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特殊清掃ってどんなことをするの?作業内容と依頼前に知っておきたいこと

特殊清掃ってどんなことをするの?作業内容と依頼前に知っておきたいこと

みなさんは「特殊清掃」という言葉を耳にしたことがありますか? 名前だけは知っていても、実際にどのような作業を行うのか詳しくは分からない、という方も多いのではないでしょうか。この記事では、孤独死現場やゴミ屋敷、事件・事故現場など、通常の清掃では対応できない特殊清掃の作業内容を分かりやすく解説します。さらに、依頼時に押さえておきたいポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

監修者 SUPERVISOR
特殊清掃 藤田 隆次

ブルークリーン株式会社 代表取締役
1992年 東京生まれ。奄美諸島出身の父とメキシコ人の母の間に生まれる。都立雪谷高校を卒業後、IT企業(東証グロース上場企業)やリフォーム業を経て起業。米国バイオリカバリー協会から認定を受けた、日本人唯一のバイオリカバリー技術者。

[資格&修了]
・米国バイオリカバリー協会 公認バイオリカバリー技術者
・全米防疫技術研究所(NIDS)マスターズコース修了認定
・公益社団法人日本ペストコントロール協会 1級技術者

1. 特殊清掃とは何か? その定義と必要性

ブルークリーン株式会社の特殊清掃のイメージ
Photo by b-clean.jp

特殊清掃とは、一般的な清掃とは異なり、孤独死現場やゴミ屋敷、事件・事故現場など、特殊な状況や環境下での清掃作業を指します。通常の清掃では対応できない現場において、専門的な知識と高度な技術を用いて行われます。

近年では、特殊清掃の枠を超えた「バイオリカバリー™」と呼ばれるより専門性の高いサービスも登場しています。このサービスは、感染症予防や環境修復といった分野にも対応し、現場の衛生的な復旧だけでなく、周囲の安心を取り戻す重要な役割を果たしています。

特殊清掃が必要とされる背景には、高齢化社会や単身世帯の増加に伴う孤独死の増加や、室内事故、ゴミ屋敷問題など、現代社会の複雑な課題があります。また、悪臭や害虫の発生が近隣住民に迷惑をかけることも多く、迅速で適切な清掃作業が求められるケースが増加しています。

特殊清掃の特徴と役割

特殊清掃の特徴は、高度な技術力と専門機材を用いる点にあります。具体的には、悪臭や汚染物質を根本から取り除くための消臭・除菌技術や、特殊な洗浄剤、オゾン発生器といった専用機材を使用します。

さらに、プライバシー保護や周囲の環境への配慮も重要な役割の一つです。清掃作業では、依頼者やご遺族の心情に配慮し、現場での対応を慎重かつ丁寧に行います。また、近隣住民に影響を与えないよう、迅速かつ目立たない対応が求められます。

特殊清掃は単なる清掃にとどまらず、依頼者や周囲の生活環境を改善し、心の平穏を取り戻すための大切なサービスです。

特殊清掃がなぜ必要とされているのか

特殊清掃が必要とされる背景には、現代社会が抱える課題が大きく影響しています。特に、高齢化社会や単身世帯の増加により、以下のような問題が深刻化しています。

孤独死や室内事故の増加

ご遺体の発見が遅れることで、体液や血液が汚染を広げ、悪臭や健康被害の原因となるケースが増加しています。通常の清掃業者では対応が難しく、専門的な技術が求められます。

ゴミ屋敷問題の深刻化

生活困窮者や収集癖のある方によるゴミ屋敷では、大量のゴミや腐敗物が発生し、害虫や悪臭の原因となるだけでなく、近隣住民とのトラブルを引き起こすことがあります。

これらの問題を放置すると、周囲の環境にも悪影響を及ぼします。悪臭や害虫の発生により近隣住民の生活環境が損なわれ、最悪の場合、自治体からの改善命令や法的トラブルにつながることもあります。そのため、迅速で適切な特殊清掃が社会的に重要な役割を果たしています。

特殊清掃は単なる清掃作業にとどまりません。現場に関わる人々の心理的負担を軽減し、安心して次のステップに進むための環境を整えることがその目的です。さらに、周囲の安全と安心を守り、地域全体の衛生環境を維持する重要なサービスとして注目されています。

2. 特殊清掃を行うメリット:心理的負担軽減と衛生環境の改善

特殊清掃を行うメリットのイメージ

特殊清掃は、単に現場を清掃するだけではなく、依頼者や周囲の環境に多くのメリットをもたらします。以下に具体的なポイントを挙げます。

1 衛生環境の改善

  • 体液や汚染物質を徹底的に除去し、安全で清潔な空間を取り戻します。
  • 悪臭や汚染を根本から解消することで、家族や関係者が安心して現場に向き合える環境を整えます。

2 心理的負担の軽減

  • 清掃を専門業者に任せることで、ご遺族が相続手続きや遺品整理に集中できます。
  • 汚染や悪臭に伴うストレスを軽減し、関係者の方々が心の平穏を取り戻すための扶助的役割を果たします。

3 周囲への影響の最小化

  • 腐敗臭や害虫の発生を抑え、近隣住民に対する悪影響を抑制・回避します。
  • 迅速な対応によって不動産物件の価値低下を防ぎ、地域の安心を守ります。

4 法的リスクの回避

  • 悪臭や汚染の放置に対する自治体からの指導や近隣住民からの苦情を防ぎます。
  • 廃棄物の分別や処理が法律や自治体の条例に準拠して行われるため、依頼者が法律面でのトラブルに巻き込まれるリスクを回避できます。

5 感染症予防

  • 衛生的な環境を保つことで、害虫や細菌の繁殖による健康被害を防ぎます。
  • 専門的な除菌作業により、感染症のリスクを低減します。

3. 特殊清掃の流れと使用される専門機材

特殊清掃の流れと使用される専門機材のイメージ
Photo by b-clean.jp

特殊清掃は、通常の清掃とは異なり、高度な専門技術と機材を用いて行われる作業です。ここでは、現場調査から作業完了までの流れと、使用される機材や技術について詳しく説明していきます。

現場調査から作業完了までの流れ

  1. お問い合わせ・相談:最初に、依頼者からの連絡を受け付けます。電話やメールを通じて現場の状況を聞き取り、特殊清掃が必要な理由や現場の概要を把握します。この段階で、作業内容の大まかな説明や費用の目安を伝えることが一般的ですが、特殊清掃業者によっては、最短で作業が可能な日程を伝えてくれることもあります。
  2. 現場調査:実際に現場を訪問し、汚染状況や作業範囲を詳しく確認します。例えば、体液や血液が付着している箇所、悪臭の原因となる場所、害虫の発生状況などを細かく調査します。また、近隣住民への影響を最小限に抑えるために必要な対策や、不動産管理会社との調整事項についても確認します。これらの情報を基に、具体的な作業計画を立て、見積もりを作成します。
  3. 見積もり提示・契約:現場調査の結果を基に、具体的な作業内容や費用を明記した見積もりを依頼者に提示します。その際、作業に伴う周囲への配慮や対応が必要な場合も説明します。内容に納得いただけた場合、契約を締結し、作業日程を決定します。
  4. 作業準備:清掃に必要な機材や薬剤の準備を行い、作業員に作業手順や安全対策を徹底的に共有します。また、現場の周囲の環境や状況に応じて、作業車両の配置や必要な対応を慎重に計画します。物件の管理者や関係者との事前調整が必要な場合は、その準備も進めます。
  5. 清掃作業:作業スタッフは防護服やマスクを着用し、安全を確保した上で作業を開始します。汚染物質の除去、徹底的な消毒、悪臭の原因となる物質の分解処理を行います。場合によっては床や壁材の撤去が必要になることもあります。作業中には適宜進捗状況を記録し、清掃後の確認に備えます。
  6. 最終確認・報告:作業が完了した後、依頼者と共に現場を確認します。消臭や除菌の効果が適切に出ているか、依頼内容がすべて完了しているかをチェックします。その後、作業報告書を作成して依頼者に提出します。

使用される専門機材や技術

特殊清掃では、現場の状況に応じて以下のような専門機材を使用します。これらの機材は、通常の清掃道具では対応できない環境で力を発揮し、汚染物質の根本的な除去や周囲への影響を抑える役割を果たします。

オゾン発生器:汚染物質が拡散した孤独死現場や長期間放置された部屋では、強烈な腐敗臭が発生します。この機材は、空間全体にオゾンを行き渡らせて臭いの原因となる細菌やカビを分解し、短時間で消臭・除菌を行います。

環境測定器:衛生環境を客観的に評価するために使用されます。例えば、作業前後の空気中の汚染度や表面の衛生状態を測定し、依頼者に安心感を提供します。また、このデータは作業が適切に行われた証拠として報告書に活用されます。

ケミカル洗浄剤:汚染が深刻な場所では、一般的な洗剤では分解しきれない血液や体液などの有機汚染物質が残ることがあります。これらの洗浄剤は、汚染物質を化学的に分解して徹底的に除去するために使用されます。壁や床など素材に応じた薬剤選択が可能で、素材を傷めることなく作業が進められる点が強みです。

保護具:作業員の安全確保が最優先されるため、感染症リスクを軽減する防護服や特殊なマスクを着用します。特に、害虫の多いゴミ屋敷や体液が広がった現場では、作業員の健康を守るための必須装備です。

大型乾燥器:作業後に湿度や温度を調整するために使用します。孤独死現場や水害後の清掃では、湿気が残ることでカビの発生リスクが高まります。この機材は、作業終了後も衛生状態を維持するための仕上げ工程で活躍します。

これらの流れと専門機材を駆使して行われる特殊清掃は、依頼者の心身の負担を大幅に軽減し、安全で清潔な環境を取り戻すために欠かせない作業です。専門業者が持つ高い技術力と経験によって、汚染物質の除去や悪臭の根本的な解消が実現されます。特殊清掃を依頼することで、依頼者は安心して次のステップに進むことができるでしょう。

4. 特殊清掃が必要とされるケース

特殊清掃が必要とされるケース

特殊清掃が必要とされる現場は、日常生活ではなかなか遭遇しない、特殊な状況に限られます。以下に、代表的なケースを3つご紹介します。

1 孤独死現場

高齢化や単身世帯の増加に伴い、孤独死が発生するケースが年々増加しています。特に発見が遅れた場合、体液や血液が広がり、悪臭や害虫の発生が懸念されます。

特殊清掃の役割

  • 汚染箇所の徹底清掃と消毒・消臭作業を行い、現場を安全で衛生的な状態に回復します。
  • 故人の尊厳を守りつつ、ご遺族の心理的負担を軽減するための丁寧な対応が求められます。

2 ゴミ屋敷

生活困窮者や収集癖のある方の影響で、大量のゴミが蓄積した「ゴミ屋敷」が問題視されています。これらの環境では悪臭や害虫が発生し、近隣住民への影響も無視できません。

特殊清掃の役割

  • ゴミの分別や撤去を行い、必要に応じて除菌や消臭作業を実施します。
  • 危険物や腐敗物の適切な処理を行い、室内の衛生環境を回復します。
  • 作業後に再発防止のアドバイスを提供することで、長期的な環境改善をサポートします。

3 事件・事故現場

事件や事故の現場では、血液や体液が床や壁に付着し、健康被害のリスクが高まる場合があります。このような現場では、証拠品の保全や捜査が最優先されるため、警察や関係機関による規制解除後に清掃が行われます。

特殊清掃の役割

  • 規制解除後、汚染箇所を徹底的に除去し、消毒・消臭作業を実施します。
  • 法律や捜査への理解を持ちながら、迅速かつ適切に対応します。
  • 依頼者や関係者が安心できる環境を整え、心理的負担を軽減します。

特殊清掃が必要な現場に共通するポイント

孤独死現場、ゴミ屋敷、事件・事故現場といった状況においては、以下のような対応が重要です。

  • 特殊清掃の役割

    汚染や悪臭の拡大を防ぎ、周囲の環境への影響を最小限に抑える。

  • 安全性の確保

    作業員の安全を守るための適切な機材と手順を活用する。

  • 精神的ケア

    依頼者や関係者の心理的負担を軽減するための配慮ある対応。

    信頼できる専門業者に依頼することで、現場の衛生環境を迅速かつ確実に回復させるだけでなく、依頼者が次のステップに進むための大きな支えとなります。

5. 特殊清掃を依頼する時の注意点

Googleマップのブルークリーン株式会社の口コミ
©2024 Google

特殊清掃を依頼する際には、作業を効率的かつ安心して進めるために、事前の準備や業者選びが重要です。以下では、依頼者がスムーズに対応できるよう、押さえておくべきポイントを紹介します。

信頼できる業者選びのコツ

特殊清掃は、高度な技術力と対応力が求められる作業です。そのため、信頼できる業者を選ぶことが成功の鍵となります。以下のポイントを参考にしてみてください。

1 実績や評判を確認する

業者のホームページや口コミを確認して、過去の実績や利用者からの評価を調べましょう。最近ではGoogleマップの口コミが手軽で参考になります。また、特殊清掃を専門にしている業者を選ぶと、経験が豊富で安心感があります。一方で、副業で特殊清掃を行っている業者は対応力が不十分な場合もあるため、注意が必要です。

2 資格や認定を確認する

特殊清掃に関連する資格や、業界のガイドラインに基づいた認証を持っている業者を選ぶことも重要です。例えば、感染管理や消臭技術に関する資格があると、より専門性の高い作業が期待できます。資格や認証の有無は、業者の信頼性を判断する一つの基準となります。

3 説明が丁寧かどうか

依頼内容について、親切で丁寧な説明をしてくれる業者を選びましょう。特に電話の応対がしっかりしているかは重要なポイントです。初めての依頼であっても、不安や疑問にしっかり答えてくれる業者であれば、安心して作業を任せることができます。

依頼時に準備すべきこと

特殊清掃は、一刻を争うような状況で依頼されることが多いため、スムーズに作業を進めるためには事前の準備が欠かせません。以下のポイントを押さえておくと、業者とのやり取りがよりスムーズになります。

1 現場の状況を把握する

汚染箇所や状態を業者に正確に伝えるため、警察や不動産会社から聞いた情報をメモに残しておきましょう。現場の間取りなども把握しておくと役立ちます。ただし、血液や体液が汚染している場合は危険なため、無理をせず現場の写真を撮る必要はありません。

2 必要な情報をまとめる

作業を依頼する際は、現場の住所や連絡先、作業希望日時、鍵の受け渡し方法などを事前に整理しておきましょう。こうした情報が整っていると、業者がスムーズに対応しやすくなります。

3 作業に必要な許可があるか確認する

事件現場の場合は、警察からの規制解除が前提となります。また、残置物を動かす場合には相続手続きが必要となる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。不明点があれば、業者に相談するのも一つの方法です。

見積もりの確認方法

見積もりをしっかり確認することは、特殊清掃をスムーズに進めるうえで非常に重要です。以下のポイントを押さえて、納得したうえで依頼しましょう。

1 見積内容の内訳をチェックする

作業範囲や使用する機材、人件費など、どの部分に費用がかかるのかを具体的に確認しましょう。見積もりが明確で分かりやすい業者を選ぶことが大切です。

2 追加費用が発生する可能性を確認する

作業の進行中に追加の対応が必要になる場合もあります。その際の費用について事前に業者に確認しておきましょう。また、作業後の現場をどうするかなど、依頼者自身でゴールを決めておくとスムーズです。

3 複数業者から見積もりを取る

料金やサービス内容を比較するために、2~3社から見積もりを取るのがおすすめです。ただし、業者を呼びすぎると混乱してしまう可能性があるため、選定は慎重に行いましょう。

6. 特殊清掃の重要性を理解して安心して依頼しよう

ブルークリーン株式会社の特殊清掃のイメージ
Photo by b-clean.jp

この記事のまとめ

  • 特殊清掃とは、孤独死現場やゴミ屋敷、事件・事故現場など、一般的な清掃では対応できない特殊な状況を解決する作業のこと
  • 特殊清掃を行うことで、依頼者や周囲の安全を守り、清潔で安心な環境を取り戻せるというメリットがある
  • 特殊清掃作業は現場調査から始まり、専門の機材や技術を駆使して行われ、清掃後には最終確認と報告書の提出が行われる
  • 特殊清掃が必要なケースには、孤独死現場、ゴミ屋敷、事件・事故現場などが挙げられ、それぞれの現場に応じた迅速で適切な対応が求められる
  • スムーズに特殊清掃を進めるためには、信頼できる業者選びや依頼時の準備が重要。見積もりをしっかり確認し、安心して任せられる業者を選ぶ

特殊清掃は、単なる清掃作業にとどまらず、依頼者や周囲の人々の精神的・物理的な負担を軽減する重要な役割を担っています。本記事で紹介した内容を参考に、特殊清掃の依頼を検討する際の判断材料にしてください。必要に応じて、信頼できる業者に相談することで、安心して問題を解決できる環境を整えることができます。

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