新盆(初盆)のお供えとは?選び方・贈る時期を解説

新盆を迎えるにあたり、仏壇やお墓にどのような品物をお供えすればよいか迷ってしまう方も多いでしょう。本記事では、新盆のお供え物の選び方や贈る時期、仏壇への飾り方を紹介します。お供え物を選ぶ上での注意点もまとめているため、参考にしてください。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
新盆のお供えの選び方

新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)では仏壇やお墓にお供え物をするのが一般的ですが、どのように品物を選べばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。まずは、新盆のお供え物の選び方について解説していきます。
相場に合った品物を選ぶ
新盆のお供え物には、相場に合わせた品物を選ぶようにしましょう。新盆は故人が初めてあの世から帰ってくる大切な節目とされているため、通常のお盆よりもお供え物の相場が高くなります。品物のみを贈る場合は、5千円〜1万円を目安にしましょう。故人との関係が深い場合は、1万円〜3万円の品物を贈ることもあります。
香典とお供え物を両方贈る場合は、お供え物の目安は3千円〜5千円と考えられています。相場を超えて高額な品物を贈ると、ご遺族に気を遣わせてしまったり返礼品選びに手間がかかったりする恐れがあるため、注意が必要です。ご遺族の負担にならないよう、多くの品物をお供え物として贈る場合でも高額にならないよう配慮しましょう。
五供を選ぶ
新盆のお供え物には、五供(ごくう)を選ぶのが基本とされています。五供とは、香、花、灯燭(灯明)、浄水、飲食(おんじき)の五つをまとめた言葉です。香とは線香のことで、仏様の召し上がるご飯になるという意味や、お参りする場を清めるという意味があります。花は仏様の慈愛の心を表しています。灯燭はロウソクをはじめとする明かりのことで、ご遺族の心の迷いを打ち消すものと考えられています。香と花、灯燭の三つは「仏の三大供養」「三具足(みつぐそく)」とも呼ばれ、特に重要とされています。
浄水は仏様の喉を潤したり、お参りする人の心を清めたりするためにお供えする水のことです。飲食とは食べ物のことで、仏様や故人と遺族をつなぐ役割を持つと考えられています。
食べ物は日持ちするものを選ぶ
新盆に食べ物をお供えする場合、日持ちするものを選ぶようにしましょう。新盆のお供え物は、お盆の期間中仏壇の前にお供えされます。お供えしている間に傷まないよう、常温で保管できて賞味期限が長いものを贈るようにしましょう。また、仏壇にお供えした後の食べ物は家族や親族でいただくことになるため、小分けにされたものを選ぶのがおすすめです。
新盆に適したお供え物

「新盆のお供え物の選び方は分かったけれど、具体的にどのような品物を送ればよいか知りたい」という方もいるでしょう。ここからは、新盆に適したお供え物を五つ紹介します。
線香
新盆に適したお供え物として、線香が挙げられます。亡くなった故人や仏様は香を召し上がるとされているため、線香はお供え物に欠かせない品物です。新盆の時期だけでなく、普段の供養の際にも使用されるため、数が多くなってもご遺族を困らせる心配がありません。何を贈るか迷ったら、線香を検討してみてください。
新盆は故人が初めて自宅に帰る節目となる日なため、普段より少し高級な線香を贈るのもよいでしょう。故人が好きだった香りに合わせて線香を選ぶのもおすすめです。
ロウソク
ロウソクも、新盆のお供え物の定番です。ロウソクは仏様の智慧を表すとされており、仏の三大供養の一つとして大切なお供え物の一つです。ロウソクも線香と同じく、新盆の時期以外でも使用するものであるため、数多く贈っても無駄になりません。線香とロウソクのセットをお供え物として贈るのもよいでしょう。
季節の果物
新盆のお供え物として、季節の果物もおすすめです。お盆の時期に旬を迎え、日持ちしやすいスイカやメロンなどが喜ばれるでしょう。仏教においては、亡くなった人の魂は丸い形をしていると考えられているため、丸い果物が特に喜ばれます。季節の果物以外にも、故人が好きだったものやご遺族が好んでいる果物を選んでもよいでしょう。数種類の果物が入った盛り籠も喜ばれます。
花
新盆に適したお供え物として、花も挙げられます。花をお供えすると仏壇の周りが華やかになるため、お参りする人の気持ちを明るくする効果があります。花の種類としては、季節の花や故人が好きだった花が選ばれることが多いです。生花を贈るのが一般的ですが、プリザーブドフラワーを選ぶことも可能です。
花を贈る際は、トゲや毒のある花は避けましょう。また、花びらが散りやすく日持ちのしない花や、香りが強すぎるもの、花粉が落ちやすい花なども避けた方が無難です。
お菓子
新盆のお供え物に何を選ぶか迷ったら、お菓子がおすすめです。常温でお供えできて日持ちがするお菓子を選びましょう。和菓子であれば羊羹や煎餅、饅頭など、洋菓子ならフィナンシェやクッキーなどが適しています。生ものは消費期限が近い上に常温での保存ができず、お供え物には不向きなため注意してください。
また、お菓子を選ぶ場合は後で分けやすいよう、小分け包装されたものを選ぶとよいでしょう。
新盆のお供えを贈る際のマナー

新盆のお供え物を贈る際は、贈る時期や渡すタイミングなどに注意が必要です。こちらで紹介するマナーを参考にして、失礼のないように新盆のお供え物を贈りましょう。
お供えを贈る時期
新盆のお供え物は、8月13日〜15日のお盆の期間に贈るのが一般的です。13日よりも前に贈っても失礼にはなりませんが、贈る時期があまりに早いとご遺族の迷惑になる恐れがあるため注意してください。また、地域によってはお盆の時期が7月13日〜15日となっているところもあります。お供え物の贈り先に合った時期を確認しておきましょう。
焼香の後に渡す
新盆のお供え物は、仏壇や祭壇で焼香をすませた後で渡すのが基本的なマナーです。お供え物を渡すよりも、自宅に初めて帰ってきた故人に挨拶をすることが優先です。まず焼香をあげて故人に挨拶をしてから、ご遺族にお供え物を渡しましょう。この順番を守らないと、故人に対してもご遺族に対しても失礼になるため注意が必要です。
郵送の場合のマナー
時間や距離の問題により、どうしても直接お供え物を渡せないこともあるでしょう。この場合、お供え物を郵送することが可能です。お供え物を郵送する際はいくつかのマナーを守る必要があるため、事前に確認しておきましょう。
法要の前日までに届くようにする
新盆には、「新盆法要」と呼ばれる儀式が行われることが多いです。お供え物を郵送する場合は、この新盆法要の前日までに届くように準備しておきましょう。あらかじめ法要の時間や場所を確認しておき、スケジュールを調整してください。
故人やご遺族の自宅に贈ることが多いですが、時間がない場合は法要が行われる斎場やお寺へ直接お供え物を贈ることも可能です。
品物を送ることを知らせておく
郵送で新盆のお供え物を送る場合は、あらかじめその旨をご遺族に伝えておきましょう。何も伝えずに黙って品物だけ送るのは、ご遺族に対して失礼に当たります。事前に連絡をしていない場合、品物を郵送した時間帯に受け取り手が家にいない可能性もあります。
また、場合によってはご遺族が品物や香典を辞退していることもあるでしょう。新盆を迎える前にお供え物を送ってもよいか尋ねた上で品物の準備を行うようにしてください。
添え状を添える
お供え物を郵送する場合、添え状を添えるのがマナーです。添え状とは、故人を偲ぶ言葉やご遺族に対するメッセージなどを書いた挨拶文です。品物のみを贈ると無愛想な印象を持たれやすいですが、添え状があれば丁寧な印象を与えられます。
新盆のお供え物として不適切なもの

ここからは、新盆のお供え物として不適切な品物を紹介します。お供え物を選ぶ際は、これらに該当しないよう注意してください。
殺生をイメージさせるもの
殺生をイメージさせるものは、新盆のお供え物には不向きとされています。仏教の教えとして「不殺生」があるため、殺生を連想させる肉や魚などはお供えするべきではありません。ハムやソーセージといった加工食品も避けた方が無難です。
生もの
新盆のお供え物に不向きな品物として、生ものが挙げられます。新盆の時期は気温が高いため、生ものをお供えするとすぐに傷んでしまいます。傷んだ食べ物がお供えされていると故人にも仏様に対しても失礼なため、注意してください。食べ物をお供えする場合は、日持ちしやすく常温保存ができるものを選びましょう。
お祝いの意味を持つもの
お祝いの意味を持つものも、新盆のお供え物には不向きとされています。例えば、慶事で食べられるエビや鯛、昆布といった食べ物には、それぞれお祝いの意味が含まれています。新盆にはお祝いの意味を持つ品物は不適切です。
故人への供養の気持ちを込めて新盆のお供え物を準備しましょう

この記事のまとめ
- 新盆のお供え物には、相場に合った品物や五供、日持ちする食べ物を選ぶ
- 新盆のお供え物に適した品物として、線香、ロウソク、季節の果物、花、お菓子が挙げられる
- 新盆のお供え物を贈る際は、渡す時期やタイミングなどに注意する
- 新盆のお供え物を郵送する際は、法要の前日までに届くようにすること、品物を贈ることを知らせておき、添え状を添える
- 殺生をイメージさせるものや生もの、お祝いの意味を持つものは、お供え物として不適切
新盆のお供え物には、五供や日持ちする食べ物、果物などが選ばれます。ご遺族に気を遣わせないよう、相場に合わせた品物を選ぶようにしましょう。本記事で紹介した品物の選び方やマナー、注意点を参考にして、新盆のお供え物を準備してください。