葬儀で送る盛籠とは?供物の中身や相場などを紹介

葬儀で送る盛籠(もりかご)ですが、ほかのお供え物とどう違うのでしょうか。本記事では、葬儀で送る盛籠とは何かを解説するとともに、籠の中身や費用についても紹介します。大切な人の葬儀に参列するときに悩まないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
盛籠とは

葬儀や告別式などで見たことがある人も多い「盛籠」ですが、そもそも盛籠にはどのような意味があるのでしょうか。まずは盛籠とは何かについて、お供えする意味などを踏まえて解説します。
葬儀の祭壇近くに置かれるお供え物
盛籠とは、葬儀や告別式などにおいて祭壇の近くに置かれるお供え物を指します。大きな籠に果物や線香などのお供え物を詰めたものが一般的です。盛籠は一つ(=1基)だけ送ることもできますが、祭壇の両側へ飾ることを考えて一対で送る人もいます。
なお、盛籠をお供えするのは、故人を供養するための祭壇を華やかに飾るためだけでなく、盛籠を送ることで参列者が故人やご遺族へ弔意を示すといった意味もあります。
盛籠はご遺族や故人の親族はもちろん、故人と縁のある友人や知人、会社関係の人などが送ります。また、遠方に住んでいて葬儀やお通夜に参列できない場合にも、弔意を示すために盛籠を送ることがあります。
大分県では初盆にも盛籠を供える習慣がある
大分県などの一部地域では、葬儀や告別式以外に初盆でも盛籠をお供えすることがあります。初盆は故人の死後初めて迎えるお盆であり、特に大分県の多くの地域では葬儀と同じく初盆も盛大に執り行うのが一般的です。
中には「籠盛り」と呼ばれる1m以上の大きな盛籠をお供えする場合もあり、お盆の風物詩として親しまれています。籠盛りの中身は一般的な盛籠と同じですが、上段には花輪、下段には灯篭が設置されるなど、豪華な見た目が特徴です。
盛籠に入れるお供え物の中身

盛籠は果物やロウソクなどを入れるのが一般的ですが、宗教によっても少しずつ中身が異なります。ここからは、盛籠に入れるお供え物の中身の一例について、宗教別に紹介します。実際に盛籠を用意する前に、あらかじめ確認しておきましょう。
仏式の場合
仏式の葬儀でお供えされる盛籠の中身は、和菓子や季節の果物、線香やロウソクが一般的です。果物を入れる場合は、傷みにくく見栄えのよいメロンやりんご、オレンジなど常温で保存できるものを選びます。
肉や魚については、仏教において禁じられている生き物の殺生を連想させるため、お供えするのを避けるべきです。同様の理由で、肉や魚の加工品を盛籠に入れるのも控えた方がよいでしょう。
盛籠には飲み物を入れることも可能ですが、戒律の一つに飲酒を禁止する「不飲酒戒」があるため、仏式の盛籠ではお酒は避けるのが一般的です。
神式の場合
神式の葬儀における盛籠の中身には、果物や和菓子、肉や魚などが用いられます。仏式とは異なり、神式では線香やロウソクを使わないため、盛籠には入れないのが一般的です。
また、仏式のような殺生をタブー視する考え方はなく、神への感謝を表すものとして肉や海産物をお供えすることもできます。しかし、一定期間お供えするものであるため、肉や魚をお供えしたい場合は生のものは避け、傷みにくい加工品や缶詰、干物などを選ぶとよいでしょう。
お酒については、仏教では盛籠に入れませんが、神道では神聖な飲み物と考えられているため、盛籠にお酒を入れても問題ないとされています。
キリスト教式では盛籠を用いない
キリスト教式の葬儀では、そもそも仏教や神道のような供え物という考え方がないことから、盛籠を送る習慣がありません。盛籠の代わりにユリやカーネーションなどの生花を送ることが一般的です。花の色は白やピンクなどの明るい色が選ばれることが多い傾向にあります。
盛籠の費用相場

大切な人の葬儀に盛籠を送る場合、どれだけの費用がかかるのか分からない人も多いでしょう。ここからは、盛籠を依頼する場合の費用について解説します。
一般的な盛籠の相場は1万円~2万円
一般的な盛籠を注文する際の相場は、1基あたり1万円~2万円です。盛籠は一つだけでも送れますが、見栄えを考えて一対で送る場合は費用もその分高くなるため注意しましょう。予算を考える際には事前に葬儀社へ確認しておくことをおすすめします。
送り方や中身によって具体的な金額は異なる
盛籠の費用は送り方や中身、各業者のプランによっても異なります。例えばお菓子や缶詰などが中心のものであれば5千円~1万円程度、お酒や高級ブランドの果物が入る豪華なものであれば2万円以上になる場合も少なくありません。
故人が生前に好きだったものをお供えしたい場合は、予算と盛籠の内容とのバランスを確認しながら注文することをおすすめします。
盛籠の送り方三つ

大切な人の葬儀に盛籠を送る際、どのように送ればよいか悩む人も多いでしょう。ここからは、盛籠の一般的な送り方を解説します。それぞれのメリットについても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
葬儀社に依頼して準備してもらう
ご遺族や親族が盛籠を用意するなら、葬儀社に依頼して準備してもらうのもよいでしょう。一般的に盛籠の手配も葬儀の準備に含まれています。打ち合わせの際に希望する中身やデザインを伝えておけば、地域や宗教に合った盛籠を提案してもらえるというメリットがあります。
また、葬儀社へ依頼した盛籠は適切なタイミングで葬儀会場へ直接送られるため、送り先を確認する手間もかかりません。その分、手配にかかる手数料や準備費用が高くなる傾向にあります。
仏具店・果物店へ注文する
故人の好みに合わせて盛籠を用意したい場合は、仏具店・果物店へ注文するのもおすすめです。電話や来店時に籠に入れたいものを伝えておけば、店舗側が見栄えがよくなるように並べてくれます。特に地域密着型の店舗であれば、各地域の考え方を踏まえたお供え物を用意してもらえるでしょう。
また、葬儀社などを通さず直接店舗へ注文できるため、手数料などの費用が抑えやすい点もメリットです。その分、依頼した盛籠の配送手続きは自分で行う必要があるため、手配の際に時間や手間がかかる傾向があります。
ネットショップで購入する
なるべく早く盛籠を用意したいなら、ネットショップで購入するのもおすすめです。ネットショップであれば24時間いつでも注文可能なため、急に葬儀へ参列することになった場合でも対応しやすいというメリットがあります。
また、盛籠の中身や価格を比較しながら自分がよいと思うものを選べます。配送サービスが全国対応しているネットショップも多いため、遠方に住んでいる人でも盛籠を送りやすいでしょう。
なお、盛籠の中身が決まっているものを選ぶ場合、必ずしも故人の宗教に合っているとは限りません。故人の宗教や地域の考え方を理解した上で、中身やデザインをしっかり確認して選ぶことが大切です。
盛籠を送るときの注意点

盛籠は注意点を踏まえた上で送らないと、かえってご遺族の迷惑になってしまう可能性があります。ここからは、盛籠を送るときの注意点を解説します。丁寧に弔意を伝えるためにも、盛籠を送る前に確認しておきましょう。
事前にご遺族へ確認を取っておく
盛籠を手配する前に、必ずあらかじめご遺族へ盛籠を送ってもよいかを確認してください。ご遺族の考え方や葬儀の規模などによっては、盛籠をはじめとしたお供え物の受け取りを辞退している場合も少なくありません。
辞退している場合に盛籠を送っても、飾る場所がなくてご遺族が困ってしまう可能性があります。そのため、ご遺族から許可をもらってから盛籠の手配をしましょう。また、許可をもらった際に、故人の宗教や送り先などといった盛籠の手配に必要な情報の確認をします。
香典は別に用意しておく
盛籠を手配する場合でも、香典は別で用意しましょう。香典を持参する場合は盛籠などのお供え物は送らないのが一般的ですが、故人の親族や親しい間柄であれば、香典と盛籠を両方用意することもあります。
なお、ご遺族がお供え物の受け取りを辞退していても、香典を受け取ってもらえる場合は葬儀への参列時に香典を持って行くことが一般的です。
適切なタイミングで届くように手配する
盛籠を送る際には、適切なタイミングで届くように手配しましょう。葬儀の開始時間ぎりぎりに届いてしまうと、並べる手間などがかかり葬儀社やご遺族の負担になります。
お通夜に間に合わせるならお通夜当日の午前中までに、葬儀や告別式に届けるなら式の前日までに会場へ届くように手配するのが一般的です。なお、遠方から盛籠を送る場合は配送に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って発送しましょう。
かけ紙は適切な表書きを選ぶ
盛籠を手配する際には、適切な表書きのかけ紙を選ぶことも大切です。表書きは贈り物の内容を表す文字であり、故人の宗教によって異なります。例えば仏式の場合「御供」や「御霊前」、神式であれば「御玉串料」や「御神前」と記載します。
なお、仏式に使われる「御霊前」については宗派によっては使えない場合もあるため注意しましょう。
故人の宗教に従った上で、弔意を込めて盛籠を送りましょう

この記事のまとめ
- 盛籠とは、葬儀などで祭壇の近くに置かれるお供え物のこと
- 盛籠の中身は、仏式だと果物や線香、神式はお酒や果物などを入れる
- 仏式では戒律に基づいて肉や魚、お酒などは避けるのが一般的
- 神式では線香やロウソクを使わないため、盛籠に入れない
- 盛籠の費用相場は1基あたり1万円~2万円
- 盛籠を送る際には、葬儀社や仏具店、ネットショップを利用できる
盛籠は故人を供養する上で大切なお供え物であるため、宗教ごとに決められた内容に従って送ることが重要です。本記事で紹介した手配時の費用や宗教ごとの特徴も理解した上で、盛籠を送りましょう。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。