火葬事業
火葬施設の近代化
東京都の火葬を取り扱う事業者として、東京博善は長年にわたり、安全で燃焼性能が高く、かつ環境負荷の少ない火葬炉の開発に力を注いできました。1927年には従来研究を進めていた重油を燃料とする画期的な無煙・無臭火葬炉を開発。以降、国内はもとより海外からも、その技術は高く評価されてきました。1974年には町屋斎場に日本で最初のガス火葬炉を築造し、実用化。以来、ガス燃料による火葬が全国の火葬場に普及していきました。また1987年からは、斎場の近代化を掲げるプロジェクトの一環として、火葬場の象徴であった煙突をなくした環境配慮型の火葬炉システムを開発。全斎場に順次導入していきました。
さらに2012年からは、環境保全への取り組みとして、CO₂の排出量を減らしながら、ダイオキシンを抑制する次世代型の火葬炉システムの開発を推進。火葬炉余熱による発電と電力還流システムによる、国内初となる環境配慮型の新・火葬炉システムを開発しました(特許を取得)。新・火葬炉システムは、従来型火葬炉システムと比べて大幅に排気ガス量を抑制し、CO₂やダイオキシンなどの有害物質の低減を実現。2016年12月に全面リニューアルオープンした四ツ木斎場に導入しています。
広済堂グループ傘下になった後、迷惑施設と言われてきた各火葬場の近代化を行った。
- 各火葬場の無煙化を実現し、煙突がなく、無臭、無塵、無公害となる最新鋭の機械設備を火葬業界でいち早く導入。
- 葬儀式場併設火葬場として建替えを行った。(ご喪家の利便性向上、および人生最期の場所としてふさわしい豪華な建物、内外装)
火葬能力の向上
多くのご火葬を執り行うため、火葬技術およびオペレーションの研究を行い、火葬時間の短縮を実現しています。ロストル式火葬炉の採用(近隣公営火葬場は平台式火葬炉)により、1炉あたりの火葬対応能力は近隣公営火葬場の3倍から5倍以上となっており、6斎場合計最大で1日あたり432件、年間で約135,000件もの火葬を執り行う能力を有します。なお、西東京・神奈川などの近隣エリアと比較して、東京都区内ではいわゆる「火葬待ち」が生じていない要因のひとつは、当社の火葬能力の高さによるものと自負しております。
| 区分 | 2025年度 | 当社割合 |
|---|---|---|
| 東京都 | 137,206 | 49.1% |
| 23区 | 90,538 | 74.4% |
※当社割合はそれぞれの死亡者数を当社取扱件数で除算したもので、厳密なシェアではございません。
| 区分 | 2025年度 | 前年差 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 大人 | 66,085 | –6,283 | 91.3% |
| 小人 | 639 | +36 | 106.0% |
| 胎児 | 637 | –61 | 91.3% |
| 合計 | 67,361 | –6,308 | 91.4% |
| 町屋 斎場 |
落合 斎場 |
堀ノ内 斎場 |
代々幡 斎場 |
四ツ木 斎場 |
桐ヶ谷 斎場 |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 普通炉 | 8 | 6 | 5 | 6 | 8 | 8 |
| 高級炉 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 |
| 合計 | 12 | 10 | 8 | 10 | 12 | 12 |
通常時は7回転、繁忙期は11回転にも対応。1200度以上の加熱と冷却を繰り返しており、火葬炉の修繕には万全を尽くしている。
6斎場合計最大で1日あたり432件、年間で約135,000件もの火葬能力を保有。
東京都の死亡者数のピークを迎える2065年においても、対応できる火葬能力を有している。
「火葬待ち」の解消に向けて
当社の火葬炉稼働率は年間平均64.8%でした。最も稼働率の高い11:00~13:00の時間帯に限っても87.4%と火葬炉の稼動には余裕があります。なお、故人様は逝去後、24時間経過前に火葬できないとする法規定や、週に1日程度の休館日を加味すると実質的な「火葬待ち」は2~3日程度となっています。
当社は民営火葬場ならではの臨機応変な対応を心掛け、死亡数が増加する冬季における火葬時間の延長や休日の縮小等、需要にあわせた火葬キャパシティの拡大も実施しております。
また、斎場施設内に葬儀式場を大幅に増室したことも、火葬(葬儀)待ちの解消に繋がっております。
(2025年度、普通炉)
(2025年度、普通炉)
火葬炉(普通炉)稼働率は年間平均64.8% 最も稼働率の高い時間帯でも87.4%と火葬炉の稼動には余裕があります。
また、死亡数が増加する冬季における火葬時間の延長(通常:9-15時(7回転)を8時-18時(11回転)まで延長営業)や休日の縮小(友引営業)等で火葬対応力を強化。
夕刻葬の実施
1日葬(通夜なし葬儀)を選択するご葬家が増えている現状を踏まえ、夜間火葬対応により、夕方以降に葬儀・告別式を1日で行う、「夕刻葬」を2025年12月より開始。
※設営・通夜は 前日夜
夜間
火葬料金の考え方
公営火葬場は、全国的に見れば、公費で負担することで火葬料金が無料や低価格で提供されておりますが、当社の火葬へは一切の公費補助はありません。
東京都周辺の例を見ると、日華多摩斎場(民営)/9万円、戸田斎場(民営)/8万円、公営火葬場でも臨海斎場の運営5区以外の方々の火葬料金は8万8千円、川口市めぐりの森の市外の方の火葬料金は10万円と、当社の火葬料金は特別に高額ではありません。
(2026年度、普通炉)
| 東京博善 | 臨海斎場 | 瑞江葬儀所 | 戸田葬祭場 | 谷塚斎場 | 日華多摩葬祭場 | 府中の森 市民聖苑 |
川口市 めぐりの森 |
||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 経営・運営体制 | 民間 | 5区※ | 東京都 | 民間 | 民間 | 民間 | 府中市 | 川口市 | |
| 公費負担 | なし | あり | あり | なし | なし | なし | あり | あり | |
| 火葬料 | 普通炉 (域外料金) |
¥87,000 | ¥88,000 | ¥71,520 | ¥80,000 | ¥74,000 | ¥90,000 | 府中市民専用 | ¥100,000 |
| 普通炉 (域内料金) |
¥87,000 | ¥44,000※5区 | ¥59,600※都民 | ¥80,000 | ¥74,000 | ¥90,000 | 無料※市民 | ¥30,000 | |
| 普通炉 (区民葬) |
ー | ー | ー | 区民葬¥59,600 市民葬¥72,000 |
¥59,600 | 区民葬¥59,600 市民葬¥72,000 |
ー | ー | |
| 減額・公費 | ¥39,000 | ¥16,000 | ¥600 | ¥39,000 | ¥39,000 | ¥39,000 | ー | ー | |
※5区:港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区
公営火葬場は、全国的に見れば、公費で負担することで火葬料金が無料や低価格で提供していますが、当社は一切の公費負担はございません。また、民営であるため、法人税や固定資産税などの負担、今後の大規模修繕に向けた内部留保の必要がございます。
解説1:火葬料金および最低賃金の推移
| 年 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 火葬料金(普通炉) | ¥44,000 / ¥46,000 | ¥46,000 / ¥48,300 |
¥48,300 | ||||||||
| 最低賃金(東京) | 650 | 664 | 679 | 692 | 698 | 703 | 708 | 708 | 708 | 710 | 714 |
| 年 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 火葬料金(普通炉) | ¥48,300 | ¥59,000 | |||||||||
| 最低賃金(東京) | 719 | 739 | 766 | 791 | 821 | 837 | 850 | 869 | 888 | 907 | 932 |
| 年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 6,7月 | 8,9月 | 10,11月 | 12月, 2023年1月 |
2月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 火葬料金(普通炉) | ¥59,000 | ¥75,000 | ¥82,600※ | ¥83,800※ | ¥85,200※ | ¥89,600※ | ¥87,200※ | ||||
| 最低賃金(東京) | 958 | 985 | 1,013 | 1,013 | 1,041 | 1,072 | 1,113 | ||||
※2022年〜2023年は燃料サーチャージで変動
| 年 | 2024 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|---|
| 火葬料金(普通炉) | ¥90,000 | ¥87,000 | |
| 最低賃金(東京) | 1,163 | 1,226 | 1,280 (目安) |
- 2021年に実施した普通炉の料金改定は、2011年以来10年ぶりの値上げです。その後、ウクライナ情勢等により燃料費が高騰し、燃料にかかる費用を別途収受していた時期を経て、2024年6月に固定料金の9万円に価格を改定いたしました。
- 価格改定の判断をした要素は、燃料費、人件費、採用難による採用費、火葬炉のメンテナンスに係る諸費用(レンガ等)等の高騰によるものと、火葬を安定的、永続的に実施するための将来にかかる大規模修繕工事の積立金によるものです。
- 駅からのアクセスも良い好立地での固定資産税の負担、火葬料金は非課税であるため、それらに係る経費の消費税負担もございます。ご存じの通り、2011年の消費税は5%でしたが、2014年には8%、2019年には10%まで負担が増加。
- 特に、人件費は、火葬場での仕事は“不人気業種”であり、葬祭関連の有効求人倍率は7倍を超え、その中でも「火葬場の仕事に就きたい」という人材は少なく、人材獲得と維持で報酬は増加傾向にあります。東京都の最低賃金と比較しても、人件費高騰の要因が窺えます。
人の死に関わる事業であるため、都民をはじめとしたご利用者の感情には配慮すべきではありますが、本事業の安定性、永続性を考えると、適切な価格転嫁も必要であると考えております。また、上記の要素が理由であり、親会社の指示による値上げではございません。
解説2:火葬事業利益のゆくえ
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 火葬事業における 売上高 |
5,561 | 5,536 | 5,986 | 5,439 | |
| 火葬事業における コスト |
4,546 | 4,434 | 4,737 | 4,248 | |
| 火葬事業における 収益 |
1,015 | 1,102 | 1,249 | 1,198 | |
| 法人税等 | 362 | 337 | 382 | 370 | |
| 火葬炉 特別修繕積立金 |
750 | 750 | 750 | 750 | |
| 事業収益 | -97 | 15 | 117 | 71 | =葬祭公営事業損失準備積立金として計上 |
公益性の高い、火葬事業は「葬祭公益セグメント」としており、葬祭公益事業(=火葬事業)は、永続性と非営利性が求められており、将来に向けた積立と内部留保を行っております。(=火葬事業の収益は親会社への配当にしていません。)
また、火葬事業の収益を明確にして、火葬料金を不当に高騰させるようなことはありません。
「減額」「公費」料金の補助
火葬料金は、通常料金より、安価に提供しているものとして「減額」「公費」があります。「減額」料金については、生活保護受給者の方(生活保護受給証明書を持参され、葬祭扶助の対象となっている方)について、通常の火葬料金を減額し、大人39,000円での火葬をさせていただいております。
「公費」料金については、身寄りのない方等(行政から「行旅死亡人」の書類が発行され、葬儀代含め一定額を行政より公費補助を受けることができる方)の火葬について、通常の火葬料金を減額し、大人39,000円での火葬をさせていただいております。
「減額」・「公費」料金での火葬については2025年度実績で4,245件、火葬件数全体の6.4%に相当します。
「減額」「公費」料金の減額分については、公費補助をいただかず、当社の負担にて対応しております。