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健康・カラダのこと

怒りっぽいのは認知症の初期症状?原因・対応方法・注意点を解説

怒りっぽいのは認知症の初期症状?原因・対応方法・注意点を解説

認知症の初期症状には、単なる物忘れや記憶力の低下だけでなく、「怒りっぽい」などの性格や感情の変化も含まれます。今まで穏やかだった方が突然怒りやすくなった場合、認知症による影響かもしれません。本記事では、認知症の初期症状として現れる「怒りっぽい」について、原因や対応方法を詳しく解説します。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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怒りっぽいのは認知症の初期症状の一つ

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認知症の初期症状として「怒りっぽい」という変化は少なくありません。認知症の初期症状として、性格や感情の変化は非常に重要なサインです。

例えば、今まで温厚だった方が急に怒りっぽい様子になったり、些細なことにイライラを感じやすくなったりしているなどです。怒りっぽくなる背景には、認知症の初期症状の進行によって引き起こされる脳の変化が関連しています。怒りが頻繁になると介護の負担が増し、介護者がストレスを感じやすくなる場合もあります。

認知症の初期症状としての「怒りっぽい」を理解し、適切な対応方法を知っておくことが大切です。

怒りっぽい以外に起こる認知症の初期症状

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認知症の初期症状にはさまざまあり、怒りっぽいという性格や感情の変化だけではありません。見逃してはいけないサインがいくつかあります。

認知症の初期症状

  • 以前は覚えていられたことが思い出せなくなったり、重要な予定や約束を忘れていたりと、記憶に関係する認知機能が低下する
  • 認知機能が低下することで、簡単な選択や判断が難しくなり、買い物での支払い方法に困ったり家事の手順を忘れたりする
  • 以前は整然としていた生活習慣が崩れ、身の回りの整理や清潔さに対する意識の低下が見られる
  • 他人とのコミュニケーションで些細なことで興奮したり、衝動的な言動が増えたりする

こうした様子が見られる場合、認知症の初期症状の可能性があるため、早めに医療機関へ相談をして対策をとりましょう。

認知症の初期症状で怒りっぽい性格になる原因

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認知症の初期症状が進行する過程で、温厚だった方が怒りっぽい性格になることは少なくありません。性格変化には、いくつかの要因が考えられます。ここでは、認知症の初期症状による怒りっぽい感情が生じる主な原因を詳しく説明します。

感情のコントロールが苦手になる

認知症の初期症状が進むと、脳の感情をコントロールする機能が徐々に低下します。脳の働きが変化すると、今まで冷静に対処できていた状況でも、イライラや怒りの感情が爆発するリスクは高まります。

怒りっぽい反応が頻繁に現れるようになると、周囲の人も驚き戸惑うことが増えるでしょう。これらは認知症の初期症状による感情の抑制機能の低下が原因です。感情のコントロールが効かなくなったことで、小さな出来事にも過剰に反応してしまうためです。

体調の変化や想いをうまく言葉にできなくなる

認知症の初期症状が現れると、体調や心の中の思いを言葉で表現する力が弱まってしまいます。例えば、体のどこかが痛い、頭が重いといった不調を感じていても、違和感を家族や介護者にうまく伝えられないため、怒りの感情があふれてしまうなどです。

感情や思考も整理できないことが増え、自分の気持ちを表現できないストレスが募り、結果的にイライラや怒りっぽさとして表に出るリスクも高まります。伝えたいことが伝わらない、分かってもらえないといった状況が続くと、さらに怒りっぽい気持ちを助長してしまいます。

やりたいことがうまくできず、イライラする

認知症の初期症状の進行により、自分がしたいと思うことや日常の習慣がうまくこなせなくなると、本人は大きなストレスを感じます。高齢者は長年の生活習慣や動作に慣れ親しんでおり、それをスムーズにこなせなくなることは大きな衝撃です。

簡単な着替えや食事の支度などの習慣でさえ、以前のようにできないことが増え、もどかしさを感じやすくなります。イライラが日々積み重なると、怒りっぽい反応として表面化することも少なくありません。

今までやってきた生活習慣にもかかわらず、自分でできないことへの葛藤や苛立ちが、怒りっぽいという形で現れやすくなるのです。

周囲の状況についていけず、不安になる

認知症の初期症状が進行すると、認知機能の低下により、周囲の状況を理解したり判断したりする力が弱まります。周囲の人の会話や出来事についていけないことで、本人は不安を感じやすくなります。状況がよく分からない、何が起きているのか把握できないという感覚は、認知症の方にとって大きなストレス要因です。

不安が高まると、普段なら穏やかに過ごせる場面でもイライラしやすくなり、怒りの感情として表れたりします。また、誰かのサポートが必要な状況になると、自分が置いていかれていると感じたり、孤独感をおぼえることもあるため、さらに怒りの感情が強まります。

周囲から受ける言動で自尊心が傷つけられている

認知症の初期症状が進行すると、介護者や家族からのサポートが増えてきます。高齢者にとっては自分でコントロールできないことが増えたため、自尊心が傷つけられたと感じる場合があります。

「自分でできる」と思っていることでも、周囲の助けが必要になると、自尊心は揺らいでしまうでしょう。何度も同じ質問をしたり、行動が遅くなり周囲の人が焦るような反応をすると、本人の自尊心が傷つきストレスを感じてしまいます。

このような状況が怒りっぽさにつながり、「自分の思う通りにできない」「周りが自分を理解してくれない」というフラストレーションを抱えやすくなるのです。

服用している薬の副作用

認知症の初期症状の治療において、複数の薬が処方されることがあり、薬の種類によっては副作用として怒りっぽい性格になる場合も少なくありません。高齢者の場合、薬の効果や副作用が強く出やすく、場合によっては怒りっぽい感情が顕著に表れます。

認知機能や神経系に影響を与える薬が、予期せぬ感情の変化を引き起こす場合もあります。認知症の初期症状で怒りっぽい反応が見られる場合には、薬の副作用も考慮し、医師と相談して治療や薬の見直しをしていきましょう。

認知症の初期症状で怒りっぽい性格になった場合の注意点

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認知症の初期症状として怒りっぽさが現れる場合、家族や介護者が適切に対応することで、怒りっぽさが悪化せずに穏やかな状況になる場合も多いです。ここでは、認知症の初期症状で怒りっぽい性格になった方に対して、周囲の人が気をつけるべきポイントや対策を詳しく解説します。

本人の発言を否定しない

認知症の初期症状が現れると、本人はさまざまな感情や思いを抱えるようになります。その中で、周囲の人が否定的な態度を示すと、本人はさらに不安や怒りを感じやすくなるでしょう。

「そんなこと言わないで」と言ったり、「また同じことを言っている」といった注意をされると、本人は「理解してもらえていない」と感じ、さらに怒りっぽい性格になることがあります。

認知症の初期症状がある方は特に敏感になっているため、発言を否定せず、話を受け入れる姿勢が大切です。理解を示すことで、本人も安心感を得られ、結果的に穏やかに会話が進む可能性が高まります。

自尊心を傷付けるようなことを言わない

認知症の初期症状を抱える方は、周囲からの助けが増えることで、自尊心が傷つきやすくなっています。「今までの生活習慣ができない」「家族に迷惑をかけている」という思いが募り、ちょっとした言葉にも過敏に反応してしまいます。

本人のプライドに配慮せずに、「また失敗している」といった言葉をかけてしまうと、さらに怒りを引き起こす原因になり、注意が必要です。

サポートを行う際は「あなたの助けになれればうれしい」といった形で声をかけるようにしましょう。言葉を慎重に選び、本人が自分を尊重されていると感じられれば、怒りっぽい反応を和らげられます。

周囲が本人の意向を尊重することは、認知症の方の自尊心を保ち、穏やかに接することにつながります。

体調に変化がないか確認する

認知症の初期症状では、体調の変化が怒りっぽさを引き起こすことがあります。睡眠不足や体の不調が原因でイライラしやすくなっている場合もあるため、普段とは違う様子を感じたら、体調が原因かもしれないと考えてみましょう。

「最近怒りっぽいな」と感じたら、医療機関への相談を検討し、必要であれば医師に体調を確認してもらうことも大切です。認知症の初期症状では、本人がうまく体調を伝えられないことがあるため、周囲の人が健康状態を確認することで怒りっぽい原因が明確になることもあります。

認知症の初期症状で怒りっぽい性格になった場合の対応方法

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認知症の初期症状として怒りっぽい性格になることが多く見られる場合、適切な対応をすると状況の悪化を防ぎ、本人と家族の負担を軽減できます。ここからは、怒りっぽい性格の変化に対応するための具体的な方法や対策をいくつか紹介します。

怒り出したら落ち着くまで距離や時間をおく

本人が怒り出したらすぐに対処しようとせず、距離を保って時間をおくことが効果的です。怒っている最中に話しかけ、説得しようとすると、かえって抵抗を招きやすいでしょう。

状況を改善するには、無理に落ち着かせようとせず、自然に冷静さを取り戻せるよう静かに過ごせる時間を与えます。離れる際も視界に入る程度の距離を保ち適度に見守ることで、関係の悪化を防ぎつつ相手が落ち着くのを待つことにつながります。

怒りの感情を否定せず、傾聴して寄り添う

怒りっぽい性格になった認知症の方には、感情を否定せず、耳を傾けて寄り添う姿勢を見せることが大切です。認知症の初期症状により思いや考えを伝えるのが難しくなっているため、怒りのきっかけや気持ちを聞き出し、「分かりますよ」など共感の言葉を添えると安心感を与えられます。

状況を改善するには「そんなに怒らないで」などの否定的な言葉は逆効果となります。相手に共感し、受け入れることで信頼関係が深まり、怒りも和らぐでしょう。

怒っている原因を一緒に考える

認知症の初期症状による怒りには、多くの場合なんらかの原因が潜んでいます。直接「どうして怒っているの?」と尋ねるのではなく、日常の会話や様子からさりげなく原因を探ることが大切です。

「どうすれば楽になるか一緒に考えましょう」や「不便に感じることはありますか?」のような声をかけ、解決策を共に模索する姿勢を示すと、本人も安心しやすくなります。怒りの原因が分かれば、対処することで状況が改善でき、介護者も今後の対応がしやすくなるでしょう。

専門医を受診する

認知症の初期症状が見られる場合、早期に専門医の診察を受け治療することが重要です。認知症の治療は進行度や症状に応じて異なるため、専門医による診断が適切な治療につながります。

診察では、怒りっぽさが見られる頻度や普段の様子を正確に伝えると、具体的な治療やケアのアドバイスを得やすくなります。特に怒りっぽい性格が日常生活に支障をきたしている場合は、早めの専門的診断が安心して生活を続けるために必要です。

認知症の初期症状で怒りっぽい方には工夫して対処しましょう

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この記事のまとめ

  • 認知症の初期症状として、怒りっぽいことがある
  • 怒りっぽくなる原因に、感情をうまくコントロールできなくなることがある
  • 服用している薬の副作用でも怒りっぽくなる可能性がある
  • 怒りっぽい性格になった場合は、自尊心を傷つけたり否定したりしないことが大切である
  • 怒りだしたらすぐに対応しようとせずに、時間を置いて話を傾聴する

認知症の初期症状で怒りっぽい性格になる場合、対応を工夫することが大切です。怒りっぽい性格の原因を理解しようと努め、直接指摘せずに寄り添う姿勢を心がけましょう。

距離を置く、時間を置くなどして冷静さを保つ工夫も有効です。介護者も休息を取り、負担が軽減されるよう支援体制を整えましょう。穏やかな環境づくりを意識することで、本人も周囲もよりよい日常を過ごせます。

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