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健康・カラダのこと

噛めないときの食事はどうしたらよい?おすすめの軟らかい食べ物を紹介

噛めないときの食事はどうしたらよい?おすすめの軟らかい食べ物を紹介

高齢になると、食事が食べにくくなったと感じる原因の一つに「噛めない」があります。食べ物が噛めなくなると食欲も低下し、食事自体がストレスになる場合もあるでしょう。本記事では、噛めないときの食事はどうしたらよいかについて解説します。おすすめの食材や調理方法も紹介しますので、参考にしてください。

監修者 SUPERVISOR
管理栄養士/食生活アドバイザー/フードスペシャリスト/食品衛生管理者 古山 有紀

武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。

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噛めなくなる原因4つ

何らかの原因で食べ物を噛めなくなると食欲も低下し、食事が食べられなくなります。高齢者にとって、噛めないことは低栄養にもつながる大問題です。ここでは、食べ物を噛めなくなる主な原因について解説します。

①歯の損失

食べ物を噛めなくなる原因の一つが、歯の損失です。歯の損失リスクは、歯周病のほかに骨粗鬆症や糖尿病、喫煙習慣によっても高まります。加齢とともに歯の損失は起こりうることですが、できる限り多くの歯を維持するよう、生活習慣を見直すことも大切です。

②噛み合わせの悪化

噛み合わせの悪化も、食べ物が噛めなくなる原因になります。老化に伴う歯の摩耗や欠損によって、噛み合わせは悪化します。噛み合わせが悪化すると、一部の歯に過度の負担がかかり、さらに歯の損傷や欠損が起こるといった悪循環が生じるのです。

噛み合わせに違和感があったり痛かったりする場合は、早期に歯医者の受診をおすすめします。

③筋力の低下

加齢に伴い体中の筋肉が衰えるのと同様に、口周りの筋肉も衰えます。筋力の低下によって、高齢者の噛む力は壮年期に比べて3分の1から10分の1まで弱くなるといわれています。

噛む力が弱くなると、軟らかい食べ物に偏った食事になったり、食事量が減って栄養不足に陥ったりすることもあるでしょう。筋力の低下は食事にも関わる問題です。

④口腔内環境の悪化

高齢者は、唾液の分泌が減って口内の自浄作用が低下することで口内環境が悪化します。これは老化に伴う自然なことで、誰にでも起きる現象です。

口内環境の悪化によって歯周病や口内炎ができて痛みがあると、思ったように食べ物が噛めなくなるでしょう。口内環境を清潔に保つためには、こまめな水分補給が有効です。

食事を噛めない場合の注意点

噛めないことで食事量が減ると、それによる弊害も生じてきます。ここでは、食事を噛めない場合の注意点について解説します。

食事量の低下による低栄養に注意する

食事量が減ると、必然的に摂取する栄養素も減少します。食事量が減ることで体に必要な栄養素が不足するため、低栄養に注意しなければなりません。

低栄養とは、健康的に生きるために必要な栄養素がとれていない状態を指します。高齢者の低栄養は生活の質の低下に直結するため、注意が必要です。

低栄養を防ぐためにも噛む力に合った食事が必要

低栄養を防ぐためには、自分の噛む力に合った食事を摂ることが必要です。噛めないときには無理して食べるよりも、食べやすいものを食べるのが理想です。自分の噛む力に合った食事の中でできる限りバランスの整った食事を心がけ、低栄養を予防しましょう。

噛めないときの食事におすすめの食べ物

続いて、噛めないときの食事におすすめの食べ物を紹介します。噛めないときでも、できる限り食べやすい物を選ぶことで、食事量を確保しましょう。

のどごしのよい食べ物

以下のようなのどごしのよい食べ物は、噛めないときにおすすめです。

のどごしのよい食べ物の例

  • ゼリー
  • プリン
  • 絹ごし豆腐
  • ヨーグルト
  • アイスクリーム

これらの食べ物は、噛む回数が少なくても食べられます。また、食欲がないときには、温かい食べ物よりも冷たくのどごしのよい食べ物のほうが、食べやすい傾向にあります。

手軽に用意できる食べ物ばかりのため、常備しておくと食べたいときにすぐに食べられて便利です。

ポタージュ状の食べ物

スープやスムージーなど、ポタージュ状の食べ物もおすすめです。これらは、ほとんど噛む必要がなく、噛めないときの食事にぴったりです。野菜や果物を多く使ったスープやスムージーは、たくさんの栄養素を摂取できます。

朝食に1品取り入れるだけでも栄養バランスがよくなるでしょう。

ムース状の食べ物

噛めないときの食事は冷たい物が多くなりがちですが、ムース状であれば、温かい料理を食べられます。舌でつぶすことができる固さのため、噛めないときでも食べやすい料理です。例えば、だし汁に卵を加えて蒸す茶碗蒸しは、たんぱく質も補給できて栄養価も高いといえるでしょう。

お粥状の食べ物

噛めないときの食事では、お粥状の食べ物がおすすめです。以下の食べ物などは、噛めないときにも食べやすい食事です。

お粥状の食べ物の例

  • おかゆ
  • 雑炊
  • パン粥

噛めないときの主食に悩んだときは、これらの食べ物を用意するとよいでしょう。

【番外編】うどん

うどんを主食にしたい場合は、軟らかく煮込んで舌や歯茎で潰せる程度であれば噛めなくても安全に食べられます。コシの強いうどんにしてしまうとしっかり噛む必要があるため、噛めないときには避けましょう。

噛めないときの食事に避けるべき食べ物

食材の中には、調理しても食感を変えられないものもあります。ここでは、噛めないときに避けるべき食べ物を紹介します。

繊維の多い食べ物

以下の繊維の多い食べ物は、調理しても繊維が残るため、噛めないときには食べにくい食材です。

繊維の多い食べ物の例

  • ゴボウやレンコンなどの根菜類
  • きのこ類

繊維が残ると飲み込みにくく、誤嚥の危険性もあるため、噛めないときには避けるようにしましょう。

粘り・弾力が強い食べ物

噛めないときには、以下のような粘りや弾力が強い食べ物にも注意が必要です。

粘り・弾力が強い食べ物の例

  • もち
  • こんにゃく
  • きのこ類
  • イカ
  • タコ

これらの食品は、しっかり噛まなければ食べられないため、噛めないときには食べないようにしましょう。

硬い食べ物

硬い食べ物は、噛まなければ食べられません。以下のような硬い食べ物はミキサー調理にも不向きであるため、噛めないときは避けましょう。

硬い食べ物の例

  • せんべい
  • ナッツ類
  • するめ

酸味の強い食べ物

酢の物のような酸味の強い食べ物はむせやすく、高齢者にとっては誤嚥リスクの高い食品でもあります。これらはミキサー調理にも適していないため、噛めないときにはおすすめできません。

柑橘類であれば、果汁だけを絞ってゼリーにすると食べやすくなります。

口の中に貼りつく食べ物

老化と共に唾液の分泌量が少なくなっている高齢者にとって、以下のような口の中に貼りつく食品は食べにくい食べ物です。

口の中に貼りつく食べ物の例

  • 焼きのり
  • わかめ
  • もなか
  • ウエハース

これらはのどに貼り付くだけでなく誤嚥や窒息のリスクもあるため、噛めないときにはできるだけ避けましょう。

噛めないときの食事を食べやすくする方法

ここからは、噛めないときの食事を食べやすくする方法を紹介します。少しの工夫で食事がとても食べやすくなるため、試してみてください。

硬い物はすり潰す・ミキサーにかける

いも類やにんじん、大根などの硬い食材は、よく煮込んでからすり潰したり、ミキサーにかけると食べやすくなります。だし汁やコンソメで味付けしたものをミキサーにかけると、味がしっかりついて美味しく仕上がるためおすすめです。

また、温かい食材は冷めてから別々にミキサーにかけるとそれぞれの味が残るため、より美味しく食べられるでしょう。

野菜は軟らかく煮る・繊維を断ち切る

噛めないときの食事では、野菜を軟らかく煮て噛む回数が少なくすむようにしましょう。また、繊維を断ち切ることで、より軟らかい料理に仕上げることができます。

ただし、ゴボウやレンコンなどは軟らかく煮ても繊維が残るため、食材として避けることをおすすめします。

食べやすい大きさに切る

噛めないときの食事では、食材を食べやすい大きさに切ることで噛む必要がなくなり、食べやすくなります。軟らかい野菜でも、大きすぎると食べるのに苦労するためです。一口大にするなど、食べやすい大きさに切る工夫をしてください。

とろみをつける

流動性のある物や液体に近い食べ物には、とろみをつけましょう。高齢者にとって流動性の高い物や液体は誤嚥につながるため、とろみをつけることでリスクを下げられます。とろみ付けは片栗粉やゼラチン、市販のとろみ剤などでも手軽にできるため、試してみてください。

▶︎ミキサー食の作り方はこちら

噛みにくいときの食事の注意点

最後に、噛みにくいときの食事で注意したいポイントを紹介します。注意点を押さえて、噛めない時でも安全に食事を楽しみましょう。

ただ細かく刻むだけは危険

単純に考えると「噛めないならば食材を細かく刻めばよい」と思うかもしれませんが、ただ細かく刻むだけは危険です。細かく刻んだ食べ物やパラパラしたひき肉、脂肪の少ないパサパサした魚などは口の中でまとまりにくく、誤嚥の危険性があります。

細かく刻んだ食べ物は、あんかけやとろみをつけて口の中でまとまるようにしましょう。ひき肉や脂肪の少ない魚は、潰してから卵などのつなぎを加えて軟らかく調理するなど、できる限り口の中でバラバラにならない工夫が必要です。

誤嚥に注意する

先述の通り、噛めないときの食事では、誤嚥に十分注意しなければなりません。高齢になると、噛めないだけでなく飲み込むことも難しくなっている場合があります。歯が痛いことで噛まずに飲み込み誤嚥してしまうリスクもたくさん潜んでいます。

誤嚥は老化に伴い誰にでも起こりうるトラブルであることを把握し、特に噛めないときの食事では介護者が近くで見守るなどして十分に注意しましょう。

補食を利用してカロリー不足を補う

噛めないときには食事量が減り、1日3回の食事だけではカロリー不足になりがちです。そのため、不足するカロリーは補食で補うようにしましょう。

補食は、食べやすいものであれば何でも構いません。プリンやヨーグルトなど、たんぱく質を摂取できるものが特におすすめです。食事と食事の間など、食べたいと思ったときに食べるようにしましょう。

口腔ケアを心がける

歯の健康を維持するために、口腔ケアはとても大切です。口の中の清潔を保つことで口内トラブルを防ぐだけでなく、食べる機能や会話する機能などの維持・向上に役立ちます。口腔ケアは、最終的に生活の質の維持・向上にもつながるのです。

うがい、歯磨き、舌や粘膜のケア、入れ歯のケアを習慣化しましょう。

無理して食べようとしない

噛めないときは、無理して食べる必要はありません。「食事は摂らないといけない」という義務感で無理に食べると、それがストレスになったり体が受け付けず消化不良になったりすることもあります。そのため、食事は食べたいと思えるときに食べるようにしましょう。

噛めないときは、負担の少ない食べ物を選んで、無理せず食事を楽しみましょう

この記事のまとめ

  • 噛めなくなる原因には、歯の損失や噛み合わせの悪化、筋力の低下、口内環境の悪化などがある
  • 食事を噛めないと食事量が減るため、低栄養に注意する
  • 噛めないときには食べやすい物、避けるべき物がある
  • 調理を工夫することで、食べやすい食事を作ることができる
  • 噛めないときでも、口腔ケアをしっかり行う

噛めないときは、自分の噛む力合った食べやすい物を選んで食べることが大切です。無理に食べるのではなく、食べたいと思えるものを安全に食べるよう心がけましょう。

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