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特集

葬儀×AI業界最前線 多死社会と夜間対応

葬儀×AI業界最前線 多死社会と夜間対応

多死社会を迎える日本。一方で、葬儀はその性質上から、今もなお多くの葬儀社において“夜間の窓口”は人の手に頼られ続けているのが現状だ。24時間対応のための人員確保や、精神的􀉾物理的負担には限界があることから、今葬儀業界全体で、体制の最適化とサービスの質の再定義が求められつつある。葬儀業界のAI活用について、株式会社ディライトの高橋亮さんにお話を伺った。

葬儀業界の“人手不足”は、 “人が来ない”構造的な危機

ディライト高橋氏

日本では今後、死亡者数が年々増加していく一方で、国内の就業人口の加速度的な減少が予測されます。葬儀業界は比較的年齢層が高い業界なため、今後引退が進む一方で若者の参入は極めて少なく、このままでは、死亡者数は増えるものの葬儀を支える人材がいないという、需要と供給の逆転現象が起きかねません。

この状況が続くことで、サービスの質が低下し、葬儀業界全体の価値が失われるという悪循環に陥る恐れがあります。葬儀業界は今、大きな危機に直面しているといえるでしょう。

人がいないなら、AIに任せる 夜間対応の“完全自動化”で救う葬儀業界の未来

若年層の人材が葬儀業界に参入しない主な理由として、「人の死に関わる仕事」という心理的ハードルや土日休めない「働き方の壁」、そして「夜勤の常態化」の3つが挙げられます。葬儀業界では、夜間の電話対応が今もなお人によって支えられており、夜勤の常態化が若者の参入を遠ざける要因の一つとなっています。

一般的な企業では夜間対応をコールセンターに委託することもありますが、葬儀屋にかかってくる夜間の電話は通常のビジネスとは全く次元が異なります。ご遺族は、深い悲しみや混乱の中で電話をかけてくるだけでなく、100万円以上の高額なサービスを即決しなければなりません。

当社では現在、葬儀社の夜間対応を完全無人化できるAI電話対応システムを開発中です。これは「最も難しい“感情の入口”を、AIが担う」非常に難易度の高い取り組みになります。

しかし、葬儀社がAI電話対応システムを導入することで、夜間対応の人員配置が不要になるだけでなく、採用・教育コストの削減、対応品質の均一化、労務問題の解消が実現します。現在日本国内で提供されているAI電話サービスは人の補助レベルにとどまりますが、当社のシステムは完全自動化を目指しています。葬儀業界の未来を救うためには、「AIによる夜間電話対応の完全自動化」が必要不可欠なのではないでしょうか。

私たちは、葬儀業界に特化した人材支援からスタートした会社です。「人の困った」問題では、人材派遣や人材紹介はもちろんですが、AIの活用による業務の効率化を通じて解決します。

「テクノロジーで効率化できること」と「人の心に寄り添うこと」。この両立こそが、これからの葬儀業界に必要な要素なのではないでしょうか。

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