよい会話劇が心地よく感じられる良作です。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
東京博善のお葬式 0120-506-044 24時間365日・通話無料 お気軽にお問い合わせください 事前相談・お急ぎの方もこちらから!

第5回は「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」です。

こちらは2016年に公開された作品で、主演はハリウッドを代表する名優2人です。アレックスを演じたのは「ショーシャンクの空に」「セブン」に出演しているモーガン・フリーマン。ルースは「ゴッドファーザー」シリーズ、「アニー・ホール」で有名なダイアン・キートンが演じています。

監督は、ハリソン・フォード主演の「ファイヤウォール」やテニス映画の金字塔「ウィンブルドン」を手掛けたリチャード・ロンクレイン。一度見ると爽やかな気持ちになれる、特別な作品です。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

画家のアレックスと元教師のルースのカーヴァー夫妻は、ニューヨーク・ブルックリンのアパートの5階に住んでいます。40年住み続けた家は眺めがとてもよく、家庭菜園ができたりアトリエがあったりと、2人はとても気に入っていました。

ただ、アパートにはエレベーターがついていないため階段を登り降りしなければならず、老体には堪えるとルースは考えていました。そこで、姪っ子であり不動産エージェントのリリーに部屋の売却を相談し、新居に引っ越す計画を立てました。

カーヴァー夫妻は家の内覧会を開くことになりましたが、愛犬のドロシーが病気で入院し、近所の橋ではテロ騒動が起きてしまいます。部屋の価値が下がるのではないかという不安をよそに、無事内覧会は開催され、多くの人が訪れてくれました。

ただ、どの人も部屋に文句を言うばかりで、住み続けた家に愛着を持っているアレックスは不快に感じていました。それでも、早く売りたいルースとリリーは話を先へ進めようとします。

そのとき、アレックスはルースと出会った頃を思い出しました。画家の卵だったアレックスのもとに、ヌードモデルとして現れたのがルースでした。まだその頃は白人と黒人の結婚が禁止されている州も多く、周りの目からどう見られるか分からない時代。それでもルースはアレックスを選んでくれて、そして、新居として選んだのが今住んでいるアパートだったのです。

テロ騒動の影響でアパートの相場価格が下がり焦るリリーでしたが、希望額とまではいかずも入札者がいました。ひとまず不安はなくなり、次に新居購入のために2人は内覧会へ向かいました。そこを気に入り、見事入札額で最高値をつけることができました。しかし、希望額とかけ離れていることに不満を持った売主は、売らないと言い出します。負けじとリリーは法律違反だと罵り続け、売主は価格に渋々納得しました。

その時、テロの容疑がかかっていた若者が確保される瞬間がテレビに写りました。何か思い悩んだ後に、アレックスは「家を買わない!」と言いながらその部屋を出てしまいました。部屋を出ると、アレックスはルースに「引っ越す理由はなんだ?何を求めてるんだ?」と問いかけます。ルースは「あなたといたい。場所がどこだろうと、2人で」と答えました。

その後を慌てて着いてきたリリー。2人を説得しますが、2人の想いは固く、家を売ることも引っ越すこともやめました。

結局2人は元通りの生活に戻りました。愛犬のドロシーも無事退院して、一緒に暮らせるようになりました。アトリエで会話してるとアレックスが隠れて描いていたルースの絵が出てきて、ルースはその絵に満足します。

アレックスは今回のちょっとした騒動で夫婦らしさと家を取り戻せたと語り、眺めのいい部屋からニューヨークを見渡すのでした。

みどころ

家とは人生そのもの

この映画は、家の売買にかかった数日間の出来事を描いた作品です。映画的な盛り上がりもこれといった見せ場もなく、淡々と老夫婦2人の日常が描かれていきますが、映画を見終わった後に「これこそが人生なのだ」と気付かせてくれます。

多くの映画は劇的な場面で観客を魅了し、ド派手な爆発シーンやカーチェイス、奇妙な出来事といった見せ場が存在します。しかし、本作にはそういった見せ場は全くありません。ただ、老夫婦が家の売買を通じて同じ方向を向くまでの話です。

だからこそ、多くの人はこの映画に共感できます。家の売買、家の内見、ペットの病気といった誰にでも起こりうる身近な出来事しか扱っていません。売ると決めたことで40年住んでいた家の思い出が溢れかえり、若かりし頃の2人を思い出したりもします。家を決めた時のルースの無邪気さや、結婚を決めた時のルースの覚悟など、アレックスにとっては家と共に作り上げた思い出でした。そして、その家があったからこそ40年仲睦まじく過ごせて、今も穏やかに過ごせているのです。

住む家について普段あまり考えることはないかもしれませんが、この映画をきっかけにして少し考えるのもよいかもしれません。家に住んだ歴史と一緒に、思い出が誰にでもあるはずです。何か悲しいことが起きたら、家の思い出を振り返るのもよいでしょう。劇中何度か昔を思い出して微笑んだアレックスのように、少しは気が晴れるかもしれません。

何か決断が必要となった際、夫婦として同じ方向を向くきっかけが家でした。観客も感じられる身近さこそが、この映画最大の魅力です。

ニューヨークの裏側を覗ける

2人が住む家はタイトルにある通り、とても眺めのいい部屋です。また、近くの雑貨屋や公園、犬の散歩コースと、写される映像はアレックスの行動範囲内だけですが、ニューヨークの裏側を垣間見ることができます。

ニューヨークといえばとても先進的な大都会で、人がごった返しているイメージがあるかもしれません。しかし、この映画では、ニューヨークだけどニューヨークとは思えない場所でのんびりゆっくりした時間を過ごしている方々にスポットを当てています。

そして自分がニューヨークに行ったような気分にさせてくれるのも、この映画の魅力です。

主演2人のリアリティ溢れる演技

本映画はスケールの小さな日常を描いた作品ですが、カーヴァー夫妻を演じた名優2人の演技のおかげでスクリーンに引き込まれます。

初共演というのが嘘のように息のあった演技で、本物の夫婦のように感じる瞬間が何度もあります。また、二人の会話、視線、動作で40年共に暮らしてきた歴史を感じられるでしょう。

2人が醸し出す空気感がとても心地がよく、この老夫婦がとてつもなく愛おしく感じられます。こんな夫婦関係を築けたらよいなと、誰もがきっと魅了されるでしょう。

まとめ

本作は誰にでも起こる平凡な人生の数日を切り取ったような映画で、我々にも起こりうることが映像化されています。ただの日常も、その人の人生ではその人自身が主人公なのです。

「自分が人生の主役なんだ」と前向きに捉えてみると、明日がちょっぴり素敵になるかもしれません。

誰と見ても素敵な空間にしてくれる映画です。休日の午後、ゆっくりと時間が流れるときの鑑賞をおすすめします。

公開年

2016年

監督

リチャード・ロン・クレイン

キャスト

モーガン・フリーマン
ダイアン・キートン
シンシア・ニクソン
キャリー・プレストン

SHARE この記事をSNSでシェアする