本展初公開|置き場所を選べる新しい仏壇
錺金具竹内(株式会社竹内)は1967年創業、京都・伏見で50年以上、仏壇金具・社寺金物・仏具などの和の装飾金物を製造してきました。
錺金具は、仏壇を装飾して神仏の世界を表現し、社寺をきらびやかに飾ることで、人々の心を癒してきました。
その「飾る」力を信じ、新しい祈りのかたち「KIDAN」を生み出しました。本展が初のお披露目です。
KIDAN
仏壇に占有してほしくはない。そんな住まいのための、片手にのる祭壇
「KIDAN(祈壇)」は、仏壇のなかった家に置くための、新しいかたちの祭壇です。本展エンディング産業展2026が、初のお披露目の場となります。
「家にスペースはある。けれど、仏壇に占有してほしくはない」。都会的な住まいで暮らす人に聞くと、そんな本音が返ってきます。KIDANは、その声から生まれました。
きっかけは、ひとりのプロダクトデザイナーの経験でした。東京から築100年の古民家に移り住んだ谷本幹人氏は、リノベーションにあたって、仏様のいなくなった立派な作り付けの仏壇を取り壊すことになります。仏壇を壊した人間が、仏壇をつくる——そんな縁から、「仏壇のなかった家に置く仏壇」という発想が始まりました。
つくり手である錺金具竹内も、同じ問いを抱えていました。二代目の竹内直希は、工房に入って、仏壇のある家が減り、錺金具の行き先が細っていく現実を目の当たりにします。継ぐと決めたとき、守るだけでは足りないと思った。錺金具は何のためにあるのか。考え続けて行き着いたのは、こんな景色でした。
手を合わせ、瞼を閉じるそのとき、金具は灯明の光を受けて、視界の隅で静かに輝いている。
その力を信じて、KIDANの側面に、社寺を飾ってきた錺金具の技を託しました。
大きさは直径250mm・高さ180mm、重さ1,100g。片手にのるサイズなので、リビングの棚、窓辺、飾り棚のなかと、暮らしに合わせて置き場所を選べます。模様替えをすれば、一緒に動かせばいい。仕上げは白木(メイプル)と漆(ケヤキ)の2種です。
仏壇として日々手を合わせる場に、また大切なご家族を供養する祭壇として。かたちは軽くなっても、祈りの重さは変わりません。
本展が初公開の場です。会場では白木と漆の2種を実際に手に取ってご覧いただけます。ぜひお立ち寄りください。
(意匠出願中)

飾ることで、心を癒す錺金具
錺金具(かざりかなぐ)は、仏壇や社寺建築、仏具を飾るための和の装飾金物。
錺金具は本来、神仏の世界を表現し、向き合う人々の心を癒すもの。あるいは、お寺や神社をきらびやかに飾り、その建築物の美しさをより引き立て、見ている人々の心を明るくするもの。「飾る」という役割で人々を幸せにすること——それが錺金具の真髄だと、私たちは考えています。

錺金具とは
御扉の八双、仏壇の框、格天井、欄間、神輿。祈りの空間のいたるところに錺金具は使われていますが、その名を知る方は多くありません。一枚の銅や真鍮が、鏨(たがね)で打たれて文様に変わる。木地の角を守り、輪郭を引き締め、印象を煌びやかにする。それが錺金具の仕事です。
その歴史は古く、仏教の伝来とともに日本へ伝わりました。日本最古の木造建築である法隆寺金堂にも、その姿を見ることができます。以来千年を超えて、神社仏閣、仏壇・仏具、神輿など、日本の祈りの空間を彩り続けてきました。
錺金具竹内について
錺金具竹内(株式会社竹内)は1967年、京都で灯篭をつくる会社として創業しました。その後、時代のニーズに合わせて仏壇用の錺金具の製造を始め、現在は錺金具・社寺金物・仏具・納骨壇金具まで、幅広い和の装飾金物を手がけています。工房を構えるのは京都・伏見。
手彫りの原版という矜持
私たちの最大の特長は、量産品であっても金型の原版を必ず職人が手彫りで製作していることです。
高度経済成長期の需要拡大にともない、手仕事が主流であった時期からいち早く機械の導入を進め、量産できる体制を整えてきました。それでも、金型の原版だけは鏨を手にした彫金師が彫る。この一点だけは譲りませんでした。
そのため、機械で仕上げた金具であっても、手彫りならではの自然で温かみのある風合いが宿ります。また、金型を必要としない少量のご注文にも、熟練の彫金師が柔軟に対応いたします。
一貫生産という強み
錺金具の製造から、メッキ、ニス引き、漆の焼き付けまで、すべて自社で一括して承ります。お客様がそれぞれの会社へ足を運ぶ手間も、余分なコストもかかりません。
さらに、自社内に金型を製造する設備を擁しています。金型を外注する場合と比較してコストを抑えられるうえ、金型完成後すぐに製造へ移れるため、スピーディーな生産が可能です。これまでに製作した金型の総数は、約3,000点にのぼります。
素材と仕上げ
錺金具の素材には、主に銅と真鍮を用います。いずれも粘りがあって鏨を受け止め、経年とともに深い色合いへと育っていく金属です。
仕上げは、金メッキ、ニッケルメッキなどのメッキ仕上げのほか、漆の焼き付け、黒漆仕上げ、金箔押しなど、用途とご予算に応じてお選びいただけます。社寺の向拝柱根巻金具のように黒漆で重厚に仕上げるもの、仏壇の内部を華やかに飾る金色の仕上げ、落ち着いた古美仕上げなど、同じ金具でも仕上げ次第で表情は大きく変わります。ご希望の雰囲気をお聞かせいただければ、最適な仕上げをご提案いたします。
製造品目
框金具(かまち)は、規格品だけでも金具幅18mm・20mm・23mm・27mm・30mm・33mm・35mm・39mm・40mm・42mm・43mm・45mm・46mm・48mm・54mm・60mm・66mm・85mmと多数を取り揃えています。記載のない寸法も多数ございますので、お探しの際はお問い合わせください。
飾り蝶番(かざりちょうばん)は、数十種類の銅・真鍮製をご用意。メッキ、漆などの仕上げが可能です。八双金具(はっそう)も多数取り揃え、メッキのほか金箔押しでの仕上げにも対応します。
そのほか、束金具(つか)、透かし金具(すかし)、隅金具(すみ)、座金(菊座)、つまみ(ローレット・ぶらり)などをご用意しています。
紋金具(もん)は、左三つ巴紋、三つ葉葵紋、下がり藤紋、八藤紋、五三桐紋、五七桐紋、法輪、十六菊紋、桔梗紋、輪違い紋、月影杏葉紋、牡丹紋、久我竜胆紋、鶴の丸紋、雁金紋、井桁橘紋、丸に三柏紋、丸に木瓜、右三つ巴紋、剣片喰、抱き茗荷、諏訪梶の葉など、各種の宗紋・寺紋・家紋に対応。寸法も多数取り揃えております。
社寺金物としては、六葉金具、唄金具、木口金具、笹金具、向拝柱(根巻)金具、格天井金具、巻障子(折障子)金具、賽銭箱金具、欄間金具などを製造しています。ほかに吊カン、相吊り金具、瓔珞なども承ります。
寺院仏具では、八角型吊灯篭、華鬘(けまん)、柄香炉(えごろ)、羅網(らもう)、常灯明(じょうとうみょう)、常香盤(じょうこうばん)などを手がけています。
オーダーメイドと修理・復元
規格品はもちろん、寸法や紋様のご指定、オリジナルのデザインによるオーダーメイドにも柔軟に対応いたします。図面やスケッチ、現物の写真からのご相談も承ります。
また、古い金具の修理・復元も承っています。長年使われて傷んだ金具、失われてしまった金具の再製作など、現物を拝見してご提案いたします。幾代にもわたって使われることを前提に、作ることから直すことまでを、私たちは自らの仕事と考えています。
納骨壇金具・その他の用途
寺院の納骨壇に用いる金具も製造しています。扉まわりの装飾から、取っ手、蝶番、紋金具まで、一式でのご相談が可能です。近年は納骨堂の新設・改修にともなうご依頼も増えています。
また、神輿や山鉾などの祭礼具、仏具店様・仏壇店様からのOEM製造、社寺の修復工事に伴う復元製作など、和の金物にまつわる幅広いご依頼をお受けしています。
見て、触れて、知っていただくために
錺金具という言葉自体、日常で耳にする機会はほとんどありません。だからこそ私たちは、工房見学や彫金体験の場も設けています。鏨を握り、金属に文様を刻む感触を通じて、この技がどのようなものかを知っていただければと考えています。
エンディング産業展の会場では、実際の錺金具を手に取ってご覧いただけます。写真では伝わりにくい彫りの深さ、光の受け方、金属の重みを、ぜひその目でお確かめください。
祈りの空間から、暮らしの空間へ
近年は、寺社仏閣・仏壇用途に加えて、商業施設やホテル、店舗、住宅などを和の趣で飾る装飾金具としてもご活用いただいています。日本の建築が培ってきた「飾る」という文化は、現代の空間にも生きています。
