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特集

【武藤頼胡さん特別インタビュー】終活は「死に支度」でもあり、「生き支度」でもある

【武藤頼胡さん特別インタビュー】終活は「死に支度」でもあり、「生き支度」でもある

終活カウンセラーの生みの親として、全国各地で終活の考え方を普及する武藤頼胡さん。今回は、現代人における終活やそのあり方、そして終活を通じた別れについて語ってくれました。

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自分にとっての終活

—武藤さんは、終活をどのように捉えていますか?

終活をお葬式やお墓の準備だと考える方は多いと思います。しかし、終活は「死に支度」であるとともに「生き支度」でもあります。人生100年時代。長生きすることにリスクを感じるのではなく、今をより良く生きるため、先の不安について考えていく。それが終活だと考えています。

—現代において、なぜ終活が必要となったのでしょうか?

昭和の時代は、死後の準備は地域全体で取り組むものでした。そのため、故人が生前に準備をしていなくとも、問題なくお通夜や葬儀が執り行われました。ところが、現代は核家族世帯の増加や人口減少等の社会背景から、死後のことは地域ではなく、自分で考える時代へと変わりました。この変化から、終活が必要になったのだと思います。

—終活について、考えてはいても、実際に行動に移す人は少ないように感じます。

2022年に終活カンセラー協会と相続診断協会が終活に関わる市場調査を実施しました。その調査では、全体の4割近くが終活の相談をしたいと考えていることがわかりました。しかし、回答者の多くが悩みを抱えつつも、終活に取り組めていないのが現状です。

また、同調査によると、相談したい悩み事の1位が「死後手続き」。おそらく残された家族に面倒をかけたくないのでしょう。悲しい話ですが、これが現実です。

—終活が必要な時代にも関わらず、それを学ぶ機会が少ないようにも思います。

世代によっては、「死を語るなど、縁起でもない」という教えから、終活を学ぶ機会なんて、ほとんどなかったはずです。終活は世代に関わらず、大事な学びです。個人的には、終活が必修科目として、学校現場まで広がってほしいと思っています。

—私たちは、終活を何から始めるとよいのでしょうか?

まずは終活の情報を得ることから始めてみてください。本を読んだり、セミナーに参加したり、それらも立派な終活です。大事なことは、自分にとっての終活を考えることです。残りの人生をどう生きたいのか。自分に聞きながら、終活に意識を向けてみるとよいと思います。

温かさを感じる空間

—印象に残る別れはありますか?

終活カンセラー協会の会員さんとのお別れですね。60代後半の男性の方で、協会では終活インストラクターとして活動していました。そんな彼が、突然事故で亡くなりました。

奥さまから連絡をいただいたとき、最初は何を言っているかわらかなくて。昨日まであんなに元気だったのに。ショックというより、理解ができない状態でした。

—最期はどのような別れだったのでしょうか?

お葬式では、式場に入りきらないほどの参列者がいらして、お通夜と合わせて400名が参列していたそうです。奥さまからの喪主挨拶では、故人のエンディングノートの「大切なもの」の欄に「家族」と大きく書かれていたというお話がありました。その文字を何重にもぐるぐると丸で囲んでいたそうです。それを見た奥さまからは「本当に家族をとっても大事にする主人でした」と。この言葉から、いいお葬式だなと感じましたね。

—ご家族とはお話しましたか?

奥さまからは「主人は本当に終活一色でした」とお話していただきました。お通夜やお葬式の準備など、ご家族は何も困らなかったようです。生前にいろんなことを家族に話していたからこそ、残されたご家族も安心してお見送りすることができたのではないでしょうか。

どう考えても、明日、亡くなるような方ではありませんでした。それでも何があるかわかりません。そのときに終活を進めていたことで、故人が望む、そして残された家族にも負担のない、いいお葬式になったのだと思います。目で見ただけではなく、その場にいるだけで温かさを感じる空間。それがいいお葬式だと感じました。

プロフィール

武藤 頼胡(むとうよりこ)
1971年生まれ、静岡県三島市出身。(一社)終活カウンセラー協会代表理事、リンテアライン株式会社代表取締役社長、(一財)葬務事務振興会理事。終活カウンセラーの生みの親。『終活』という考えを普及するべく、全国の公民館や地域包括支援センターでのセミナー講師を担う。テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数。自身も終活カウンセラーとして、毎月街頭でのアンケート活動を実施する。「全てのものとコミュニケーションの起きる場に」をモットーに同じ立場、同じ歩調を大切に日本の高齢者を元気にする活動に励む。

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