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お金・お家のこと

カードローン契約者が死亡したら債務は免除される?相続人が知っておくべき注意点を解説

カードローン契約者が死亡したら債務は免除される?相続人が知っておくべき注意点を解説

家族がカードローンの返済中に亡くなった場合、未払いの債務は免除されるのでしょうか。相続トラブルを防ぐためにも、債務の取扱いについて知っておくことが大切です。今回は、カードローン契約者が死亡した場合の相続人の対処法や注意点について解説します。

監修者 SUPERVISOR
公認会計士/税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 岸田 康雄

平成28年度経済産業省中小企業省「事業継承ガイドライン」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施作研究調査会「事業継承支援専門部会」委員、東京中小企業診断士委員会「事業継承支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・デリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルネスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業継承から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業継承とM&A業務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業継承コンサルタント業務を提供している。

カードローン契約者が死亡した場合、債務は免除されない

カードローン契約者が死亡した場合、残った債務は免除されません。基本的には、契約者の相続人が債務を引き継いで返済することになります。まずは、カードローン契約者が死亡した場合の債務の取扱いについて見ていきましょう。

基本的には配偶者や子供などの相続人が債務の支払い義務を引き継ぐ

家族が亡くなった場合、故人が所有していた財産は子供などの相続人が引き継ぎます。相続の対象となるのは、預貯金や不動産といったプラスの財産だけではありません。

借金などのマイナスの財産も、プラスの財産と一緒に相続します。マイナスの財産は受け取らず、プラスの財産だけを相続することは認められません。カードローン契約者が死亡した場合、残った債務は原則として相続人が債務の支払い義務を引き継ぎます。

相続人はどのように決まるのか

相続人の範囲は民法で定められており、死亡した人の配偶者は常に相続人です。配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

法定相続人の順位(配偶者以外)

  • 第1順位:死亡した人の子供(子供が既に死亡しているときは孫などの直系卑属)
  • 第2順位:父母や祖父母(死亡した人の直系尊属)
  • 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに死亡しているときはその人の子供)

例えば、「夫、妻、子二人」の四人家族で夫が亡くなった場合は、妻と子の二人が法定相続人です。 また、民法では法定相続分(遺産の分割割合)についても定められています。配偶者と子供が相続人の場合、配偶者と子供で2分の1ずつ相続します。妻と長男、次男が法定相続人であれば、法定相続分は妻が2分の1、長男と次男が4分の1ずつとなります。

なお、被相続人(亡くなった人)が遺言書を残している場合は、法定相続人以外の人も相続人になることが可能です。

一括返済を求められる場合もある

カードローン契約者が死亡した場合、金融機関が相続人に対して一括返済を求めることもあります。カードローンの契約規定において、相続の開始を期限の利益喪失事由とする条項が盛り込まれていることがあるからです。

期限の利益とは、期日が到来するまで債務を返済しなくてもよい権利を意味します。相続が発生した場合、故人の義務は相続人にそのまま引き継がれるのが原則であるため、分割で返済すれば問題ありません。

しかし、期限の利益喪失条項がある場合に債務者(相続人)は期限の利益を失うため、一括返済する必要があります。相続人が返済資金を用意できない場合、相続した財産を返済に充てたり、相続自体を放棄したりすることになりかねません。

ただし、分割など返済方法の相談を金融機関と行うことは可能です。また、金融庁は顧客本位の観点から、全国銀行協会などに対して相続の開始を理由に一括返済を求めないように要請しています。

団体信用生命保険に加入していれば債務は免除される

団体信用生命保険(団信)とは、ローン契約者に万が一のことが起こった場合、保険金で債務が弁済される保険です。カードローン契約者が団信に加入していれば、債務は免除されます。

団信付きのカードローンは少ないものの、一部の金融機関では提供しています。カードローン契約者の死亡により債務を相続する可能性がある場合は、団信の有無を確認しておくといいでしょう。

カードローン契約者が死亡した場合の相続人の対処法

カードローン契約者が死亡した場合、相続人は状況に応じて最適な対処法を選択する必要があります。具体的には、以下三つの選択肢があります。

1.相続財産で債務を返済する

カードローンの債務を相続する場合は、相続した財産で返済するのが一般的です。債務よりプラスの財産のほうが多い場合は、カードローンの債務を返済しても手元に財産が残ります。相続した預貯金などで返済できるのであれば、一括返済を検討するとよいでしょう。

2.相続資産より債務が多い場合は「相続放棄」を検討する

上述した通り、相続ではプラスとマイナスの財産を一緒に引き継ぐ必要があります。相続する資産よりも債務のほうが明らかに多い場合は「相続放棄」を検討しましょう。相続放棄とは、被相続人の権利や義務を一切引き継がないことです。相続放棄をするとプラスの財産を受け取れなくなりますが、カードローンの返済義務もなくなります。

相続放棄のやり方

相続放棄は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述しなくてはなりません。手続きの際は「相続放棄の申述書」のほか、「被相続人の住民票除票(または戸籍謄本)」「申述人(相続放棄をする人)の戸籍謄本」などの書類を準備します。

相続放棄は他の相続人と共同で申述する必要はなく、自分の判断で行うことが可能です。少しでも相続財産を使ってしまうと、相続放棄はできなくなるため注意しましょう。

3.財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」も選択肢

限定承認とは、プラスの財産の範囲内で債務を引き継ぐ方法です。故人が残した財産や債務がどの程度あるか不明で、財産が残る可能性がある場合に有効といえます。

仮に多額の債務を抱えていることが分かっても、相続した財産を超える債務を負担する必要はありません。プラスの財産のほうが多かった場合は、債務を返済しても手元に財産が残るため、金銭的な損失を回避できます。

限定承認のやり方

限定承認は、相続を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述しなくてはなりません。また、相続人全員が共同して行う必要があります。相続放棄とは異なり、一部の相続人だけで申述できないため、他の相続人の同意を得るのに苦労するかもしれません。

手続きの際は「相続放棄の申述書」のほか、「被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本・住民票除票」「申述人全員の戸籍謄本」などの書類を準備します。

なお、相続放棄をした人は、相続人ではなかったものとみなされます。相続放棄をした人がいる場合は、その他の相続人全員で限定承認の申述を行います。

カードローン契約者の死亡に備えて相続人が知っておくべき注意点

Photo by www.cic.co.jp

ここでは、カードローン契約者の死亡に備えて、相続人が知っておくべき注意点を四つ紹介します。

カードローンの支払いを放置しない

相続で故人にカードローンの債務があることを知った場合は、「借金を負担したくない」と思うかもしれません。しかし、支払いを放置するのは避けるべきです。

カードローン契約者が死亡すると相続人に返済義務が生じるため、支払いに応じないと信用情報に記録されてしまいます。信用情報とは、金融機関が顧客の信用(返済能力)を判断するための情報です。債務の延滞歴などが記録されると、新たな借入やクレジットカードの申し込みなどができなくなる恐れがあるため注意しましょう。

相続放棄をする場合は他の相続人に相談する

プラスよりマイナスの財産のほうが明らかに多く、相続放棄をする場合は、申述する前に他の相続人に相談しましょう。相続放棄をすると、他の相続人がカードローンの債務を引き継ぐことになります。何も相談せずに相続放棄をすると、他の相続人の負担が増えるため、親族との関係が悪くなる恐れがあります。

相続放棄は単独で行えますが、トラブルを防ぐためにも、他の相続人と相談した上で手続きをすることが大切です。

相続後に督促状が届く可能性もある

故人がカードローンを利用していた場合、相続手続きが終わった後に金融機関から督促状が届く可能性もあります。相続はプラスの財産だけを取得できないため、基本的には相続人がカードローンの債務を返済しなくてはなりません。一括返済が難しい場合は、金融機関と返済方法について相談しましょう。

債務を負担したくない場合は、相続放棄ができる可能性もあります。相続放棄は相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に申述する必要がありますが、3ヶ月を経過した後も特別な事情があれば、相続放棄の申述が受理されるかもしれません。

特別な事情とは、相続財産の調査において、カードローンの債務の有無を明らかにすることが著しく困難であったと判断されるケースです。個別に判断する必要があるため、まずは専門家に相談しましょう。

対処法が分からない場合は専門家に相談する

相続で故人にカードローンの債務があることが発覚し、対処法が分からない場合は、弁護士などの専門家に相談するのが確実です。

相続人が返済できない場合は相続放棄や限定承認が選択肢になりますが、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に申述しなくてはなりません。さまざまな書類を準備する必要があり、手続きも複雑です。特に限定承認は他の相続人と共同で行うため、専門知識がない個人で行うにはハードルが高いといえます。

状況によって最適な対処法は異なるため、不安な場合は専門家に相談するのが安心です。

カードローン契約者が死亡したら相続人に債務返済義務が生じる

この記事のまとめ

  • カードローン契約者が死亡しても債務は免除されず、相続人が返済義務を負う
  • 配偶者は常に相続人となり、配偶者以外は①子②父母または祖父母③兄弟姉妹の順で配偶者と一緒に相続人となる
  • 相続の開始によって金融機関からカードローンの一括返済を求められることもあるが、返済方法の相談は可能
  • プラスの財産より債務のほうが明らかに多い場合は「相続放棄」を検討する
  • 故人が残した財産や債務が不明な場合は、プラスの財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」が選択肢としてある
  • カードローンの支払いを放置すると信用情報に記録され、新たな借入やクレジットカードの申し込みができなくなることもある
  • 相続でカードローンの債務が発覚し、対処法が分からない場合は弁護士などの専門家に相談する

家族がカードローンの返済中に死亡した場合、原則として相続人に返済義務が生じ、債務が免除されることはありません。相続人が返済できない場合は、相続放棄や限定承認が選択肢です。ただし、申述期間が限られており、さまざまな書類を準備する必要もあります。相続人だけで対処するのが難しい場合は、なるべく早く専門家に相談しましょう。

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