閉じる メニュー
終活を始める

お墓はいらない?不要と考える方へ供養方法や費用、墓じまいの流れまでをご紹介

お墓はいらない?不要と考える方へ供養方法や費用、墓じまいの流れまでをご紹介

近年では、「お墓はいらない」と考える人が増えています。さまざまな事情によりお墓を管理するのが難しい場合や、お墓に入らない供養方法が多様化している背景もあるのでしょう。そこで今回は、お墓がいらない人のための供養方法や費用、墓じまいの流れまで詳しく解説します。

東京博善のお葬式 0120-506-044 24時間365日・通話無料 お気軽にお問い合わせください 事前相談・お急ぎの方もこちらから!

「お墓はいらない」という考え方が増えている理由

お墓

跡継ぎがいない

お墓はいらないという考え方は、跡継ぎがいないことが理由の一つです。近年、核家族化により単身世帯が増えつつあることや、少子化が進み、子供の数は減少傾向にあります。

そのため、お墓の継承者が確保できずに、「無縁墓」になる可能性があります。無縁墓は最終的に寺院や霊園の管理者が撤去してしまうことも、お墓はいらないという考え方に影響しているのでしょう。

家族の金銭的な負担が心配

お墓を建てるには、墓石や墓地の区画購入など多額の費用がかかります。さらに、お墓を維持管理するための費用も必要です。そのため、自分が亡くなった後に、家族に負担をかけたくないという人が増えていることも考えられます。

遠方に住んでいるので手入れが大変

家族が遠方に住んでいる場合は、お墓の手入れが定期的にできないということがあるでしょう。実家のお墓を継承してもなかなか行けなかったり、交通費や宿泊費などの出費がかさんだりすることがあります。お墓が荒れてしまうことを心配し、いらないと考える人も多いようです。

お墓に対しての価値観の変化

近年では、お墓に対しての価値観が変わってきています。かつては、家屋敷や家業を継承し、先祖代々のお墓に入るという観念を持つ人が多くいました。しかし、家を継承する文化が当たり前ではなくなり、離れて暮らす家族が増える傾向にあります。そのため、従来のお墓の存在が必要不可欠ではなくなったのでしょう。

「お墓はいらない」と思ったときに考えておくこと

お墓参り

お墓の背景、目的

お墓が庶民に広まったのは、江戸時代に始まった「檀家制度」によるものとされています。檀家とは、特定の寺院の信徒となり、お布施を払って寺院の財政を助ける代わりに、葬儀やその後の供養などの宗教儀式を執り行ってもらえる家のことです。

「檀家制度」は、江戸幕府がキリスト教を排除する目的で制定した「寺請制度」が由来になっています。制定当初は、寺院の檀家になることでキリスト教徒ではないことを証明する役割でした。次第に、人々の出生、結婚、死亡なども証明してくれるようになり、その身分を保証してくれる対価としての寄付を義務化するために、檀家制度が始まったと考えられています。その結果、寺院の境内にお墓を建てるようになったということです。

お墓には、ご遺体が埋葬されている「しるし」、つまり「墓標」としての役割があります。遺族や親族が、故人の冥福を祈るための象徴になっているのです。また、先祖は供養すべき対象であるとともに、生きている自分たちを守ってくれる存在のように考えている人も多くいます。そのことから、お墓は自分たちの幸せを祈る場所としての役割も果たしているのでしょう。

お墓が必要である理由

お墓は、故人や先祖と今いる家族を繋げる場所としての意味を持っています。自分たちが存在するのは、両親、祖父母、ご先祖さまのおかげです。お墓があることで、脈々と受け継がれてきた命や家族の繋がりを実感できるのでしょう。

また、夏休みや正月休みなどのイベントで兄弟や親戚も集まり、お墓参りすることが多いでしょう。普段は離れて暮らす親族を一つの場所に集められるのもお墓が必要とされる理由の一つです。

それでもお墓がいらないと考えた場合の注意点

墓じまいを検討する

それでもお墓がいらないと考えた場合、墓じまいを検討しなければなりません。お墓の管理者が確保できず、無縁墓にならないようにするためです。

ただし、墓じまいにはさまざまな手続きや新しい供養先が必要なうえに、多額の費用がかかることもあります。そのため、後悔のないよう事前にきちんと調べてから行いましょう。

独断で決めない

墓じまいをする場合は、独断で決めないようにしましょう。お墓は継承する人だけのものでなく、家族や親戚を繋ぐ場所でもあります。そのため、相談なく撤去すると、快く思わない人が出てくる可能性があるでしょう。周囲にきちんと相談し、手順を踏んで行うことが大切です。

新しい供養先や方法を納得いくまで調べる

近年、供養先や供養方法が多様化しているため、迷うこともあるでしょう。同じ供養方法であっても、管理する寺院や霊園、各種サービスによって内容や料金が異なることがあります。供養先を選んでから「思っていたのと違う」「遺骨が取り戻せない」などのトラブルが起こらないように、納得いくまで調べましょう。

お墓がいらない人のための供養方法や費用

林

骨壺のまま安置する「納骨堂」

納骨堂」とは、遺骨を骨壺に入れたまま安置する場所です。一つの建物の中に、複数の納骨スペースが備えてあります。コインロッカー型から、納骨スペースを華やかにライトアップしたものまで、さまざまな形式がある供養方法です。

納骨方法も、個人のものから家族単位までさまざまなので、比較検討が必要でしょう。

納骨堂の費用目安

  • 個人:50万円程度
  • 家族:100万円程度

土に還る「合同墓」

合同墓とは、骨壺から取り出した遺骨を、他の方と一緒に埋葬する供養方法です。長い年月をかけ、土に還るように地面へ埋葬します。そのため、遺骨は取り戻せないことを理解しておきましょう。

お墓の継承者がいない方ばかりでなく、ご遺族の負担になりたくない場合に利用することも多いです。基本的に共用の参拝スペースを設けているので、ご遺族はそこでお参りできます。費用や供養の有無、回数など、寺院霊園などによってさまざまです。

合同墓の費用目安

  • 10~30万円程度

納骨のタイプが選べる「永代供養墓」

永代供養墓は、ご遺族や管理者に代わって、寺院が一定期間供養してくれます。寺院によって異なりますが、主に合同墓、共有墓、家族型の3タイプです。地域や風習、寺院や霊園によって、前述した合同墓や納骨堂も永代供養墓に含まれる場合があります。

共有墓は、一つの納骨室を複数人で利用します。一定期間は骨壺のまま納められるので、合同墓のような「他人の遺骨とすぐに一緒になる」ということに抵抗がある人に向いているでしょう。ただし、一定期間を過ぎると、骨壺から遺骨を取り出して、合同墓へ移されます。

家族型は、一つの納骨室に身内の遺骨を複数体納められます。従来のお墓を選ぶように石種を選択し、墓石を建てられるスタイルもあるのが特徴です。納骨室には専用の香炉や花立てなどが設置されており、従来に近い形でお参りできます。
ただし、この場合も一定期間を過ぎると、合同墓に移されることが多いです。寺院や霊園によって条件や期間が異なるので、十分な確認が必要でしょう。

永代供養墓の費用目安

  • 合同墓:5~20万円程度
  • 共有墓:10~30万円程度
  • 家族型:30~100万円程度

自然に還れる「樹木葬」

樹木葬とは、霊園の敷地内や自然の山木・草花などの下に遺骨を埋葬する自然葬の一つです。土の中に遺灰を埋める方法で、墓石の代わりに樹木を植えます。自然に還れる埋葬形式として、草花が好きな人に選ばれている方法です。

樹木葬には、主に3種類の埋葬方法があります。
一つ目は、「個人・家族埋葬個別樹木」といい、1本の樹木に個人や家族単位で埋葬します。二つ目の「個別埋葬共同樹木」は、1本の樹木の周囲に複数の区画を作り、個別に埋葬する方法です。三つ目が、区画を設けずにほかの方の遺灰と一緒に埋葬する「共同埋葬共同樹木」という方法です。

それぞれの費用を比較すると、区画がしっかりと用意されている埋葬方法が高くなる傾向にあります。

樹木葬の費用目安

  • 個人・家族埋葬個別樹木:50~80万円程度
  • 個別埋葬共同樹木:20~50万円程度
  • 共同埋葬共同樹木:5~20万円程度

自宅に保管する「手元供養」

遺骨を納骨せずに自宅で保管する供養方法を、「手元供養」といいます。すべての遺骨を保管する方法と、一部を自宅に持ち帰る方法の2種類です。一般的に、骨壺に納めて仏壇や飾り台の上に置かれます。

そのため、骨壺や仏壇の値段によって、かかる費用が異なります。数千円から数十万円まであるため、予算に合わせて考えましょう。

思い出の地に遺灰を撒く「散骨」

散骨は、故人の思い入れがある土地やゆかりのある場所などに、粉骨した遺灰を撒く供養方法です。すべて撒く場合と、ほかの供養方法と併せて行う場合があります。骨の状態のまま遺棄すると法律違反になってしまうため、注意が必要です。また、自治体によっては、散骨に関する条例が出ている場合もあるため、事前に確認したほうがよいでしょう。

海好きの人へ「海洋散骨(海洋葬)」

海洋散骨の供養方法は、ヘリコプターやセスナ機を利用する方法と船舶で行う方法があります。海で眠りたい、自然に還りたいなどの故人の意思で行われることが多いです。ヘリコプターや船のチャーター代がかかり、時間や距離によって費用がかさみます。

また、個人散骨、合同散骨、代行散骨といった散骨方法もあります。海洋散骨に関しては、「一般社団法人日本海洋散骨協会」がガイドラインを制定しているので確認してみてください。

海洋散骨の費用目安

  • 個人散骨(チャーター船):20~40万円程度
  • 合同散骨(他者と乗り合わせ):10~20万円程度
  • 代行散骨(業者に委託):5~10万円程度

一般社団法人日本海洋散骨協会・日本海洋散骨協会ガイドライン

山の中に撒く「山散骨(陸散骨)」

山散骨は、山間部に遺灰を撒く供養方法です。樹木葬のように納める場所が決まっていたり、埋葬したりするのではなく、環境や山の利用者に配慮して遺灰を撒きます。

土地の所有権や水源地などにより、散骨場所はどこでもよいというわけではありません。自分の持ち山か、業者が所有する山で行う場合が多いです。しかし、石や木で目印を作らないことや土をかぶせない、線香やローソクを使用しないなどの配慮が必要です。

山散骨

  • 個人:5万円程度
  • 業者・立ち合い有:20万円程度

宇宙空間に運ぶ「宇宙葬・空中葬」

宇宙葬とは、故人の遺灰を収めたカプセルを宇宙空間に打ち上げる散骨方法の一つです。宇宙空間と大気圏の境界線であるカーマンラインを越える位置までロケットや人工衛星を打ち上げて、散骨する供養方法です。各業者のプランの内容や遺灰の量などによって費用が変わります。

空中葬とは、風船の中に遺灰を入れて空に飛ばす供養方法です。成層圏に到達すると風船が割れ、空中に散骨される仕組みになっています。宇宙空間には届きませんが、広義で宇宙葬に数えられているのです。

宇宙葬・空中葬の費用目安

  • 月面供養(ロケットで月に送る):120万円程度
  • 流れ星供養(人工衛星で打ち上げる):30~100万円程度
  • バルーン葬(風船に入れて飛ばす):20万円程度
  • 宇宙飛行プラン:50万円程度

墓じまいをすると決断したら

墓地

ここまで、お墓がいらない人のためにさまざまな供養方法を紹介しましたが、実際に墓じまいをするにはどうしたらよいのでしょう。ここでは、手続きがスムーズに行えるように、墓じまいの流れやかかる費用を詳しく解説します。

墓じまいの流れ

墓じまいの流れ

  1. 親族の同意を得る
  2. 霊園や寺院の管理者に報告
  3. 遺骨の供養先を決める
  4. 改葬手続きを行う
  5. 閉眼供養する
  6. 石材店に墓石の解体を依頼
  7. 新しい供養先へ納骨

①親族の同意を得る

墓じまいをする際には、まず親族の同意を得るようにしてください。故人や継承者に兄弟がいる場合、相談しないで墓じまいをするのは避けたほうがよいでしょう。お墓を維持管理できない理由を話し、きちんと理解を得てから行動に移すことをおすすめします。

②霊園や寺院の管理者に報告

墓じまいの際は、霊園や寺院の管理者に報告が必要です。遺骨が納骨してあることを証明する「埋葬証明書」を発行してもらえます。新しい供養先で必要になるので、管理者への報告は忘れず行ってください。

また、お墓は霊園や寺院の土地を借りて建てているので、無断で撤去するのは避けなければなりません。管理者への感謝や御礼の気持ちを伝え、スムーズな手続きを行えるように心掛けましょう。

③遺骨の供養先を決める

親族やお墓の管理者への墓じまいの連絡を終えたら、遺骨の供養先を決めます。供養方法が多様化しているので、予め詳しく調べておいたほうがよいでしょう。

新しい供養先では、「受け入れ証明書」を発行してもらいます。地域や自治体によっては、市町村役場での手続きになる場合もあるので、事前の確認が必要です。

④改葬手続きを行う

霊園や寺院の管理者への報告、遺骨の供養先の決定が済んだら、改葬手続きを行います。現在、お墓がある市町村役場に申請し、「改葬許可証」を取得してください。「改葬許可証」は、お墓がある寺院や霊園に提示すると遺骨を取り出して移動できるようになり、新しい供養先の管理者に提出すると遺骨を受け入れてもらえるようになります。

⑤閉眼供養する

墓じまいに伴って、「閉眼供養」を行います。お墓に宿っているとされる、故人の魂を抜き取る儀式のことです。通常は、家族だけで執り行い、お墓の前で僧侶に読経をしてもらいます。

⑥石材店に墓石の解体を依頼

墓じまいに必要な書類の申請が完了したら、お墓の撤去が可能になります。墓石の解体や撤去、遺骨の取り出しなどは、すべて石材店に依頼するものです。

石材店が決定したら、寺院や霊園の管理者に相談して作業を行う日を決めましょう。墓石の解体や撤去には小型重機を使用する場合もあるため、寺院や霊園の協力が必要です。周囲のお墓にも迷惑をかけないよう、よく相談してから日時を決めてください。

⑦新しい供養先へ納骨

墓じまいを終えたら、新しい供養先へ納骨します。遺骨を運ぶ際には、骨壺が割れないように注意を払いましょう。

交通機関を利用する場合には、周囲への配慮が必要でしょう。状況に応じて、骨壺用のバッグを使用するのもおすすめです。飛行機に持ち込む際には、航空会社でルールが定められている場合もあるため、利用前に確認しておきましょう。

墓じまいにかかる費用

解体・撤去工事費

墓石の解体や撤去工事費は、区画の広さ、撤去する墓石の量、機材の要否によって異なります。石材店が決められていない場合は、複数社に見積もりを依頼し、比較検討すれば費用を抑えられるでしょう。

解体・撤去工事費の費用目安

  • 8~15万円程度

書類の交付費用

それぞれの手続きで必要になる許可証を揃える際にも、交付費用がかかります。自治体や管理者によって異なりますが、すべての書類を合わせても3,000円程度です。ただし、複数人の遺骨が納骨されている場合は、それ以上かかることもあるでしょう。

御礼・離檀料

墓じまいする際は、お墓の管理をお願いしていた寺院に、御礼や離檀料が必要になる場合があります。寺院の檀家という関係性の終了を意味するため、これまでの御礼を含めたお金です。寺院によっては、予め金額が決められている場合があったり、お付き合いの年数によって多く用意したりすることもあるでしょう。

御礼・離檀料の費用目安

  • 閉眼供養:3~10万円程度
  • 離檀料:10~20万円程度

遺骨のメンテナンス費用

お墓に埋葬されていた遺骨は、洗浄や乾燥などのメンテナンスが必要になります。骨壺に水が溜まっている、土が混ざっている、骨壺が割れている、といったケースも多いです。新しい供養先によって、メンテナンスの方法は変わります。遺骨を取り出す前に、相談しておきましょう。

遺骨のメンテナンス費用目安

  • 洗浄・乾燥:1~3万円程度
  • 洗浄・乾燥・粉骨:1.5~5万円程度

新しい供養先の費用

新しい供養先の費用はそれぞれ大きく異なるので、前述した「お墓がいらない人のための供養方法や費用」を参考にしてください。ただし、同じ供養方法であっても、寺院や霊園、各種サービスによっても金額は異なるので、詳細の確認は必要です。

お墓の要否を総合的に判断しましょう

青空

この記事のまとめ

  • お墓には「墓標」の役割がある
  • お墓があることで家族の繋がりを実感し、離れて暮らす親族を集めることができる
  • それでもお墓がいらないときには、墓じまいを検討する
  • 墓じまいは家族や親戚と相談する必要がある
  • 新しい供養先は、供養方法や費用などを詳しく調べてから決める
  • 墓の管理者には事前の報告や、お礼・離檀料が必要
  • 墓の管理者から「埋葬証明書」、新しい供養先で「受け入れ証明書」を発行する
  • 市町村役場で「改葬許可証」を申請する
  • 墓石の解体や撤去、遺骨取り出しは石材店に依頼するため工事費がかかる

「お墓は必要ない」と考える人は増えている傾向にありますが、家族や親族の繋がりの象徴となるものでもあります。ひとりで考えず周囲の人とよく相談しながら、お墓の要否について判断し、自分に合った供養方法を見つけてください。

SHARE この記事をSNSでシェアする