お焚き上げの費用相場は?遺品整理の際にはいつ・誰にどうやって頼むかも詳しく解説

お焚き上げとは故人の遺品を供養するためにご祈祷や読経をした後、焼却する宗教的儀式です。しかし、初めて行う場合は、いつ誰に頼むのか、費用ややり方など分からないことも多いのではないでしょうか?本記事では、お焚き上げの依頼方法からやり方、費用相場まで詳しく解説します。
お焚き上げとは?

まずは、お焚き上げの基本的な内容やお焚き上げを行う時期について解説していきます。
神社やお寺で行われる宗教的儀式
お焚き上げとは、神社やお寺で行われる宗教的儀式です。故人の思いがこもっていてそのまま捨てるのは難しいものを、神社やお寺でご祈祷や読経をしていただき浄化し、その後に焼却して浄火することとされています。
仏教と神道では解釈が異なり、仏教は「思い出の品を故人に返す儀式」を指すのに対し、神道は「火の神様の力を借りて天に還す儀式」を指します。どちらも「魂が宿っているものを宗教的儀式で供養して焼却する」という点は同じです。
仏教においては、故人の魂が宿ったものをお焚き上げで供養することには、「天界でも故人が不自由なく暮らせるように」という思いを込められているとされています。
四十九日法要が終わってから行うのが一般的
故人の遺品整理は四十九日法要が終わってから行うのが一般的であるため、お焚き上げもその後に行うのがよいでしょう。
ただし、故人が賃貸住宅で暮していた場合など四十九日法要よりも早く住居を明け渡さなくてはならない可能性もあります。その場合は、葬儀や初七日法要などが終わり、落ち着いてから遺品整理を開始するとよいでしょう。
お焚き上げは必要なの?

故人の遺品整理で捨てられないものに対して行うお焚き上げですが、「本当に必要なの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。ここからは、お焚き上げを行った方がよい場合と行わなくてもよい場合について解説します。
慣習を大切にしたい・菩提寺があるといった場合は行った方がよい
日本では古くから、遺品や人形などに魂が宿っていると考え、お焚き上げをして供養する慣習があります。そのため、仏壇や位牌、お守りなども同じようにお焚き上げが必要とされてきました。
故人の思いがこもった品をそのまま捨ててしまうのは忍びないと思っていても、部屋を明け渡さなくてはならない、保管する場所がないなどの理由で処分しなければならないこともあるのではないでしょうか?
そのため、慣習を大切にしたい、菩提寺があるなどの場合は、お焚き上げで供養すれば安心して遺品整理ができるでしょう。
無宗教の場合は行わなくてもよい
お焚き上げは遺族の心の負担を軽くするために行うものでもあるため、必ず行わなければいけないというわけではありません。そのため、無宗教の場合はお焚き上げをしない方も多いです。
お焚き上げの依頼方法

お焚き上げはお寺や神社で行われる宗教的儀式ですが、誰に・どうやって依頼したらよいのでしょうか?
お寺や神社に依頼
お寺や神社にお焚き上げを直接依頼する場合、持ち込み・郵送・自宅に来てもらうなどの方法があります。
ただし、お焚き上げを行うお寺や神社が減少傾向にあることや、月一回や三か月に一回などの合同供養としている場合も多いです。そのため、お焚き上げを行っているか、行っている場合は次にお焚き上げが行われるのはいつなのかを事前に確認する必要があります。
遺品整理業者に依頼
遺品整理業者に故人の遺品整理を依頼した場合、お焚き上げも行ってもらえることが多いです。遺品整理サービスに合同供養が含まれている業者も多く、希望すれば個別供養のオプションが利用できる場合もあります。
遺品整理後に業者が手配をしてくれるため、自分でお寺や神社に依頼する必要がありません。遺品整理の際に、お焚き上げしたい品の引き取りも行ってくれるため、遺品の数が多い方や自宅近くにお寺や神社がない方などに向いています。
お焚き上げ業者に依頼
お焚き上げの専門業者に依頼する方法もあります。専門業者のホームページから、封筒や箱のサイズを指定して申し込むシステムです。自宅に届いた封筒や箱に遺品を入れて送り返すと、お焚き上げ供養をしてもらえます。
遺品整理を遺族だけで行い、お焚き上げのみ依頼したいという場合におすすめの方法です。封筒や箱のサイズで料金が異なるため、遺品の数が少ない場合、写真や手紙を整理したい場合などに向いています。
葬儀社に相談
故人や遺族の信仰している宗教や宗派のお寺が近くにない場合は、葬儀社に相談してみましょう。葬儀社のネットワークを利用して、お焚き上げを行っているお寺の情報が得られる可能性があります。
近年では、お焚き上げの依頼を受けている葬儀社も増えているため、一度問い合わせてみるのもよいでしょう。
お焚き上げの供養方法

お焚き上げの依頼方法は4つありましたが、お焚き上げの供養方法は合同供養・個別供養の2つです。ここでは、それぞれの違いを紹介します。
合同供養
合同供養とは、他の方の遺品と一緒にお焚き上げしてもらう供養方法です。月一回、三か月に一回など定期的に行われていることが多くなっています。
お寺や神社に直接持ち込む、もしくは郵送を利用する方法と、遺品整理業者やお焚き上げ専門業者、葬儀場などで対応してもらう方法など、依頼方法はさまざまです。また、合同供養する場合はお焚き上げに立ち会えないことがほとんどです。
人形やぬいぐるみ、衣類などお寺や神社に持ち運びしやすいものや、整理する遺品があまり多くない場合などに向いています。
個別供養
個別供養とは、他の方の遺品とは混同せず、個別にお焚き上げをしてもらう供養方法です。合同供養と同様、お寺や神社に直接持ち込むか郵送を利用する、または遺品整理業者やお焚き上げ専門業者、葬儀場に対応してもらうなどの依頼方法があります。
他の方と一緒にお焚き上げするのではなく、故人のためだけに行いたい方におすすめです。また、個別供養の場合は遺族が希望すればお焚き上げに立ち会える場合が多いです。
お焚き上げの費用相場

お焚き上げの依頼方法や供養方法はさまざまあるため、それぞれ費用相場が異なります。ここでは、お寺や神社に依頼した場合のお布施やご祈祷の費用相場と、遺品整理業者やお焚き上げ業者の費用相場を見ていきましょう。
合同供養の費用相場は3千~1万5千円程度
合同供養の費用相場は、3千~1万5千円程度とされています。お寺や神社、宗派によっても費用は異なるため、事前の確認が必要です。
定期的に行われている合同供養は無料で行ってくれるお寺や神社もあります。
個別供養の費用相場は1~10万円程度
個別供養は、個別にお焚き上げしていただくため、費用相場も1~10万円程度と高めになります。お寺や神社への持ち込みだけでなく、郵送などでも受け付けてもらえることが多いです。
遺品整理業者はセット料金に含まれているケースが多い
遺品整理業者では、お焚き上げの費用がセット料金に含まれているケースが多いです。その際の費用は、遺品の量や部屋の広さによって費用が異なります。
一般的な1Kや1Rであれば3万5千円〜で、2LDKなどの広めの部屋であれば14万円〜とそれなりの費用がかかります。
ただし、個別供養を希望する場合は別途費用が必要になる可能性もあるため、見積りのときに確認しておきましょう。
お焚き上げ業者の費用相場は2千~1万円程度
お焚き上げ業者の場合は、遺品の量によって費用は異なり、お焚き上げの相場は2千~1万円程度とされています。封筒や箱の大きさによって料金が設定されており、それぞれの業者でもかかる費用が異なるため、比較検討してから依頼するのがよいでしょう。
お焚き上げを行う際の注意点

ここまでは、お焚き上げの方法や費用を紹介してきましたが、お焚き上げする際には注意しておきたいこともあります。お焚き上げを依頼する前にチェックしておきましょう。
仏壇や位牌は閉眼供養が必要
仏壇や位牌を整理する前には、閉眼供養が必要です。お焚き上げは必ずしなくてもよいですが、仏教では仏壇や位牌には魂が宿るとされているため、魂を抜いてから処分します。
ただし、仏教徒ではない場合、または仏壇や位牌に魂が宿るという考え方をしない浄土真宗の場合は、閉眼供養をする必要はありません。浄土真宗は、魂抜きの代わりに「遷仏法要」という読経の儀式が行われます。
お焚き上げできないものがある
お焚き上げは、遺品を燃やす儀式であるため、受け付けてもらえないものもあります。一般的に、パソコンやプラスチック製品などの不燃物や有害物質が発生するものを燃やすのは、お焚き上げとして受け付けてもらえないため注意しましょう。
お焚き上げは適切な料金と納得のいく方法で行いましょう

この記事のまとめ
- お焚き上げは神社やお寺で行われる故人の遺品を供養するためにご祈祷や読経をした後、焼却する宗教的儀式
- 一般的にお焚き上げを行う時期は四十九日法要が終わってから
- お寺や神社、遺品整理業者やお焚き上げ業者などに依頼、葬儀社へ相談などの依頼方法がある
- お焚き上げの供養方法は、合同供養・個別供養の2つ
- 不燃物や有害物質が発生するものは受け付けてもらえない
お焚き上げは、必ずしなくてもよいですが、迷っているのであれば処分してから後悔することのないようにしっかりと検討しましょう。お焚き上げの方法や依頼先、費用などもさまざまなため、事前に調べてから依頼するようにしましょう。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。