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再雇用制度とは?必要性から制度内容、手続きの仕方まで分かりやすく解説

再雇用制度とは?必要性から制度内容、手続きの仕方まで分かりやすく解説

定年を間近に控えると、老後の働き方について真剣に考える機会が増えると思います。近年、老後の働き方として主流になりつつあるのが、再雇用制度を利用して現在勤めている企業に継続勤務する方法です。そこで今回は、再雇用制度の詳しい内容やメリット・デメリット、手続きの方法などを分かりやすく解説していきます。

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再雇用制度とは?

少子高齢化に伴って働き手が不足した現代では、定年を迎えた高齢者を積極的に活用しようという動きが強まっています。そんな中注目を集めているのが、企業にも従業員にもメリットがある再雇用制度です。ここからは、再雇用制度の意義や制度が広まった理由について説明します。

再雇用制度は定年後も同じ会社で働く制度

再雇用制度とは、定年退職した従業員ともう一度雇用契約を結ぶ制度です。高齢者の場合は、定年後に継続して働く意思があれば、これまで勤めていた企業と再度雇用契約を結び直すことができます。

2021年の厚生労働省のデータでは、高齢者の継続雇用制度を導入している企業は全企業(166,415社)のうち71.9%と発表されました。このことから、大企業だけでなく中小企業でも高齢者を継続雇用する流れが強まっているといえるでしょう。

再雇用制度が広まった背景

定年を迎えた従業員を再雇用する制度は古くから存在しましたが、2013年に「高年齢者雇用安定法」が改訂されたことで、継続勤務を希望するすべての従業員が再雇用の対象となりました。そうした背景から、再雇用は高齢者にとって主流な働き方となっています。

また、2021年に「高年齢者雇用安定法」が改訂され、高齢者の雇用拡大のために企業は以下のいずれかの措置を取ることを努力義務としました。

高年齢者就業確保措置(2021年4月施行)

  1. 70歳までの定年年齢の引き上げ
  2. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
  3. 定年制の廃止
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に「事業主が自ら実施する社会貢献事業」または「事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業」の事業に従事できる制度の導入

上記に対応する措置として、再雇用制度を選択する企業が増加しています。

高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

勤務延長制度との違い

同じ企業で継続して働く方法として、勤務延長制度も存在します。再雇用制度と勤務雇用制度の違いは、退職手続きを行うかという点にあります。

再雇用制度は、定年後に退職手続きをすませてから再度雇用契約を結び直しますが、勤務延長制度は退職手続きをせずに継続して雇用します。勤務延長制度では、雇用契約を結び直すステップを挟まないため、雇用形態や賃金、仕事内容はこれまでと変わらないケースが多いです。

再雇用制度で働くメリット

ここからは、高齢者が再雇用制度を利用して働くメリットを紹介します。老後の働き方で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

慣れ親しんだ仕事を続けられる

定年後に新しい仕事に挑戦するのは、ハードルが高く感じる方が多いでしょう。再雇用制度を利用すれば、これまでと同様の仕事を続けられる可能性があります。一から仕事を覚える必要がないことは、労働者側の大きなメリットです。

また、現在の仕事にやりがいを感じている場合は、仕事を引退することに寂しさを感じるものです。今の仕事が気に入っている方にも、継続して勤務できる再雇用制度はメリットのある制度です。

定年後に職探しをしなくてよい

定年後に仕事を探そうと思っても、希望通りの求人がなかなか見つからない可能性があります。就職先が見つからないまま月日が過ぎ、貯金を切り崩さなければならないことも少なくありません。

そうした就職難民にならないためにも、自分を必要としてくれる場所で働き続ける方法は有効です。慣れ親しんだ職場であれば、新しく仕事を覚えることも人間関係をイチから構築する必要もありません。

人間関係を再構築しなくてよい

再雇用制度を利用するメリットとして、すでに人間関係が構築された環境で働けることが挙げられます。顔見知りの社員がいる環境で勤務できるので、人間関係のストレスは比較的感じにくいでしょう。

新しいコミュニティーで関係を構築することが苦手な人にとっては、再雇用制度はメリットのある制度です。

厚生年金の受給額が増える

再雇用制度を利用して働き続けると、将来受け取れる年金受給額が増加するメリットがあります。厚生年金は加入している期間が長いほど、受け取れる年金額が増加する仕組みになっているからです。

そのため、再雇用後も厚生年金を収め続けていれば、結果として将来受け取れる年金額が増加します。ただし、厚生年金の加入条件は労働時間や賃金によっても異なるため、自分が被保険者に該当するかは勤務先に確認する必要があります。

再雇用制度のデメリット

再雇用制度は従業員や企業にとってメリットのある制度ですが、その一方でデメリットも存在します。納得して働くためにも、あらかじめデメリットも把握しておきましょう。

雇用形態や給与が変わる可能性がある

再雇用制度とは、定年前と同じ条件で雇用することを保証している制度ではありません。そのため、再雇用後に雇用形態や給与が大きく変わる場合もあります。たとえば、これまで正社員だった人が再雇用後はパートになるケースも少なくありません。

また、雇用形態が変わったことで給与条件が時給制になったり、ボーナスの支給対象外になったりするケースもあります。これまでと同じ条件で働けない可能性があることは、再雇用制度のデメリットとして押さえておきましょう。

役職から外されてやりづらさを感じる

再雇用制度を利用して雇用契約を結び直した結果、元の役職を外されるケースもあります。企業側は、世代交代をして若い人材に経験を積ませたいと考えるのが一般的です。

そのため、これまで管理職だった従業員が再雇用後は役職を外されるケースも少なくありません。役職を外されることで、これまで部下だった人が自分の上司になる可能性もあるため、やりづらさを感じる人も多いでしょう。

体力的に無理が生じる場合がある

定年後は体力の衰えから、これまでと同じように働くのが困難になるケースもあります。たとえば、重い荷物を運ぶことが多い仕事の場合は、無理して働いたことで腰を痛めてしまうことも考えられるでしょう。

また、持病があって通院が必要な場合は、フルタイムで働くことで通院の時間が確保できなくなるケースもあります。体力的に無理が生じないようにするためにも、雇用契約をする際は業務内容や勤務時間を企業側としっかり交渉しましょう。

再雇用制度の手続きの仕方

ここからは、再雇用制度の手続き方法をステップごとに解説します。どのような流れで交渉すればよいのか分からない方は、ぜひ参考にしてください。

会社へ再雇用の意思を伝える

一般的に、定年が近付いた従業員には企業側から継続雇用の意思確認が行われます。定年を迎える前に個別で面談する場合が多いため、継続して働きたい場合は再雇用を希望している意思を伝えましょう。

企業によっては、再雇用を希望している旨を書面として残すために「再雇用希望申出書」の提出を求められるケースもあります。提出を求められた場合は、必要事項を記入して期日までに提出しましょう。

仕事内容や労働条件についての面談をする

企業側に再雇用の意思を伝えた後は、再雇用後の雇用条件について面談をする流れになります。面談では、雇用形態や給与、勤務時間、仕事内容など詳しい労働条件を話し合います。一般的には企業側から労働条件を書面で提示されるケースが多いため、納得して働ける条件になっているかきちんと確認しましょう。

また、働き方について希望があれば、従業員から交渉することも可能です。フルタイムでの勤務が難しい場合や仕事内容が体力的に厳しい場合など、自分にとって不都合な条件があれば相談してみましょう。

社会保険などの諸手続きをする

雇用条件が確定したら、企業の担当者が再雇用の手続きを進めていきます。雇用保険と労災保険は再雇用後の手続きは不要ですが、健康保険と厚生年金に関しては一度資格を喪失した後に再度資格取得する場合があります。

企業側から資格喪失届や資格取得届、健康保険被保険者証の提出を求められたら、必ず期日までに提出しましょう。

再雇用制度に関する注意点

最後に、再雇用制度を利用する際の注意点を紹介します。トラブルなく企業側と交渉するためにも、あらかじめチェックしておきましょう。

条件交渉で会社と揉めることがある

再雇用制度のデメリットとして、定年前と労働条件が変化する可能性について説明しましたが、そのことをきちんと把握していないと後々会社側と揉めてしまうことがあります。

条件に納得できない場合は従業員から交渉する権利はありますが、一方的に自分の要求を通そうとすると会社側との関係性が悪くなります。円満に手続きを進めるためにも、会社側の要望にも耳を傾けるようにしましょう。

退職金を受け取るタイミングを確認する

再雇用制度を利用して継続勤務をする場合は、再雇用前に退職金を受け取るのが一般的です。定年を迎えた時点でこれまでの雇用契約が切れるため、再雇用前までの勤続年数をもとに退職金が支払われます。

ただし、企業によっては再雇用契約終了後にまとめて退職金を支払うケースもあります。退職金請求権の時効は5年と定められているため、再雇用時に退職金について説明がなかった場合は、受け取るタイミングを事前に確認しておきましょう。

65歳を過ぎた後の働き方についても考える

60歳を定年としている企業では、再雇用制度を利用して継続勤務できる期間は65歳までと定めているケースが多いです。そのため、65歳以降も働き続けたい場合はその後の働き方についても考えておきましょう。

長く働くための方法として、定年を設けていない企業に転職する方法があります。契約終了後に慌てないためにも、あらかじめ転職先の候補をリストアップしてみてはいかがでしょうか?

再雇用制度の内容を把握して自分にあった働き方を選ぼう

この記事のまとめ

  • 再雇用制度とは、定年後に再度雇用契約を結び、同じ職場で働く制度のこと
  • 再雇用制度で利用すれば、慣れ親しんだ環境で仕事ができる
  • 一方、雇用形態や役職の変更などといったデメリットも存在する
  • 再雇用制度を利用する際は、手続き方法をあらかじめ確認しておくとよい
  • 再雇用制度を利用する際は、雇用条件や退職金についてのあらかじめ確認し、65歳以降の働き方についても考えておく必要がある

再雇用制度とは定年後も同一企業で働き続けるための制度で、従業員が希望すれば再雇用契約を結ぶことができます。再雇用制度で働き続ければ、老後の資産形成や生きがいにもつながるため、働く意思のある方は前向きに検討しましょう。手続きの方法については、本記事で紹介したステップをぜひ参考にしてください。

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