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健康・カラダのこと

栄養バランスのとれた健康的な食事とは?シニア世代に適した食材・食事の例を紹介

栄養バランスのとれた健康的な食事とは?シニア世代に適した食材・食事の例を紹介

シニア世代は食べ物の好みが変わったり、噛んだり飲み込んだりする機能の低下により食事に偏りが出てきます。食事が偏ると栄養バランスが崩れ、健康を損なう原因になることも。そこで本記事では、シニア世代の食事の注意点や健康維持に適した食材、食事例を紹介します。

監修者 SUPERVISOR
管理栄養士/食生活アドバイザー/フードスペシャリスト/食品衛生管理者 古山 有紀

武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。

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シニア世代における「健康的な食事」とは

①栄養バランスの整った食事

私たちの体を作っているのは、食事から取り入れた栄養素です。必要な栄養素が不足すると、健康な体を維持することが難しくなります。健康維持のためには、日々の食事で必要な栄養素をバランスよく取り入れることがとても大切です。

必要な栄養素が不足しないために、日頃から栄養バランスを意識して食事を摂るよう心がけましょう。

②1日3食決まった時間に食べる

規則正しい健康的な生活を送るためにも、毎日の食事は決まった時間に食べましょう。決まった時間に食べることで体のリズムが整い、消化吸収もスムーズになります。不規則な食事は内臓の負担になります。

消化吸収機能はシニア世代になるにつれて低下していくため、できるだけ体に負担のかからない食事の摂り方を心がけましょう。また、食事と食事の間の時間をあけて空腹を感じることで、次の食事が美味しく食べられるようになります。

③自分に合った適量で食事を摂る

健康を維持するために、自分に適した量の食事を摂ることも大切です。食べる量が多すぎると肥満になり、少なすぎる場合は低栄養による健康リスクが高くなります。シニア世代では低栄養が健康を害する大きな要因になる可能性があるため、注意しましょう。

自分の適量の基準は、摂取カロリーで分かります。必要なカロリーは年齢や性別によって異なるため、以下の表を参考に自分に適した摂取カロリーを確認しましょう。高齢になるにつれて活動量が減って代謝も落ちるため、必要量は少なくなります。

1日に必要な摂取カロリー量(kcal/日)
男性 女性
65~74歳 2,050~2,400kcal 1,550~1,850kcal
75歳以上 1,800~2,100kcal 1,400~1,650kcal

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年)を基に作成

栄養バランスの整った食事を摂るためのポイント

主食、主菜、副菜をそろえたメニュー

栄養バランスの整った健康的な食事の基本は「主食、主菜、副菜が揃っていること」です。主食、主菜、副菜が揃うことで必要な栄養素がバランスよく摂取でき、健康的で理想的な食事になります。

主食とは

主食は、ご飯、パン、麺類など、主に体のエネルギー源となる食材です。炭水化物が中心であるため、食べすぎると血糖値を上げたり肥満の原因となったりします。しかし、炭水化物が不足すると疲れやすくなったり、代謝が落ちて太りやすくなったりするため、多すぎたり少なすぎたりしないように、バランスよく摂取することが大切です。

パンや麺類は、製造過程で砂糖、食塩、油脂などが添加されています。主食をパンや麺類にすることで過剰な糖分や塩分を摂ることになるため、シニア世代の方にはご飯を中心とした食事が健康的でおすすめです。

主菜とは

主菜とは、肉、魚、卵、大豆製品などのおかずです。体を作るもととなるたんぱく質が主な栄養素です。

たんぱく質は、筋肉や内臓、血管、体の代謝に必要な酵素やホルモンの材料となります。そのため、たんぱく質は健康な体を構成する重要な栄養素といえます。特に、シニア世代ではたんぱく質の不足は身体機能の低下につながりやすいので、主菜は必ず摂りましょう。

副菜とは

副菜は、野菜や海藻類などのおかずです。野菜や海藻類には、免疫機能や皮膚、体の調子を整えるビタミン、ミネラルが含まれています。これらもまた、健康維持に欠かすことのできない栄養素です。

食事の用意をするのが億劫なときは、トマトやキュウリなど切るだけで食べられる食材を使ったり、スーパーやコンビニのお惣菜を活用したりするとよいでしょう。

低栄養に注意した食事

シニア世代にとって、低栄養は肥満以上に健康を脅かす問題です。加齢とともに体力が衰え、病気でなくても生活の手助けや介護を必要とする状態になる場合があります。この状態は「フレイル」と呼ばれており、生活の質を低下させる原因として注目されています。フレイルにならないためにも、低栄養に注意した食事を摂る必要があります。

「量」より「質」を意識した食事を摂る

高齢になると食べる量が減ってきます。これは、若い頃に比べて活動量が減ったり消化吸収能力が低下したりするため、誰にでも起こりうることです。しかし、食べる量が減ったからといって健康維持の条件は変わらず、必要な栄養素は食事から摂らなくてはなりません。

必要な栄養素を摂るために「量」を食べようとするのではなく、「質」のよい食事を摂ることを意識しましょう。質のよい食事とは、ただ空腹を満たすための食事ではなく、上述したような主食、主菜、副菜が揃った食事を指します。

インスタント食品や菓子パン、麺類などでは、必要な栄養素はほとんど摂れません。むしろ、カロリー、糖質、塩分など健康にとって好ましくない成分の摂りすぎになる可能性もあるため、控えるようにしましょう。

調理方法を工夫して食べやすいメニューにする

シニア世代は、加齢に伴って唾液の量が減ることで、食べ物が飲み込みにくくなります。そこで、調理の際にとろみをつけると飲み込みにくさを和らげられるでしょう。

例えば、肉や魚にはとろみのついた餡をかけたり、スープや汁物にもとろみをつけるなどの工夫をすると食べやすくなります。

たんぱく質をしっかり摂る

たんぱく質は、糖質や脂質とともに三大栄養素の一つです。人の体を構成する成分であり、たんぱく質が不足すると体にさまざまな不調が現れます。特に、シニア世代ではたんぱく質不足がフレイルの原因となるため注意が必要です。

たんぱく質不足にならないようにするための注意点として、肉、魚、卵、大豆製品の中から毎食一つ以上食べるようにしましょう。また、野菜のおかずや、汁物に豆腐や小魚、肉を加えてもたんぱく質の補給に効果的です。意識して摂ることでたんぱく質不足を防ぎ、健康維持にも役立ちます。

一度の食事量が少ない場合は補食で栄養を補う

加齢に伴う体の変化には「食事量の減少」もあります。消化吸収機能が低下するため、一度の食事で無理に食べる必要はありません。しかし、健康のために必要な栄養を補う手段として、条件に合った「補食」を取り入れることをおすすめします。

補食とは、食事と食事の間に摂る軽い食事のことで、14~15時頃に摂るのがおすすめです。食事の直前に食べてしまうと、満腹感により食事が摂れなくなる可能性があります。補食の基本はあくまでも「食事で摂りきれない栄養を補う」ことなので、補食が多くなりすぎないようにしましょう。補食としておすすめな三つの食材を以下にまとめました。

補食におすすめな健康的な食材

①【食物繊維が摂れる野菜のおやつ】
さつまいもやかぼちゃなどは、自然な甘さで体に優しく健康的な補食です。また、食物繊維も摂れるためおすすめです。蒸してから潰し、茶巾搾りにすると、和菓子のようで食べやすくなります。

②【水分補給ができるおやつ】
ゼリーや果物、プリンなど水分の多い食材もうまく利用しましょう。シニア世代では、気づかないうちに脱水になっていることもあります。補食に水分補給ができる食材を加えることで、脱水症状の改善にも役立ちます。

③【カルシウムが補給できるおやつ】
ヨーグルトやチーズなどはカルシウムを補給できます。ヨーグルトにフルーツを混ぜると、ビタミン補給もできて栄養価がアップします。ただし、バターや生クリームは乳製品でも油脂が多いため、大量に摂取するのは控えましょう。

偏った食材の摂りすぎに注意する

先述したように、シニア世代では加齢に伴って食べ物の好みが変化してきます。味覚が鈍感になり、濃い味付けや甘いものが食べやすく感じることもあるでしょう。ただし、塩分の摂りすぎは高血圧や腎疾患などの病気を引き起こし、健康を害する原因となるため注意しましょう。

また、一人暮らしの高齢者は食事の用意が面倒になり、簡単に食べられる菓子パンやカップ麺などを食べる頻度が増える場合もあります。同じようなものばかり食べていると摂取する栄養素が偏ってしまい、健康を害することにつながります。

同じような食材ばかりを食べていないか、普段から自分の食事に気を遣って食材を見直してみるのもよいでしょう。

必要性や条件に合った宅配食を利用する

食事の用意が面倒だと感じる方は、宅配食の利用もおすすめです。宅配食には、毎日できたてのお弁当を配達してくれるサービスや、数食分をまとめて冷凍の状態で届けてくれるものなど、さまざまな種類があります。さらに、飲み込むことや噛む力が弱くなった方のために、必要性に応じて食べやすい調理形態を選ぶことも可能です。

最近では、管理栄養士が献立を考えた、カロリーや塩分を調整した健康的なお弁当も豊富です。宅配食を利用することで手軽に健康的な食事を摂ることができます。

シニア世代向けの栄養バランスが整った健康的な食事例

肉がメインの健康的な食事例

シニア世代にとって、肉は重要なたんぱく質源となる食材です。今回紹介する食事例はひき肉を使っているため、軟らかくて高齢者にも食べやすくなっています。食べにくい印象がある肉でも、少しのコツで美味しく食べられます。

鶏つくねの献立

  • 主食:ご飯 130g
  • 主菜:鶏つくねの大根おろしソース和え
  • 副菜:茄子の田舎煮
  • 副菜:海藻サラダ胡麻味噌和え
  • 汁物:はんぺんの清汁

魚がメインの健康的な食事例

魚料理は、塩焼きや煮付けの塩分が気になるところ。そこでおすすめしたいのが、柚子や山椒などの香辛料を使用した味付けです。香辛料に塩分は含まれていませんが、香りが強くてしっかりと味を感じることができます。味付けで工夫するのも塩分を控えるコツです。

ぶりの幽庵焼きの献立

  • 主食:ご飯130g
  • 主菜:ぶりの幽庵焼き
  • 副菜:豆腐のきのこ餡
  • 副菜:きゅうりとわかめの酢の物
  • 汁物:白菜と豚肉の味噌汁

コンビニでも揃う健康的な食事

手軽に食事を用意したいときに便利なのがコンビニです。コンビニでの食材選びのポイントは、丼物や揚げ物中心のお弁当は選ばないことです。主食、主菜、副菜の揃った食事が理想的であるため、条件に合った食材を選びましょう。

コンビニで選ぶ健康な食事例

  • 主食:玄米おにぎり、パックご飯、サンドイッチなどから1品
  • 主菜:サラダチキン、魚の缶詰、焼き魚などから1品
  • 副菜:野菜サラダ、ひじき煮、切干大根の煮物、野菜の胡麻和えなどから2品

シニア世代は食事と合わせて生活習慣も見直そう

シニア世代の健康維持には、食事だけではなく運動や睡眠も大切です。バランスのよい食事に加え、適度な運動、質のよい睡眠を組み合わせることで理想的な規則正しい生活を送ることができます。自身の生活習慣を振り返り、改善できそうなことがあれば見直してみましょう。

適度な運動を取り入れる

適度な運動を取り入れることで空腹を感じ、食事を美味しく食べられる効果があります。また、代謝もよくなるため健康維持に効果的です。

よく噛んでゆっくり食べる

よく噛んでゆっくり食べることは、消化を助けて内臓の負担を減らしてくれます。また、よく噛むことで咀嚼能力の低下を防ぐ効果も期待できます。

質のよい睡眠をとる

シニア世代にとって睡眠の質はとても大切です。質のよい睡眠とは、脳も身体も十分に休息できていることを指します。しっかり睡眠をとることで代謝もよくなり、生活の質も向上するでしょう。

健康的な食事のポイントを押さえ、簡単なことから始めましょう

この記事のまとめ

  • 健康的な食事とは、栄養バランスの整った食事
  • 主食、主菜、副菜を揃えてバランスよく食べる
  • シニア世代は低栄養を防ぐことが重要
  • 「量」より「質」を意識した食事を摂る
  • 一度に多く食べられないときは、補食で栄養を補う
  • 運動や睡眠、よく噛んで食べるなどの食事以外の生活習慣も見直す

シニア世代にとって健康的な食事は、栄養バランスを整えて低栄養を防ぐためだけでなく、生活の質を維持するためにも重要です。食事は生きる上での楽しみでもあるため、毎回の食事を大切にして心身ともに健康で豊かな食生活を送れるように意識してみてください。

今回紹介したことを完璧に行うのは難しいかもしれませんが、自分にとって必要性が高い部分や継続しやすいポイントなど、取り入れやすいところから始めてみましょう。 

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