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お金・お家のこと

【財産評価】相続税法における不動産以外の財産とは?金融資産の種類と評価方法を解説

【財産評価】相続税法における不動産以外の財産とは?金融資産の種類と評価方法を解説

相続税法では、財産評価の原則として、次のような規定が設けられています。国税庁が財産評価基本通達を定めており、財産評価基本通達を理解し、財産評価の方法を理解しておかなければいけません。不動産以外の財産の評価方法について解説します。

監修者 SUPERVISOR
公認会計士/税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 岸田 康雄

平成28年度経済産業省中小企業省「事業継承ガイドライン」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施作研究調査会「事業継承支援専門部会」委員、東京中小企業診断士委員会「事業継承支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・デリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルネスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業継承から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業継承とM&A業務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業継承コンサルタント業務を提供している。

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不動産以外の財産の相続税評価

相続税法では、財産評価の原則として、次のような規定が設けられています。すなわち、「相続または遺贈により取得した財産の価額は、その財産の取得時における時価により、その財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による」というものです。

これに基づいて、国税庁が財産評価基本通達を定めていますので、財産評価基本通達を理解し、財産評価の方法を理解しておかなければいけません。今回は、不動産以外の財産の評価方法について解説します。

不動産以外の財産に関する動画は、こちらをクリックしてご視聴ください

金融資産の種類と評価方法

預貯金の評価

普通預金や通常貯金の評価額は、預貯金の残高です。
一方、定期預金や定額貯金の評価額は、預貯金の残高に、既経過利子を加算して計算されます。既経過利子とは、解約するときに支払われる利子のことですが、所得税および住民税が源泉徴収されるため、これら源泉税を控除した金額を加算します。

定期預金の評価額

定期預金の評価額 = 預貯金残高+(既経過利子の額-源泉税)

上場している公社債の評価

上場している公社債のうち、割引公社債の評価額は、課税時期の最終価格です。
一方、利付公社債の評価額は、課税時期の最終価格に既経過利子を加算して計算されます。既経過利子は、解約するときに支払われる利子のことですが、所得税および住民税が源泉徴収されるため、源泉税を控除した金額を加算します。

上場している利付公社債の評価額

上場している利付公社債の評価額=課税時期の最終価格+(既経過利子の額-)

不動産以外の財産に関する動画は、こちらをクリックしてご視聴ください

上場株式の評価

上場株式、上場投資信託であるETFやREITの評価額は、次の4つの価格の中の最も低い価格によって評価されます。すなわち、課税時期の終値、課税時期の属する月の終値の平均額、課税時期の属する月の前月の終値の平均額、課税時期の属する月の前々月の終値の平均額の4つの価格のうち最も低い価格です。

上場株式の評価は、以下の最も低い価格

① 課税時期の終値
② 課税時期の属する月の終値の平均額
③ 課税時期の属する月の前月の終値の平均額
④ 課税時期の属する月の前々月の終値の平均額

一般的な投資信託の評価

投資信託の評価は、3通りあります。MRFやMMFなどの日々決済型投資信託、一般的な非上場の投資信託、上場投資信託の3つです。
一般的な非上場の投資信託の評価額は、基準価格から、源泉所得税・住民税と解約時の手数料を控除した金額です。

一般的な投資信託の評価額

一般的な投資信託の評価額 = 基準価格 - 源泉税 - 解約時手数料

生命保険契約に関する権利の評価

被相続人が保険料を負担しており、相続開始時にまだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は、相続税の課税財産となります。

例えば、契約者が被相続人である夫、被保険者を妻として生命保険に加入し、保険料の支払いを夫が行っていた場合です。

被保険者である妻は、夫の相続開始時には生存していますので、死亡保険金は支払われません。しかし、生命保険契約に関する権利は、相続開始時における解約返戻金の金額によって評価されます。

ゴルフ会員権の評価

取引相場があるゴルフ会員権の評価額は、通常の取引価額の70%です。

取引相場のないゴルフ会員権のうち株式型の会員権は、株式の評価方法によって評価されます。預託金型の会員権の評価額は、預託金の金額となります。

それぞれの財産について、的確な方法で相続税申告をしよう

この記事のまとめ

  • 相続税法では、財産評価の原則が設けられており、不動産以外の財産も時価に基づいて評価される
  • 預貯金は残高や既経過利子を考慮して評価される
  • 上場している公社債は課税時期の価格や既経過利子を考慮して評価される
  • 上場株式は複数の価格の中で最も低い価格に基づいて評価される
  • 一般的な投資信託は基準価格から源泉税や解約手数料を差し引いた金額で評価される
  • 生命保険契約に関する権利は解約返戻金によって評価される
  • ゴルフ会員権は通常の取引価格の70%で評価されるが、株式型の会員権や預託金型の会員権は別の評価方法が適用される

今回は、預貯金、上場している公社債、上場株式、一般的な投資信託、生命保険契約に関する権利、ゴルフ会員権の相続税評価について解説いたしました。相続税申告の実務において必ず出てきますので、正確に覚えておきましょう。

不動産以外の財産に関する動画は、こちらをクリックしてご視聴ください

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