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特集

花祭壇最新トレンド〜葬儀を彩る空間装飾~

花祭壇最新トレンド〜葬儀を彩る空間装飾~

※2024年末時点のインタビュー記事となります。

コロナ禍を経て、葬儀の在り方は大きく変化した。家族葬や直葬などが更に増え、葬儀の小規模化、略式化が進んでいる。今回、葬儀には欠かすことのできないアイテムである「花」にフォーカスして、生花祭壇のプロフェッショナルに、2024年の振り返りと今後の傾向について取材を行なった。

インタビューに答えていただいたのは、東京都世田谷区に本社を構え、60年以上にわたり生花祭壇の葬儀装飾花事業を提供する株式会社ユー花園の中台哲也氏だ。

2024 年を振り返って

祭壇 イメージ

コロナ禍と比べると、大規模な葬儀やお別れの会などを執り行う方は回復傾向にありますが、葬儀規模の縮小は進んでいます。小規模な家族葬や、お通夜などを行わない一日葬を選ばれる方が増え、会葬者20 名程度の小規模な祭壇が多かったですね。

花の種類や祭壇のデザインで、故人への想いを表現されるお客様は増加傾向にあります。花材の指定、配色のこだわりなど、具体的なオーダーをいただくケースも増えてきました。

葬儀における花のトレンドとしては、白菊離れが進んでいます。カーネーションやトルコ桔梗などの洋花供花・洋花花祭壇を選択されるかたが全体納品件数の8 割を超えています。

「葬儀らしくしたくない」、「おしゃれにしたい」、「明るくしたい」といったご要望をいただくこともしばしばです。

しかし花祭壇・供花には、菊でなければ表現できないデザインも存在します。菊をお好みでないという方でも最終的にはデザイン性で選ばれるケースが多いような気もいたします。

また、故人が男性であっても、ピンクや黄色など明るめのお花を選ぶ方も徐々に増えてきています。男性だから白・ブルー、女性だから白・ピンク、というわけではなく、全体的に明るい色目を好む方が増加していることもトレンドの一つです。

花の色に関しては、大変多くのご要望をいただきます。青は男性にも女性にも人気がある色ですが青い花は年間を通して供給が安定していません。そこで、私たちは自社でカーネーションを染めるようにし、人気の青色を年間通してご提供できるようにいたしました。

シルクフラワーを用いた 空間装飾の需要が増加

家族葬や一日葬が多く選ばれる背景には、核家族化や親戚付き合いの希薄化が背景にあるのだと思いますが、会葬者が少なければ、当然、御供花も減少します。従来の花祭壇は、御供花を設置することで、バランスが取れるようなデザインが一般的でしたが、御供花がなくても、スペースを彩ることができる「空間装飾」を選ばれる方が増えています。

後方部分には、シルクフラワー(造花)を使用しています。生花のみではどうしてもデザインに制約がありますが、シルクフラワーを使うことによって、デザインの幅が大きく広がります。

カラーの部分は生花、グレーの部分はシルクフラワーを使用。

葬儀規模の縮小が今後も予測される中で、過不足なく空間を彩るために、シルクフラワーの活用はひとつの手段です。サステナブルの観点においても有効といえます。

もちろん、私たちとしては、「シルクフラワー+生花の空間装飾」だけでなく「生花を使用した装飾」の魅力も高めていく必要があります。お客様のニーズに応えることができる全方位的な商品展開を心がけたいですね。

チームプレーで葬儀を作り上げていく

葬儀は、結婚式とは異なり、花の仕入れ・納品も短期間になるため、カタログには、基本的に通年、仕入れの安定している花材を使った祭壇を掲載しています。

百合や桜など、ニーズがある花は、ある程度決まっています。時期によって、桜は葬儀でのニーズが高いため、調達できる時期に留意するだけでも、お客様のニーズにより応えられるようになるのではないでしょうか。

私たちは、葬儀社様と協調しながら、チームプレイで葬儀を作り上げていくことを大切にし、1 案件ごとに真摯に向き合っています。私たちが提供するカタログを使って、葬儀社様が自信を持って提案し、価値あるお葬式を実現することで、お客様に確かな安心と価値を提供できる関係を築き続けたい、そして、その積み重ねによって、葬儀業界に微力ながら貢献できればと考えています。

プロフィール PROFILE

株式会社ユー花園

フラワーショップ運営やウェディング装花、生花祭壇の葬儀装飾など幅広い花のサービスを展開する企業。花を通じて「お客様の想いを形に」を理念に、首都圏を中心に3 店舗を運営し、法人向けサービスやフラワーコンサルティングの提供も行う。

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