【セレモニーアイテムのトレンド紹介】青色に込められた、永遠の祈り「ムーンダスト」
コロナ禍を経た近年、家族葬や火葬式などのように葬儀を家族のみで執り行うケースが増加し、葬儀の小規模化が進んでいます。葬儀の小規模化に伴い、ご供花は減少傾向にある一方で、故人を送るときに特別感のある花を選びたいというニーズが増加しています。このような背景から、故人への感謝、そして残された人々への祈りを託す「最後の花」としてサントリーフラワーズのカーネーション「ムーンダスト」が高い注目を集めています。
今回は、ムーンダストを取り扱う株式会社ユー花園の中台哲也さんに、ムーンダストのニーズや活用、さらに葬儀業界における花のトレンドなどについてお話を伺いました。
フローラルイベント事業本部 営業本部 本部長 中台 哲也
「花の可能性を信じる」 ユー花園が挑む、葬儀花材の進化と使命感
株式会社ユー花園は、セレモニーの生花装飾から法人、個人向けのフラワーサービスを展開しています。私たちには、ユー花園として“花の可能性”や“ポテンシャル”を信じ、花の価値を最大化したい、という想いがあります。新しい商品展開を通じて、葬儀の価値や演出の幅を広げる挑戦に取り組むことが、葬儀業界の一員として、「新たな切り口」を作ることにつながると信じています。
斬新な視点のデザインで叶える 「葬儀空間の演出のアップデート」
近年は生花の価格高騰や供給不安が続いていることから、私たちは空間装飾の際にシルクフラワーを活用しています。シルクフラワーを活用することで、生花のみでは困難な、会場全体を「お花で満たす」空間演出や制約のない自由度の高いデザインを実現できます。
また、私たちはホテルや結婚式場でのウエディング装飾も手がけていることから、葬儀空間にブライダルのエッセンスを取り入れることも行っています。葬儀の祭壇においては重厚でボリューム感があるものがスタンダードですが、ブライダルのトレンド要素を取り入れることで非日常感、華やかさなどを兼ね備えた空間にアップデートされます。
世界初の青いカーネーション「ムーンダスト」の納棺花
今注目を集めるムーンダストとは
「ムーンダスト」は、サントリーフラワーズとオーストラリアのバイオテクノロジー企業との共同開発で生まれた、世界初の青いカーネーションです。ムーンダストは、サントリーフラワーズが開発した青いバラ「アプローズ」の開発過程で生まれました。
ペチュニアなどに含まれる青色の色素を作る遺伝子を取り込んで開発され、1997年に発売。当社では2014年より主に葬儀向け花材として取り扱いを開始しました。ムーンダストには、ベルベットブルーやプリンセスブルーなどのカラーバリエーションがありますが、どれも神秘的で上品な色合いが特徴的です。
従来、葬儀において青系の花は男女問わず人気が高く、ムーンダストは中でも高い希少性と高級感から注目を集めています。
“見送りのあり方”そのものの価値観の変化 「画一性×白菊」の時代から、「多様性×洋花」へ
かつて日本の葬儀といえば、花の種類は白菊が定番であり、落ち着いた空間が一般的でした。しかし、15~20年ほど前から葬儀における花に多様性が求められる変化が起きています。
いかにも葬儀らしい花ではなく、明るい印象の洋花を求める声が増加しており、洋花は当社のご供花の中でも約7割を占めるほど高い人気です。これは単なる装飾のトレンドではなく、ご遺族の“見送りのあり方”そのものの価値観の変化に伴うものだと考えています。
近年は、家族葬の増加に伴い、ご遺族から「故人の好きだった色や花を取り入れたいという声が増えています。特に青い花は男女問わず人気傾向にあり、当社では、ムーンダストを“青系のおすすめ花材”として積極的に提案・展開しています。
ムーンダストを使った人気商品に、ご家族様向けの特別なご供花がございます。ご家族様で見送る葬儀スタイルにマッチしているのでしょう。
また、近年は直葬が増加していることから、納棺花のご依頼件数が上昇傾向にあり、ムーンダストの納棺花の需要が高まっています。儀式と祭壇がない分「特別なお花を用いて見送りたい」というご遺族の声も増加しています。ご遺族の“見送りのあり方”そのものの価値観が変化している今、故人が大好きだった色・花で見送る「特別」な花として、ムーンダストが選ばれています。
ユー花園は、セレモニーなどの生花装飾デザイン、品質保持、技術向上を通じて葬儀そのものの価値を高めることを目指しています。この想いが、業界全体の価値向上につながっていくと信じています。
今回ご紹介したムーンダストは、当社の関連会社である有限会社ユー企画を通じて仕入れと販売体制を強化しており、全国の葬儀社からの問い合わせに対応可能です。
また、今後は全国へ葬儀用花材のトレンド情報を発信することにも取り組みたいと考えています。ムーンダストにとどまらず、花材の選び方・使い方・見せ方など、私たちの経験からお伝えできることがきっとあると思います。
“ちょっと聞いてみたい”というくらいの軽い気持ちで構いませんので、ご相談いただけたらと思います。業界の皆様と共に、より良い葬儀の形をつくっていけることを願っています。