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健康・カラダのこと

認知症で介護認定を申請する流れと審査基準!必要な手続きや認定されない場合の対策などを解説

認知症で介護認定を申請する流れと審査基準!必要な手続きや認定されない場合の対策などを解説

認知症の家族を介護する際は、介護認定を受けて介護サービスを活用することが重要です。しかし、中には介護認定の受け方が分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?本記事では、介護認定の手順や基準、結果に納得いかなかった時の対処方法について紹介します。

監修者 SUPERVISOR
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級 池田 正樹

東北公益文科大学卒業。その後、介護保険や障害者総合支援法に関する様々な在宅サービスや資格講座の講師を担当した。現在は社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活相談員として、入居に関する相談に対応している。在宅・施設双方の業務に加えて実際に家族を介護した経験もある。高齢者介護分野のみならず、障がい者支援に関する制度にも明るい。

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認知症介護に必要な介護認定とは

認知症介護を始めるときは、要介護認定を受けましょう。まずは、認知症の診断を受けたら行うべき介護認定の概要や受け方について紹介します。

要介護認定とは

要介護認定は、原則65歳以上の高齢者が対象です。認知症状・身体状況・健康状態によって生じている介護の必要性を全国一律の基準で審査し、要支援1から要介護5の全7段階のレベル(要介護度)に分けます。認定を受けた高齢者は、要介護度のレベルに応じた介護保険サービスを利用できます。

被保険者は収入等によって自己負担割合(1~3割)が定められており、サービスごとの利用料のうち自己負担分だけの支払いで、介護サービスを利用できます。レベルごとの上限を超えてもサービス利用を継続できますが、超えた分は全額自己負担になるため注意が必要です。

要介護度

区分支給限度基準額
(円/月)

利用者負担限度額
(1割負担)

利用者負担限度額
(2割負担)

利用者負担限度額
(3割負担)

要支援1

50,320円

5,032円

10,064円

15,096円

要支援2

105,310円

10,531円

21,062円

31,593円

要介護1

167,650円

16,765円

33,530円

50,295円

要介護2

197,050円

19,705円

39,410円

59,115円

要介護3

270,480円

27,048円

54,096円

81,144円

要介護4

309,380円

30,938円

61,876円

92,814円

要介護5

362,170円

36,217円

72,434円

108,651円

※地域区分:その他(1単位=10円)の場合

認知症に介護認定が必要な理由

認知症は健康状態や生活環境によって徐々に進行し、介護の必要性が増えていきます。自立度や認知能力のレベルが低下することで専門的な対応を迫られる場合もあるため、さまざまな面で介護者の負担が増えるでしょう。本人や介護者がお互い安心して暮らすためにも、介護認定を受けて介護保険サービスを利用することをおすすめします。

認定されない場合もやり直しできる

認知症の診断があっても、必ず介護認定されるとは限りません。中には、認知症があるのに非該当と判断されたり軽度判定されたりすることがあります。ただし、介護認定されなかった場合は再度申請をしたり、介護度を見直してもらったりする方法があります。

詳しくは記事後半の「認知症でも介護認定されないときの対応策」で紹介しますので、あわせてご覧ください。

認知症の介護認定の申請方法

認知症の人が介護認定を受けるためには、手続きをする必要があります。ここからは認定の申請手続きについて解説しますので、目を通しておきましょう。

介護認定に必要な手続き

認知症の人の介護認定は、住民票がある市区町村の介護保険担当窓口に要介護(要支援)認定を申請します。役所に行けない場合は郵送で申請したり、中学校区ごとに設置されている最寄りの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等での代行申請を活用しましょう。中には電子申請が可能な自治体もあります。

申請に必要な書類は以下の通りです。市区町村によって詳細が異なるため、申請の前に問い合わせておくとスムーズです。

要介護等認定申請に必要な書類(65歳以上の場合)

  • 要介護(要支援)認定申請書
  • 介護保険被保険者証 
  • 主治医意見書を依頼する医師の氏名と所属医療機関の情報が分かるもの
  • マイナンバーカード(通知カード)

なお、65歳未満の方でも、厚生労働省が定める条件に該当する場合は介護認定を申請できます。特に、認知症の診断を受けている場合は条件に合致する可能性が高いため、認知症の診断をした医療機関に対して認知症状の原因疾患が条件に当てはまるか問い合わせてみるとよいでしょう。

介護認定の申請手順

介護認定の申請は事前に必要な書類を準備した上で、各種窓口に提出すれば完了します。特におすすめなのは、地域包括支援センターに代行申請してもらう方法です。この申請方法は、介護申請と同時に認知症介護の相談もできます。

認知症でお困りの場合、認定された後は介護サービス等を利用することになります。認定後に利用するサービスの内容や事業所について事前に相談できるため、一石二鳥でしょう。

認知症の人が介護認定の流れと審査基準

実態に即した介護認定を受けるには、認定までの流れや審査基準をある程度把握しておくことが重要です。特に認知症の場合は、具体的な症状の内容や介護の頻度を正しく調査員に伝える必要があります。

ここでは、介護認定までの大まかな流れと審査基準を紹介します。

介護認定までの大まかな流れ

認定結果を受け取るまでの大まかな流れは、以下の通りです。

認知症の人の介護認定の大まかな流れ

  1. 申請
  2. 認定調査
  3. 申請時に申告した主治医による意見書の作成 
  4. 一次判定(コンピューター判定)
  5. 二次判定(介護認定審査会による判定)
  6. 結果通知

介護認定の結果は申請日から30日以内に通知するよう介護保険法で定められていますが、通知までに1.5~2ヶ月程度かかる場合があるのも実情です。

認定結果を待たずに急いで介護サービスを利用する必要がある場合は、申請と同時にその旨を相談しておきましょう。介護認定は申請日にさかのぼって有効となるため、要介護度を予測した暫定ケアプランをケアマネジャーから作成してもらうことで、介護認定の結果を待っている間でもサービスを利用できます。

ただし、暫定ケアプランにはリスクもあります。実際の要介護認定が予測と異なった場合、利用したサービスの一部または全部が介護保険給付の対象外だったと判断され、多額の自己負担が発生する可能性があるためです。介護認定の結果が届く前にサービス利用を始める場合は、ケアマネジャーと相談しながら慎重に検討しましょう。

介護認定の審査基準

介護認定の審査基準は、厚生労働省が定めています。全74項目にわたる認定調査の結果と、主治医が作成する主治医意見書の内容を踏まえ、市区町村が設置する介護認定審査会によって介護度のレベルが決まります。

審査基準の大枠として、以下3つのキーワードを押さえておきましょう。

認定調査

・認知症や身体介護の状況等、全74項目で概ね直近1ヶ月以内の実態を評価

主治医意見書

・医学的知見から介護の必要性や予後予測などについて記述される審査資料

介護認定審査会

・最終的に要介護度を決めるための合議体
・市区町村職員に加えて医療・介護・福祉の専門家や学識経験者などによって構成

特に認知症の場合は、認定調査の際に日ごろの困った言動や介護の手間の内容を具体的に説明することが重要です。厚生労働省では介護認定の流れや審査基準についてWEBサイトで公開しています。認定されるか不安がある方は、介護認定を申請する際に目を通しておきましょう。

要介護認定(厚生労働省)

認知症でも介護認定されないときの対応策3選

認知症なのに介護認定されなかった場合、以下の対応方法があります。

認知症なのに認定されないときの対応方法

  • 介護認定を新規に申請する
  • 不服申し立てもしくは区分変更申請する
  • 事業対象者としてサービスを利用する

それでは、各対応方法の詳細を解説します。

介護認定を新規に申請する

認知症なのに非該当と認定されたら、諦めないといけないと考える方もいるでしょう。実際には、介護認定は再度、新規申請することが可能です。(一部市区町村では制限がある場合あり)

同じ轍を踏まないために認定の正しい受け方を勉強し、対策をして臨みましょう。以下に、再申請する場合にやっておくべきことを紹介します。

認知症専門医を受診し、主治医になってもらう

認知症によって介護の必要性が生じている場合、認知症専門医を受診して主治医になってもらいましょう。認知症の症状や個別特性・今後の予後・必要な介護サービスの内容について、専門的な知見から主治医意見書を作成してもらえます。

日本認知症学会では、以下のサイトで地域ごとの専門医を一覧で紹介していますので、参考にしてみてください。

日本認知症学会 全国の認知症専門医リスト

日ごろの介護の手間と頻度を具体的に把握する

認定調査の受け方のポイントは、日ごろの介護の手間や頻度を具体的かつ客観的に説明することです。これは、認定調査では「介護内容(手間)」と「概ね直近1ヶ月の頻度」で評価するためです。

例えば、認知症の物忘れによる鍋焦がしが月数回なら「ときどきある」、週1回以上なら「ある」、2~3ヶ月に1回程度なら「ない」となります。
移動に関する介助も外出時だけ歩行介助が必要で、家の中で転倒の心配がなければ「自立」と判定されます。

基準に該当しない内容でも、関連していれば頻度と共に調査員が「特記事項」に詳細を記述し、介護認定審査会の参考にしてくれます。そのため、日常の様子や介護の状況・認知症の対応方法・頻度をメモしておいたり、まとめたものを調査員に手渡したりするのも有効です。

認定調査の基準を覚えて効率的に説明する

認定調査の全74項目の評価基準は、「認定調査員テキスト」という形で厚生労働省が公開しています。調査を受ける側も内容を理解しておけば効率的かつ効果的な説明ができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

令和3年4月 認定調査員テキスト2009改訂版(厚生労働省)

不服申し立てもしくは区分変更申請する

認定結果が納得できない場合は、不服申し立てと区分変更申請の二つの方法があります。違いは以下の通りです。

不服申し立てと区分変更申請の違い

不服申し立て

区分変更申請

・介護認定が正しく行われたのか審査を求める手続き

・認定結果受領後60日以内でないと申し立てができない

 

・現在の要介護認定を見直し、再度レベルを判定してもらう手続き

・いつでも申請できる

※認定結果が非該当だった場合は対象外

 

不服申し立ては結果が出るまで数ヵ月かかり、さらに介護認定の内容に不備があったと認められた場合に再度介護認定をやり直すことになります。かなり時間を要するため、「非該当」と認定されたら再度「新規申請」、納得できないレベルで判定されたら「区分変更申請」を行うことが多いです。

「事業対象者」としてサービスを利用する

「事業対象者」とは、自治体独自の「総合事業」という介護予防サービスを利用するための基準を満たした人のことを言います。総合事業には「訪問型サービス」「通所型サービス」というホームヘルパーやデイサービスに相当するサービスがあるため、仮に介護認定が非該当でも類似するサービスを利用できます。

詳細は下記の厚生労働省WEBサイトにまとめられていますので、ご覧ください。

介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の流れ(厚生労働省)

認知症の人が介護認定されたらやること

認知症の人が介護認定を受けたら、進行予防や介護者の負担軽減のため介護保険サービスを利用しましょう。認定を受けた後に介護保険サービスを利用する手順について、概要を紹介します。

ケアマネジャーに相談する

要支援1・2と認定されたら管轄の地域包括支援センター、要介護1~5と認定されたら任意の居宅介護支援事業所とケアマネジャーの契約を結びます。契約後、担当になったケアマネジャーと相談してケアプラン作成の相談に移りましょう。

なお、地域包括支援センターはケアプラン作成を居宅介護支援事業所に委託できるため、居宅介護支援事業所によっては要支援の方も担当している場合があります。また、2024年4月からは居宅介護支援事業所が直接要支援の方を担当することも可能になります。

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介護保険サービス事業所と契約する

ケアプランの大枠が決まったら具体的なサービス事業所を選定し、ケアプランを決定します。その後、各サービス提供事業所と利用契約を結んでサービス利用開始となります。

認知症で介護認定を受けるときは、審査基準を理解して申請しましょう

この記事のまとめ

  • 認知症介護で共倒れにならないよう、介護認定を受けて介護サービスを利用するのがよい
  • 介護認定は、住民票がある市区町村または地域包括支援センター等に申請する
  • 介護認定は認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会が決定し、その基準は全国一律
  • 認知症でも介護認定されないときの対応は、①介護認定を新規に申請する②不服申し立てもしくは区分変更申請をする③事業対象者としてサービスを利用する
  • 介護認定を受けたら介護保険サービスの専門家に相談し、進行予防や介護者の負担軽減のため介護保険サービスを利用する

認知症は徐々に進行する病気です。本人・介護者双方の安心のためにも、積極的に介護認定を申請しましょう。基準は全国一律ですが専門的な部分もあるため、正しい認定を受けるためには効率的な受け方を理解した上で、事前の準備が大切です。

もし認定結果に不満がある場合は、見直しも可能です。認定を申請する時点から地域包括支援センターや任意の居宅介護支援事業所に相談しておくとその後の対応もスムーズなため、ぜひ気軽に相談してみてください。

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