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【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選 02】恋愛小説家〜人は何歳でも変わらずに変われる〜

【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選 02】恋愛小説家〜人は何歳でも変わらずに変われる〜

ひとたびの「シニアが活躍する映画10選」では、シニア世代が主役として活躍する映画を紹介します。第2回は、偏屈な売れっ子小説家と、シングルマザーのウェイトレスの恋愛模様を温かく描いた映画です。こちらの作品は、主演2人がアカデミー賞で主演男優賞、主演女優賞を共に受賞するという偉業を果たすほどの名演技を見せた名作です。

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第2回は1997年公開の「恋愛小説家」です。
この映画は、公開された年の映画賞レースを席巻しました。特に演技部門では主演2人がアカデミー賞、ゴールデングローブ賞という栄誉ある映画賞でW受賞しています。

主演はハリウッド屈指の演技派ジャック・ニコルソン。アカデミー賞ノミネート回数12回という男優としては史上最多のノミネートを記録している名優です。
ヒロインのヘレン・ハントも本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞しており、女優業に留まらず監督業にも挑戦している才能豊かな人物です。

主演2人がアカデミー賞W受賞するという快挙はもちろん、ラブ・ロマンスというジャンルの演技部門において賞を受賞したことにこの映画の凄さがあります。さらに、1997年全米年間興行収入では6位を記録しており、観客からの人気も高かったことが分かります。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

偏屈で気難しく、強迫性障害持ちの小説家メルヴィンは売れっ子の恋愛小説家。そんな性格のせいで、マンションの隣人である同性愛者の画家サイモンや、行きつけのレストランのウェイトレスであるキャロルに疎まれる存在でした。キャロルは母親と喘息持ちの息子スペンサーと3人暮らしで、スペンサーの看病のためウェイトレスの仕事を休むこともありました。

そんな時、隣人サイモンが強盗の少年に暴行され入院することに。サイモンが入院する間、メルヴィンはサイモンの愛犬であるバーデルを預かることになりました。最初はバーデルを毛嫌いしていたメルヴィンでしたが、世話をしていくうちに懐いたバーデルを可愛がるようになりました。この出来事がきっかけで、周りの人にも優しい言葉をかけられるようになっていったメルヴィン。サイモンが回復してバーデルを返す夜には1人寂しく涙するほどで、今までのメルヴィンとは明らかに違っていました。

メルヴィンはバーデルとの別れの寂しさを紛らわすためにレストランに行くも、キャロルは息子スペンサーの看病のため不在。キャロルからの給仕しか受け付けていなかったメルヴンは、彼女がいないとレストランで食事をすることができません。スペンサーが病気持ちだと知ったメルヴィンは、キャロルに早く復帰してもらうため、知り合いに頼み一流の医師を手配します。キャロルはスペンサーに医師からの治療を受けさせることができて喜びましたが、それがメルヴィンのおかげだと知ると、断ろうかと悩みます。しかしスペンサーのことを考え、最終的には治療を受けさせてもらうことにしました。

一方、強盗による暴行で、サイモンは芸術への情熱がなくなり破産。アパートを出ることに決めました。メルヴィンはサイモンから愛犬バーデルを引き取ってくれないかと頼まれましたが、メルヴィンの不要な一言のせいで大喧嘩に。しかし、メルヴィンは励まそうとしただけだと珍しく謝罪して、サイモンは以前とは異なるメルヴィンの言動に驚きました。

その後、サイモンは遠くに住む両親からお金を借りるため、実家に出向くことになり、メルヴィンにドライバーを頼みました。メルヴィンは2人きりでは不安だからとキャロルも誘い、道中で昔話に花が咲き3人は次第に打ち解けます。

宿に着くと、メルヴィンとキャロルは2人でディナーに出かけます。とても素敵な時間を過ごし、お互いに惹かれかけていることに気づきました。しかし、いつもの如く余計な一言を連発するメルヴィンに対し、愛想を尽かしたキャロルはホテルに戻ってしまいます。サイモンの部屋に泊まることにしたキャロルは、サイモンから絵のモデルをお願いされ引き受けることに。そして絵を描いているうちに制作意欲を取り戻したサイモン。両親からはお金を借りず、自分で人生を立て直すことに決めました。

翌朝、3人は一緒に帰ることになりましたが、キャロルは昨夜のメルヴィンの発言が許せず気まずい空気のままでした。
帰宅後、サイモンはお金が払えずマンションを手放さなければいけない状況になりますが、メルヴィンの計らいで空き部屋を借りることができました。そしてサイモンはメルヴィンに「ありがとう。キミが好きだ」と感謝します。いつしか2人の間には、マンションの隣人という関係を超えた友情が芽生えていました。

一方、キャロルはその話をサイモンから聞き、感動のあまり思わずメルヴィンに電話します。しかし電話をする中で、サイモンの強迫性障害による奇妙な行動や不要な言動を受け入れることが出来ないことを再認識してしまい、もう会えないと絶縁宣言を切り出します。別れを切り出され憔悴するメルヴィンをサイモンは励まし、キャロルに会いに行くよう背中を押しました。

メルヴィンは勇気を出して、キャロルのもとへ向かいました。渋々キャロルの家に入れてもらったメルヴィンでしたが、落ち着かず、パン屋まで散歩をしようと提案します。散歩中、几帳面にタイルを避けて歩くメルヴィンを見て、キャロルは「やはり関係は続けられない」とメルヴィンに伝えます。しかし、メルヴィンは自分の思いの丈を全てぶつけました。自分以上にキャロルを好きな人はいないこと、世界中の誰よりもキャロルが美しいと思っていること。それらを告げてメルヴィンが抱きしめようとすると、キャロルもその気持ちに応え熱い抱擁を交わしました。

物語の最後、パン屋が開店して、メルヴィンはタイルをしっかり踏んで入店していきました。

みどころ 

何歳になってもリスタートしたくなる

メルヴィンは売れっ子の恋愛小説家でありながら、人の気持ちが分からず言いたいことをすぐ言ってしまう人間でした。冒頭では邪魔だと思ったサイモンの愛犬バーデルをマンションのダストシュートに捨てたり、レストランで自分のお気に入りの席に先客がいると嫌がらせをしたりと、とにかく嫌な人間です。また強迫性障害のため、家の鍵締めやスイッチの入切の確認、何度も入念に手を洗うなど、人から見ると一緒に過ごしにくい人物でした。

しかし、他のウェイトレスがメルヴィンを毛嫌いするなか、唯一相手をしてくれていたキャロル。彼女ともっと話をしたいと思ったメルヴィンは、ずっと拒んでいた強迫性障害の薬を飲むようになりました。今まで変わろうとしなかった高齢男性が、不器用ながら自分や人と向き合い、キャロルへ積極的にアプローチしていきます。ただ、不慣れなものですからメルヴィンの少し変わったアプローチでキャロルを戸惑わせてしまうのが可笑しく微笑ましく、それがこの映画の魅力にもなっています。

この映画を見て感じるのは「いくつになっても自分を変えることはできる」ということ。世間では高齢になると「もうあの年では変われない」と周りから思われがちです。しかし、変わりたいと強く思い、自分と向き合うことができれば、大枠では変わらなくても小さな部分では変わることができます。例えば、メルヴィンは強迫性障害の治療と向き合うため、薬を飲み始めました。また、嫌味な性格は相変わらずですが、自分なりに相手を褒めようとしたり、認めるようになりました。本作を観れば、誰もが何歳からでもリスタートできると前向きな気持ちになるでしょう。

大人の友情の作り方

本作のジャンルはラブ・ロマンスです。しかし、メルヴィンとサイモンの友情を語らずに本作は語れないでしょう。

グレッグ・キニア演じるサイモンの役割は非常に大きく、彼の行動や発言によって物語は動き出します。サイモンの入院、故郷への帰省、メルヴィンへの励ましなど、本作のキーパーソンは彼といっても過言ではないでしょう。

そんなサイモンは同性愛者であり、親とは確執がありました。しかしメルヴィンは、気にするサイモンにいつもと変わらぬ無神経ぶりで接するため、彼の神経を逆なでしてしまいます。それがきっかけで本心をぶつけられる相手となり、最後は親友のような存在となりました。

大人になると本音が言えなかったり、建前で接することが多くなったりします。そのため、子どもの頃に比べると全てをさらけ出せるような親友はおろか、友だちを作ることさえも難しいという方が多いのではないでしょうか。メルヴィンとサイモンも最初は険悪な関係でしたが、互いに素を出して接し続けた結果、心を許せる関係となりました。

そういった友人を今からでも作りたいと、メルヴィンとサイモンを見て思わされます。

最高のスタッフ・キャストが集結

先に述べたように、メルヴィン役のジャック・ニコルソンと、キャロル役のヘレン・ハントのハイレベルな演技により、アカデミー賞をW受賞した本作ですが、スタッフも実力者揃いです。
監督のジェームズ・L・ブルックスは1983年の『愛と追憶の日々』でアカデミー賞監督賞を受賞した経験がある他、ドラマ界のアカデミー賞と言われるエミー賞を19回も受賞している名監督です。独特な世界観で世界中を魅了するウェス・アンダーソン監督も、彼によって見出されています。

本映画の撮影は「普通の人々」「10日間で男を上手にフル方法」を手がけたジョン・ベイリー。音楽は「パイレーツ・オブ・カリビアン」などを手掛けたハリウッド随一の巨匠ハンス・ジマーといった、誰もが知っている名作を手掛けた最強のスタッフが関わっています。
最高のスタッフとキャストが揃ったからこそ、これだけ魅力的な作品が作れたのだと思います。素晴らしいケミストリーが生み出した極上の逸品と呼べるでしょう。

まとめ

名優ジャック・ニコルソンの演技がとにかく素晴らしい作品で、彼の良さがすべて詰まっています。
いつでも自分を変えられると、強烈ながら愛嬌のあるキャラクターを通じてメッセージを発信してくれている本作は、誰もがくすっと笑えて、最後は前向きになれる作品です。仕事や人間関係に疲れたら一度観てみることをおすすめします。人生を変える最高のデトックス効果があるかもしれませんよ。

公開年

1997年

監督

ジェームズ・L・ブルックス

キャスト

ジャック・ニコルソン

ヘレン・ハント

グレッグ・キニア

キューバ・グッディング・ジュニア

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